2012年05月27日
ひげひげ危機一髪!
5月25日、午前3時45分。
きっちりセットされた携帯のアラームがけたたましく鳴り出すと同時に、布団からガバリと起き上がるひげオンジ。どうせ、この男のことだから、何か下心があってのことだと推察される読者の皆様のご判断は今朝も正解。
先ずは前夜に車へと運び込んだ釣り道具一式とともに、4時30分には車上の人に。集中工事のために一車線規制になっている名神道をノロノロするも、一宮JCから東海北陸道に入れば、いつもの快ペースでのドライブとなる。なぜにこんなに慌ただしいことになっているといえば、それはそれ、月日の経つのは、いやはやまったく早いもので、今年もなんと、あのhajihadu大将!の主催と相成る
石徹白初夏の陣・・・
の開催日となっているのだ。
さて、おきまりのコンビニで昼飯やら飲料などを仕入れた後、えっちらおっちら山道を登り下ること30分。6時45分にはお馴染みとなったスキー場下の駐車場へ。平日ゆえに閑散とした駐車場だが、すでにそこには、グレーのNISSANと青のTOYOTAが2台駐車されている。その横に小生もしずしずと車を停める。ドゥルルゥン・・・とエンジンを切り、運転席から下りて、先の2台の車を覗けば、
いたいけない寝顔が二つ・・・
一つは遠路和歌山から昨晩深夜12時過ぎにこの現地に入って寝て待っていた・・・という、
の穏やかな寝顔であり、もう一つは前日仕事やらなにやら、雑事に追われたために、結局自宅では一睡もせずに信州松本から飛んできたという、
のそれはそれは渋い男の横顔であったのですね。
約束の時間は7時ということなので、「うーん、これはやっぱり起こしちゃ行かんな・・」などと柄にもなく気を遣うこのひげオンジが、車の周辺で、ごにょごにょ身悶えしていると、その不気味なオーラが車窓を超えて伝わったのであろう。
「フア~~、おはよぉーっす、(-_-)」
と眠さ満開のショボショボした目をこすりつつ、お二人の釣友が車から降りてこられる。
まま、みかん公とはなんと一年ぶり。大将とも5ヶ月ぶりの再会を喜びつつ、なぜか一人だけ前夜布団で寝ていた小生は、「まっこともって、申し訳なし・・・」と妙に平伏したい気持ちになるから不思議なもの。
さて、時計を見れば7時5分前。今回、久々に「金曜・平日」に開催されることになったこの、「初夏の陣」。眠い目をこすりつつ、大将から小生に告げられた言葉は、
大将:「そうそう、今日は久しぶりにsinzanさんも来るから・・・」
とのこと。思えば、この石徹白で小生が最初の渓魚を手にすることができたのは、このsinzan公のご指導の賜以外の何物でもなく、それ以降もキャスティングの基本など、多くをこの先達から学んでいる。今日お会いするとすれば、なんと、
2年ぶり・・・
ということに。昨年は公私に多忙で。「釣りどころじゃないらしいよ・・」と大将経由でそのご様子を伺っていたが、まま、いよいよ今年はその勇姿が復活するともなれば、いやはや読者諸兄、これに勝る喜びはありますまいて・・・。
さて集合をお約束した7時を過ぎても、ただ一人そのsinzan公の姿だけが現れない。「いやぁ、あの人のことだから、日にちを間違えてるかも知れないねぇ・・・」などと大将のお言葉が届いたのかどうか。先ずは
呼ぶより誹(そし)れ!
という諺(ことわざ)のとおり、本当に久しぶりに見る白いワゴンが一台、「ドモドモドモドモ・・・」という変なエンジンをかき鳴らしつつ、駐車場に飛び込んできた。
「いやぁ、どもどもどもども・・・」
とまぁ、車から降りるなりお約束通りのご挨拶を絶叫しつつ、久方ぶりに見る
の元気なお姿に先ずは一安心。じっとお顔を見れば、紀州みかん公同様、あごから首筋に掛けて、
人生の年輪・・・
とも呼ぶべき丸みが添えられてはいるが、古武士然とした風貌は相も変わらず、「一投一尾・・・」(正しくは一日一尾)という厳しき定めを自らに化す孤高のフライマンの姿がそこにあったのである。、
sinzan公:「いやぁ、今朝は4時に家を出たら間に合うなと思って、昨晩、4時に目覚ましをセットしたもんで・・。けど4時に起きてたら、4時には出れんのだから、こりゃ間に合わんのだなぁ、とふっと気づいて・・。んじゃ、もう少し早起きしようと思うたら、なんと子供の遠足みたいにどきどきしてしたあげく、起きたらなんと朝の2時だもんで、それから少しバタバタしいるうちに結局、家出たのが5時になってしもうたと・・・、いやぁ、ほんと、遅れてごめんなさい。」
って結局、なぜ遅刻したのか、その理由など皆目わからないまま、先ずは本日の釣りのスタートとなるから不思議なもんだ。
先ずはみかん公&sinzan公のお二人はタッグを組んで、スキー場真下の「銀座通」を釣り上がろうとのこと。となれば小生はhajihadu大将とタッグを組んで、C&R最下流部で釣り始めることにする。さてさて、今年の初夏の陣・・・いったいどうなることやら。
本流とC&Rの流れが合流する最下流部へと車を進めてみれば、なんと平日金曜日にも関わらず、すでに釣り師のものと思われる車が2台。「うーん、どうかな」と思いつつ流れの前後見れば、上の橋から入渓したと思われる先行者に加え、下の50メートルほどの所には、悠々と竿を振るテンカラ師が1名。これじゃ、
頭ハネ・・・m(_ _)m
になるかと思いつつも、まま、広い釣り場ゆえに竿抜けとなる場所は山のようにあり、ここは一つご容赦賜ろうということで、大将共々、竿を抱えて流れに入る。
先ずは1年ぶりの石徹白となる大将にどんどん先行してもらうことにして、小生はノロノロとリーダーの先にフライを結んでおれば、な、なんと、下流で釣っていたはずのテンカラ師が、いきなり竿をしまい込んだかと思うと、脱兎のごとき勢いで小生達の方へと、流れの中を駆け上がってくる。
「うわぁー、これはしまった。突然前に入り込んだもんで、きっと文句を言いに来たんだ・・」と小生としてはすでに冷や汗もの。慌てて上流を見れば、大将はすでに20メートルほど上手まで釣り上がっており、いくら呼んでも流れに声をかき消され、こっちの方を向いてくれない。
「うーん、こうなりゃ仕方がない・・・」と少したるんだ腹を括って、先ずは件のテンカラ師が追いつくのを待つことに。下流から血相変えて上がってきたそのご様子を見れば、まだ20代とおぼしき痩身の青年。
「うーん、これなら殴られても大したことないな・・・」と少し安心したところで、「おはようございます。どうです釣れてますか?」と先ずは腰低く慇懃無礼極まりない釣り人定番のご挨拶を申し上げれば、
という大怒声の変わりに聞こえてきたのが、
テンカラ師:「おはようございます。下の方はあんまり出てないですけど、ここから先は良く出ますよ」
と言う声を聞けば、なんとまぁ、こちらの方こそが
先行者・・・
であったのだ、ということ。その柔らかで紳士的な物腰を拝見すれば、先ほどまでの不安は雲散霧消。先ずはひとしきりテンカラ釣法のお話などお伺いしておれば、
テンカラ師:「いや、実は僕もこないだフライを始めたばかりなんで・・・。すいません、一度その竿を振らせてもらえませんか?」
とのお言葉。「そうかそうか、下流からここまで一気に駆け上がってこられたのは、そういう魂胆があってのことか・・」と納得すれば、先ずは「どうぞ、どうぞ」と小生の3番の竿をお貸しする。先ずは一、二度空振りをしてグリップの感触を確かめられた後、ジリリリとラインを引き出し、先ずはキャストを開始される。
その様子を見れば、少し遅れ気味ではあるがちゃんとラインのフォールも取れた、それなりのキャスティング。けっこう様になるそのご様子を拝見し、「どっか、スクールでキャスト習ってるんですか?」とお尋ねすれば
テンカラ師:「いやぁ、これはまったく自己流で。やっぱ調子が合わないせいか、思ったところに毛針が入らないですね・・・。」
なんて言いつつの数投目。鏡になった流れに乗ったフライに、すかさずバシャン!というライズがある。が、それは、空振り・・・。振り返ったテンカラ師の苦笑いを含む気さくな横顔を見ておれば、
「そっか、そっか、やっぱここ石徹白に来る釣り人に悪い人はいないんだ。」(^-^)
ということを再認識する。それから数分、伸びるラインの感触を確かめられた後、我がロッドはようやく持ち主の手元へと戻ってくる。それからも少し、テンカラ釣法についてあれこれ質問などしつつお話した後、「ありがとうございました。今日も良く釣れると良いですね、じゃ。」 とまぁ、残す笑顔も爽やかに、かのテンカラ師はすぐさま脱渓されていった。
さて、テンカラ師とのお別れした後、上流を見れば、大将はすでに50メートル近く釣り上がっている。よぉし、俺もと思いつつ、先ずは大将が竿を出してないと思われる、流れの右手を中心に、良いところだけを選んでの、
セレブな釣り
に徹して釣り上がることに。「まま、今日の午前中は大将のガイド役だし・・・」と割り切って淡々とキャストすれば、2度ほどフライに反応はあるが、どちらも空振り。まま、大将が売り歩いた後だからしょーがない、と納得しつつ、一足先に河原で休憩している大将に30分足らずで追いつくことに。そのご様子拝見すれば、なんと大将、いつになく不機嫌そうな仏頂面。
大将「ねっ、ひげオンジさん。せっかく平日休暇を取って釣りに来てるのに、先行者見ながら釣り上がるってのは、まったくもって、楽しくないね。」
というお言葉を耳に、再度上流を見れば、先ほど見えた先行者がさほど遠くないところに見える。「もう場所変えようよ。場所を・・・」という大将の言葉に従い、今度はキャンプ場下、通称「広河原」下手の大堰堤に出ることに。幸い停められてある車も一台もなく、広い河原には人っ子一人いない。
護岸沿いを少し歩いた後、大将は堰堤から下の長いプールを目指して、スタスタと下りていく。「まま、ここも一人でノンビリ釣ってもらいましょう。」と考えた小生は堰堤際に降り立ち、上流から大将の釣りをしばらく眺めていることに。
するとまぁ、どんなに流れが広くとも、ショートキャストのピンスポット狙いという大将の釣りのスタイルはどこに行っても変わらない。
「まま、ここなら何尾か釣れるでしょう」と少し安心した小生も、堰堤上の大プールで、遊び半分の気持ちでキャスト開始。すると第一投目で、
サイズはそれほどでもないもののプールの肩からきちんと飛び出し、フライをくわえ込むまでがしっかりと見えたのが嬉しい限り。それに気をよくして、それからもう少し先の流れにフライを流せば、バシャンと出たが、それは食い損ねで、そのまま流れるフライに再度のアタックという
二度目のライズではしっかり針に乗って、これがもう3番ロッドをキュンキュンしぼる好ファイターの25センチ。胴回りの確かさと言い、この川の流れがどれほど豊かなものであるかを、またまた痛感しつつ、先ずは
というのが、何にも増した渓流釣りの真実なのであります。
釣り上げって来る大将を待って、そのまま、しばらく大プールで遊んでいると、すぐ下の堰堤の二段目から、「釣れたよぉ!」という大将のひときわ大きな声が届いてくる。そのネットを見れば、ズシンと重たげな良型イワナ。サイズは28センチと、もう少しで尺・・・という所だったが、胴回りの太さを見れば、これこそが石徹白イワナの真骨頂という魚体。
今やネットでの動画投稿にスタンスを移し、大勢の釣り人にその個性あふれる映像を公開している大将。丁寧に魚の動画を取る、その後ろ姿を見ていれば、
ということを改めて思い知る。後何回、ご一緒できるか判りませんが、先ずはこれからもよろしくお頼み申し上げる次第なのであります。
さてそれから後は二人でノンビリ、キャンプ場下の堰堤まで釣り上がる。この広河原、左手は深みのあるイワナ師の流れで、右側は瀬が続くアマゴ師の流れと、まさに一粒で二度おいしいこと限りない。
もちろん今日は左手のイワナの流れを大将に譲り、小生は瀬の流芯をアマゴ狙いでどんどん流していく。なんてことを格好良く言いつつも、最初の一尾の後、すっかりターボの掛かった大将の一人舞台を前になすすべなし。
「やったぁ、ヒット!」、「やったぁ、また釣れた!」
という声を何度か耳にした後、見れば5メートルほど下流で竿を満月に絞っている姿が目に入る。
大将「デカイよ!、これは29センチあるよ。」
ひげ:「だったら後1センチ、無理矢理伸ばして下さぁぁぁい!」
大将:「う~ん、だめだ、いくら引っ張っても、どうしても伸びなぁぁい!」
なんて二人合わせて百歳を超えるオヤジ同士で、こんなお馬鹿な会話に夢中になれる・・・というのが、この趣味のもう一つの楽しみなのですねぇ。
さて、12時を少し過ぎたところで、先ずは午前の釣りを終了。良型ばかり11尾と余裕の大将と、先ずは5尾釣ってほっと一息の小生は、ぱらつきだした雨に追われて、スキー場下の駐車場へと戻ることに。見ればそこにはあるはずの車の姿はなく、「あらら、お二人はまだ釣ってるの?」と思いきや、なんと坂の上にある「スキー場のロッジ」で雨宿りしているみかん公ならびにsinzan公、お二人の姿が見える。それじゃあと、大将共々車で移動し、先ずはランチタイムとなる次第。
「いやぁ、天気予報は晴れだったのに、降ってきちゃいましたね・・・(;_;)」
と小生が言うより早く、大将、みかん公お二人の視線はsinzan公に向けられる。なんとこのキャスト名人はまたの名を、
降水確率80%の男!
と呼ばれているのは、この業界ではものすごく有名なこと。(本人は『嵐を呼ぶ男』と自称するが、そんな上等なものであるはずはない!)
小生も何度かご一緒させていただいたが、4回中3回は必ず雨になっている。基本的に大将と小生が一緒になるときは間違いなく晴れるのだが、その幸運をも吹き飛ばすのが、まさにsinzan公の邪悪なパワー。これまでも、雲一つなく始まった釣りが、最後は土砂降り・・・ということになるのだから、まさにその能力は半端なものではない。
大将:「でもこうこなくちゃ、sinzanさんと一緒に来た気がしないよね・・・」
という慰めになるのかどうかも判らない大将の言葉に妙に納得しつつ、さてそれじゃ午後はどうしましょうか・・・と迷いに迷う小生なのでありました。
なんて言いつつ、先ずは小生はこの春用意した1番のショートロッドの性能が試してみたく、C&Rの上流部へと転出することを決意。先ずは大将の、「じゃ、4時集合ね。」という言葉を耳に残しつつ、峠道をするする登り、橋横の駐車場へと車を進める。見れば先行者とおぼしき車が一台。「あらら」と思いつつも、まま何とかなるかと自分を励まし、雨粒落ちる中、合羽羽織って流れに下りる。
工事の影響を受けないこの上流部。水は格段に良く、本来の石徹白の流れを保っている。とはいえやはり先行されているせいであろう。いつもなら機嫌良くイワナが飛び出す流れやらプールでもまったく何の反応もない。
20分ほど釣り上がったところで、何とかチビイワナを一匹引きずり出して、先ずは納得。とはいえ、それから先もほとんどアタリらしいアタリもなく、気がつけば、流れが右左に分岐する所へ出る。
「えーっと、こんな所で流れが分岐しているんだっけ?」と疑問には思いつつも、水量豊かな左の流れはおそらく先行さんに攻められているはず。それじゃ・・・とスケベ心に踊りつつ、流れの細い右の流れに歩を進める。
水量少なく、ポイントらしいポイントもないが、それでもそれなりに深みのある場所でなら、淵の肩となる所で必ず反応があり、次々と愛くるしいイワナ達が釣れてくる。キャハハと5尾ばかり追加したところで、ふと気がついたことが一つ。
「さっきの左の流れといったい、いつ合流するんだ?」(?_?)
というそんな疑問もあらばこそ、釣れてる分には機嫌も良くさらに進めば、今度は、次から次への
「ええ、峠川にこんなところがあったの?」とさらなる疑問に頭を悩ませつつも時計を見れば、もう3時をとっくに過ぎている。
「いかん、いかん、早く合流地点に出て、脱渓しないと」と気ばかり焦りつつ、遡行を続けるが、そんな合流地点はどこにも見あたらない。途中、左上の坂上を見れば、何か電柱らしいものが見える。
「そうか、あそこまで行けば林道があるのか・・」
などというのはまったくもっての早合点。急な斜面を50メートルほど、藪こぎしながら登りつめてみればそんな電柱などどこにもない・・・。という所まで来て、このバカはやっとのこと気がついた・・。
道に迷った・・(T_T)
時計を見ればすでに約束の4時は過ぎている。大将に連絡を、と思ったがこんな森の中で携帯がつながるはずもない、と思った結果、ようやく川通しで戻ることを決意。その時までにすでに足腰はものすごく悲鳴を上げていたが、このまま、こんな所でへたりこんいて、もちろん済むはずもなく、先ずは荒れた流れに足音を取られながらも、ヒィヒィハァハァ・・・。ここまで登ってきた流れをひたすら戻りに戻る。冷たい雨に体は冷えるはずだが、懸命に沢を下る小生はすでに汗みずく。手にしたロッドも途中何度も折りそうになりながら、大きな倒木をエイコラと跨いだ直後に、何と右胸のポケットから携帯の着信音が。
あらぁ~、こんなとこでも携帯はつながるんだ?(*_*)
と一時、沢下りを中断し、携帯を取り出し見れば、なんと大将からのショートメール。慌てて折り返しの電話を掛ければ、
大将:「オンジさん、今、いったい何してんの?」
ひげ:「ゼイゼイ、いや、それが、道に迷って、ハァハァ・・・来た渓を歩いてヒィヒィ戻ってるとこ。」
大将:「えーっ、ぜんぜん帰ってこないから、みんな心配して捜索隊に出たとこだよ。」
ひげ:「いやぁ・・ゼイゼイ・・申し訳ない。もうすぐ戻る・・ハァハァ・・から待ってて下さい。」
大将:「じゃ、気をつけて帰ってくるんだよ。ほんと、気をつけてね。」
とまぁ、何とか連絡も付いて一安心どころか、それから先もウントコウントコ重い足を引きずりつつの脱出行。なんとか流れが分岐する所まで戻ったときには、約束の時間を過ぎること40分あまりになっていた。
そこから一気に峠道に出、駐車場まで戻れば、そこには大将とsinzan公のあきれた顔が二つ。(ちなみにみかん公は、行方不明になった小生を捜し求めてさらに上流部へと車で移動していた)
とただただ平謝りする小生に、大将は一言、「いやぁ、無事で良かった。」との暖かいお言葉。居並ぶsinzan公も、すぐに連絡を受けて戻ってきたみかん公も、ただただ笑顔で小生を慰めて下さる。
なんて一つ間違えれば、とんでもない事故になる可能性のあった今回の事件。今まで多くの人が山で遭難して一命を落としていることを、まるで他人事のように思っていたが、今回、小生もその真実を我が身を持って身にしみた次第。ちなみに、まっとうな大人が山で遭難するケースとは、
①地図だけを見ているせいで、ふとした分岐に出会ったりすると、「こっちが近道か・・」なんて勝手に思いこみ、どんどんルートから外れてしまう。
②途中で「おかしいかな」と思いつつも、最初の「これで行けるはず」という思いこみから、なかなか判断ミスを修正できない。
③最後には「そうそう、あそこに見えるのが目標のポイントのはず」などと自分に都合の良いように錯覚を起こし、さらにルートから大きくそれる。
④そして道を間違えたことに気がつくのだが、その時にはすでに、そこまで歩いて来た険しい道を戻る体力と根気が失われている・・・
なんてことから、多くの登山者がその貴重な命を失っていったのかな・・と、この経験を踏まえて考える次第。
今回は待っている仲間がいるため、迷ったと確信した瞬間、きっちりと来た道を戻ることができたが、これが単独釣行ならどうなっていたことか・・・。(きっと、もっともっと奥まで行って、そのまま夕暮れ。進退窮まり完全遭難していたのでは・・と考えると、ほんとに、これは「ひげひげ危機一髪」)先ずはいついかなる時でも、自然を前に自分を過信することだけはないようにと、今一度、厳しく厳しく自戒する、このひげオンジなのでありました。
さて4人そろった所でイブニングの釣りなぞにトライするものの、すでに体力気力を使い果たしている小生に遊んでくれる魚なぞいるはずもなく、ライズこそあれ、結局はノーフィッシュのまま本日終了。今日一日で戻られるsinzan公と、深く深く別れを惜しんだ後は、今夜の宿となる「カルヴィラ石徹白」へと3人で移動。
食事の前に風呂に入り、ガタのきた両足やら腰やらを丹念にマッサージするものの、その後の食事の時間には、左、右、また左と交互に脚の内ももの辺りが激しく痙攣し、激痛に身もだえしつつ、「あっイタ、あっウマ、あっイタ、いやあっウマ、けど、アイタタタタ・・・」とまぁ、けたたましくも落ち着きのない、下品な食事タイムとなりました。
部屋に戻り、それぞれのベッドに身を横たえるや、昨夜車中泊にてお疲れのみかん公が真っ先に、
グォオ、グォォラララ、グワガラララギャア・・・
とまさに本場紀州の熊野古道に今も伝わるという修験道の一つ。「悪霊法外爆睡の術」をご披露いただくことに。その猛烈な騒音をBGMに、今しばらくはhajihadu大将と談笑するが、その大将も10時前には完全就寝。この爆音下でもすぐに眠りにつかれた所を見ると、大将もずいぶんと疲れておられたのであろう。
お二人が完全に眠り込んだのを確認したのが10時半過ぎ。その時間になって、ようやく小生もすごすごとベッドに潜り込む。なぜまたこんなめんどくさい段取りを取るかと言えば、実はこの小生こそが、まさに猛烈極まりない。「爆裂イビキおやじ」であるからだ。今まで、そのために同宿の仲間や家族達を、
発狂寸前!(@_@)
にまで追い込んできたという小生の傍若無人な悪行三昧を顧みれば、みかん公の高イビキなぞ、まさに、
春風にそよぐ小鳥の声・・・
程度のものでしかないことを読者諸兄のお耳に入れておくことにしよう。
5月26日、午前5時30分。
昨夜一番遅くまで起きていたのに、起きるのは一番早いというのは・・・、これぞまさに
歳のせい!
ということに他ならない。厚く引かれたカーテンの隙間から覗けば、向かいの山並みにはしっかりガスが掛かっているものの、すでにうっすらと青空がかいま見え、あのsinzan公の去りし後は、
やっぱり晴れる・・・
ということを確信した次第。
さてまだまだぐっすりと寝入り込んでおられるお二人を横目に、朝一番のコーヒーの後、手洗い洗顔などをユルユルと終え、それからしばらくは、ベッドではなく、床に転がってしっかりとストレッチング。昨日の疲労から少しでも筋肉を解放してやろうと、「あーでもない、こーでもない」と怪しげに身をくねらせつつ、ゴロゴロゴロゴロ七転八倒していると、いきなり隣のベッドの方から、
大将:「オンジさん、どうしたの?ついに気でも狂ったの。」
という大将のお声が掛かる。「いやぁ、これはストレッチなるもので・・」と小生の返事も聞かず、「えっ、もう何時?あー、そっか、六時を過ぎてるのか」というお言葉と共にガサリとカーテンのを開ける大将。すると今度こそ本当に快晴の青空の下、石徹白の山並みがその新緑を神々しく光らせていた。
さて、朝食の予定時間は7時半。「俺は朝はほとんど食わないから・・」という大将を尻目にガツガツ大飯を食らうのが、小生とみかん公。そしてその朝食が終わるのと同時に、
がオープニングとなる。精算を済ませ、車に飛び乗り、いつものスキー場下の駐車場に来てみれば、いるいるいるいる。今回も遠路を厭わず小生を含め7名の「好き者」たちが集まった。並んだ車のナンバープレートを眺めてみれば、
和歌山・三重・名古屋・松本・千葉・滋賀・・・さらには岩手(?)まで
なんて光景を事情の知らない人が見たら、思わず「????????」で頭の中が一杯になるはず。もちろん、現住所と一致しないことは言うまでもないものの、いやはやみんな本当にご苦労様です。
さてこれも恒例になった朝の記念写真を撮り終えた後、
「7人の侍」ならぬ「7人の釣り★鹿」
は三々五々と釣り場と散っていく。本当なら今日一日も皆さんとご一緒できれば法外な喜びと思いつつも、このひげオンジ。野暮用ゆえに、今日土曜日の午後には地元滋賀まで戻らねばならない。ということで、朝の2時間ほど竿を出し、10時過ぎには再び車上の人となる予定。それゆえ、一足先に皆様方とは、お別れの握手などをしつつ、また来年のお出会いを心からお願いする次第。
午前中短時間の釣りともなれば、それほど遠くには行けないと思いつつ、小生は今朝も昨日大将と並んで攻めた「広河原」に出撃。先行者のないことを確認した後、昨日同様、堰堤から順に釣り上がっていくが、さすがに前日、大将と二人で隅から隅まで攻めきった流れ。思うように魚は出てこない上に、出てもフッキングにまでは至らない、渋いアタリばかりで難渋する。「まま、こんなこともあっていいんだ・・」と余裕を持っていられるのは昨日、それなりの数を釣っているせいもあるし、
という余裕のある気持ちになれる川だからであろう。今年は中流域右手の斜面が完全伐採され、その影響がどう出るか判らなず、不安もあるが(おそらく少しでも雨が降れば、すぐに濁ってしまうはず。それに流出するであろう土砂のことも少し心配・・)それでも間違いなくここへ来れば、大きな魚たちが悠々と小生を出迎えてくれるはず。まずは20センチそこそこのイワナを2尾、お別れ代わりにリリースすれば先ずは今年の、初夏の陣も
無事終了!(*^_^*)
ということに相成った。
帰り支度をと考えて車に戻ったのが10時15分。竿をたたみ、ウェーダーを脱いでさあ運転席に乗り込もうかとした所、なんとフロントガラスの上の所に、
がブーンーブンと大きな羽音のうなりをあげている。
「そうか、そうか、君も小生にお別れを言いに来てくれたのか」と少し感傷的な気持ちになるものの、このような相棒と二人では帰りの無事も確保できない。先ずはベストのランディングネットで、生まれてはじめて魚以外のものを収め、そっと車外に離してやる。「また来てね、待ってるよ」と言わんばかりに高く高く飛んでいくその蜂の姿を目で追えば、その向こうには、青い青い空が広がり、今日もまた、
ひげオンジのフライフィッシング日和
であったことには間違いなく・・・。
2012/05/27
きっちりセットされた携帯のアラームがけたたましく鳴り出すと同時に、布団からガバリと起き上がるひげオンジ。どうせ、この男のことだから、何か下心があってのことだと推察される読者の皆様のご判断は今朝も正解。
先ずは前夜に車へと運び込んだ釣り道具一式とともに、4時30分には車上の人に。集中工事のために一車線規制になっている名神道をノロノロするも、一宮JCから東海北陸道に入れば、いつもの快ペースでのドライブとなる。なぜにこんなに慌ただしいことになっているといえば、それはそれ、月日の経つのは、いやはやまったく早いもので、今年もなんと、あのhajihadu大将!の主催と相成る
石徹白初夏の陣・・・
の開催日となっているのだ。
さて、おきまりのコンビニで昼飯やら飲料などを仕入れた後、えっちらおっちら山道を登り下ること30分。6時45分にはお馴染みとなったスキー場下の駐車場へ。平日ゆえに閑散とした駐車場だが、すでにそこには、グレーのNISSANと青のTOYOTAが2台駐車されている。その横に小生もしずしずと車を停める。ドゥルルゥン・・・とエンジンを切り、運転席から下りて、先の2台の車を覗けば、
いたいけない寝顔が二つ・・・
一つは遠路和歌山から昨晩深夜12時過ぎにこの現地に入って寝て待っていた・・・という、
紀州みかん公!
雨具までちゃんとみかん色のみかん公。この写真を撮った直後に「尺イワナ」!
の穏やかな寝顔であり、もう一つは前日仕事やらなにやら、雑事に追われたために、結局自宅では一睡もせずに信州松本から飛んできたという、
hajihadu大将!
のそれはそれは渋い男の横顔であったのですね。
約束の時間は7時ということなので、「うーん、これはやっぱり起こしちゃ行かんな・・」などと柄にもなく気を遣うこのひげオンジが、車の周辺で、ごにょごにょ身悶えしていると、その不気味なオーラが車窓を超えて伝わったのであろう。
「フア~~、おはよぉーっす、(-_-)」
と眠さ満開のショボショボした目をこすりつつ、お二人の釣友が車から降りてこられる。
まま、みかん公とはなんと一年ぶり。大将とも5ヶ月ぶりの再会を喜びつつ、なぜか一人だけ前夜布団で寝ていた小生は、「まっこともって、申し訳なし・・・」と妙に平伏したい気持ちになるから不思議なもの。
さて、時計を見れば7時5分前。今回、久々に「金曜・平日」に開催されることになったこの、「初夏の陣」。眠い目をこすりつつ、大将から小生に告げられた言葉は、
大将:「そうそう、今日は久しぶりにsinzanさんも来るから・・・」
とのこと。思えば、この石徹白で小生が最初の渓魚を手にすることができたのは、このsinzan公のご指導の賜以外の何物でもなく、それ以降もキャスティングの基本など、多くをこの先達から学んでいる。今日お会いするとすれば、なんと、
2年ぶり・・・
ということに。昨年は公私に多忙で。「釣りどころじゃないらしいよ・・」と大将経由でそのご様子を伺っていたが、まま、いよいよ今年はその勇姿が復活するともなれば、いやはや読者諸兄、これに勝る喜びはありますまいて・・・。
さて集合をお約束した7時を過ぎても、ただ一人そのsinzan公の姿だけが現れない。「いやぁ、あの人のことだから、日にちを間違えてるかも知れないねぇ・・・」などと大将のお言葉が届いたのかどうか。先ずは
呼ぶより誹(そし)れ!
という諺(ことわざ)のとおり、本当に久しぶりに見る白いワゴンが一台、「ドモドモドモドモ・・・」という変なエンジンをかき鳴らしつつ、駐車場に飛び込んできた。
「いやぁ、どもどもどもども・・・」
とまぁ、車から降りるなりお約束通りのご挨拶を絶叫しつつ、久方ぶりに見る
sinzan公・・・
頭をかきつつ、なぜか平謝りのsinzan公(シャツ紫)。公が謝る理由は後述のとおり・・・
の元気なお姿に先ずは一安心。じっとお顔を見れば、紀州みかん公同様、あごから首筋に掛けて、
人生の年輪・・・
とも呼ぶべき丸みが添えられてはいるが、古武士然とした風貌は相も変わらず、「一投一尾・・・」(正しくは一日一尾)という厳しき定めを自らに化す孤高のフライマンの姿がそこにあったのである。、
sinzan公:「いやぁ、今朝は4時に家を出たら間に合うなと思って、昨晩、4時に目覚ましをセットしたもんで・・。けど4時に起きてたら、4時には出れんのだから、こりゃ間に合わんのだなぁ、とふっと気づいて・・。んじゃ、もう少し早起きしようと思うたら、なんと子供の遠足みたいにどきどきしてしたあげく、起きたらなんと朝の2時だもんで、それから少しバタバタしいるうちに結局、家出たのが5時になってしもうたと・・・、いやぁ、ほんと、遅れてごめんなさい。」
って結局、なぜ遅刻したのか、その理由など皆目わからないまま、先ずは本日の釣りのスタートとなるから不思議なもんだ。
先ずはみかん公&sinzan公のお二人はタッグを組んで、スキー場真下の「銀座通」を釣り上がろうとのこと。となれば小生はhajihadu大将とタッグを組んで、C&R最下流部で釣り始めることにする。さてさて、今年の初夏の陣・・・いったいどうなることやら。
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本流とC&Rの流れが合流する最下流部へと車を進めてみれば、なんと平日金曜日にも関わらず、すでに釣り師のものと思われる車が2台。「うーん、どうかな」と思いつつ流れの前後見れば、上の橋から入渓したと思われる先行者に加え、下の50メートルほどの所には、悠々と竿を振るテンカラ師が1名。これじゃ、
頭ハネ・・・m(_ _)m
になるかと思いつつも、まま、広い釣り場ゆえに竿抜けとなる場所は山のようにあり、ここは一つご容赦賜ろうということで、大将共々、竿を抱えて流れに入る。
先ずは1年ぶりの石徹白となる大将にどんどん先行してもらうことにして、小生はノロノロとリーダーの先にフライを結んでおれば、な、なんと、下流で釣っていたはずのテンカラ師が、いきなり竿をしまい込んだかと思うと、脱兎のごとき勢いで小生達の方へと、流れの中を駆け上がってくる。
「うわぁー、これはしまった。突然前に入り込んだもんで、きっと文句を言いに来たんだ・・」と小生としてはすでに冷や汗もの。慌てて上流を見れば、大将はすでに20メートルほど上手まで釣り上がっており、いくら呼んでも流れに声をかき消され、こっちの方を向いてくれない。
「うーん、こうなりゃ仕方がない・・・」と少したるんだ腹を括って、先ずは件のテンカラ師が追いつくのを待つことに。下流から血相変えて上がってきたそのご様子を見れば、まだ20代とおぼしき痩身の青年。
「うーん、これなら殴られても大したことないな・・・」と少し安心したところで、「おはようございます。どうです釣れてますか?」と先ずは腰低く慇懃無礼極まりない釣り人定番のご挨拶を申し上げれば、
「お前ら、川のマナー判ってんのか!」(`Δ´)
という大怒声の変わりに聞こえてきたのが、
テンカラ師:「おはようございます。下の方はあんまり出てないですけど、ここから先は良く出ますよ」
と言う声を聞けば、なんとまぁ、こちらの方こそが
先行者・・・
であったのだ、ということ。その柔らかで紳士的な物腰を拝見すれば、先ほどまでの不安は雲散霧消。先ずはひとしきりテンカラ釣法のお話などお伺いしておれば、
テンカラ師:「いや、実は僕もこないだフライを始めたばかりなんで・・・。すいません、一度その竿を振らせてもらえませんか?」
ラインの軌跡を目で追いつつのテンカラ師。後ろの腰に差した竿が忍者みたいでかっこいい!
とのお言葉。「そうかそうか、下流からここまで一気に駆け上がってこられたのは、そういう魂胆があってのことか・・」と納得すれば、先ずは「どうぞ、どうぞ」と小生の3番の竿をお貸しする。先ずは一、二度空振りをしてグリップの感触を確かめられた後、ジリリリとラインを引き出し、先ずはキャストを開始される。
その様子を見れば、少し遅れ気味ではあるがちゃんとラインのフォールも取れた、それなりのキャスティング。けっこう様になるそのご様子を拝見し、「どっか、スクールでキャスト習ってるんですか?」とお尋ねすれば
テンカラ師:「いやぁ、これはまったく自己流で。やっぱ調子が合わないせいか、思ったところに毛針が入らないですね・・・。」
なんて言いつつの数投目。鏡になった流れに乗ったフライに、すかさずバシャン!というライズがある。が、それは、空振り・・・。振り返ったテンカラ師の苦笑いを含む気さくな横顔を見ておれば、
「そっか、そっか、やっぱここ石徹白に来る釣り人に悪い人はいないんだ。」(^-^)
ということを再認識する。それから数分、伸びるラインの感触を確かめられた後、我がロッドはようやく持ち主の手元へと戻ってくる。それからも少し、テンカラ釣法についてあれこれ質問などしつつお話した後、「ありがとうございました。今日も良く釣れると良いですね、じゃ。」 とまぁ、残す笑顔も爽やかに、かのテンカラ師はすぐさま脱渓されていった。
さて、テンカラ師とのお別れした後、上流を見れば、大将はすでに50メートル近く釣り上がっている。よぉし、俺もと思いつつ、先ずは大将が竿を出してないと思われる、流れの右手を中心に、良いところだけを選んでの、
セレブな釣り
に徹して釣り上がることに。「まま、今日の午前中は大将のガイド役だし・・・」と割り切って淡々とキャストすれば、2度ほどフライに反応はあるが、どちらも空振り。まま、大将が売り歩いた後だからしょーがない、と納得しつつ、一足先に河原で休憩している大将に30分足らずで追いつくことに。そのご様子拝見すれば、なんと大将、いつになく不機嫌そうな仏頂面。
大将「ねっ、ひげオンジさん。せっかく平日休暇を取って釣りに来てるのに、先行者見ながら釣り上がるってのは、まったくもって、楽しくないね。」
というお言葉を耳に、再度上流を見れば、先ほど見えた先行者がさほど遠くないところに見える。「もう場所変えようよ。場所を・・・」という大将の言葉に従い、今度はキャンプ場下、通称「広河原」下手の大堰堤に出ることに。幸い停められてある車も一台もなく、広い河原には人っ子一人いない。
堰堤上からの流れを眺める。さて大将はどこにいるのでしょうか?
護岸沿いを少し歩いた後、大将は堰堤から下の長いプールを目指して、スタスタと下りていく。「まま、ここも一人でノンビリ釣ってもらいましょう。」と考えた小生は堰堤際に降り立ち、上流から大将の釣りをしばらく眺めていることに。
するとまぁ、どんなに流れが広くとも、ショートキャストのピンスポット狙いという大将の釣りのスタイルはどこに行っても変わらない。
「まま、ここなら何尾か釣れるでしょう」と少し安心した小生も、堰堤上の大プールで、遊び半分の気持ちでキャスト開始。すると第一投目で、
いきなり釣れた!
サイズはそれほどでもないもののプールの肩からきちんと飛び出し、フライをくわえ込むまでがしっかりと見えたのが嬉しい限り。それに気をよくして、それからもう少し先の流れにフライを流せば、バシャンと出たが、それは食い損ねで、そのまま流れるフライに再度のアタックという
離れ業のダブルアタック!
これがダブルアタックの主。なんて活性の高さなんだ・・・
二度目のライズではしっかり針に乗って、これがもう3番ロッドをキュンキュンしぼる好ファイターの25センチ。胴回りの確かさと言い、この川の流れがどれほど豊かなものであるかを、またまた痛感しつつ、先ずは
平日最高!(^_^)v
ここが好反応な大プール。ただ工事のせいか水の色はあまり良くない
というのが、何にも増した渓流釣りの真実なのであります。
釣り上げって来る大将を待って、そのまま、しばらく大プールで遊んでいると、すぐ下の堰堤の二段目から、「釣れたよぉ!」という大将のひときわ大きな声が届いてくる。そのネットを見れば、ズシンと重たげな良型イワナ。サイズは28センチと、もう少しで尺・・・という所だったが、胴回りの太さを見れば、これこそが石徹白イワナの真骨頂という魚体。
今やネットでの動画投稿にスタンスを移し、大勢の釣り人にその個性あふれる映像を公開している大将。丁寧に魚の動画を取る、その後ろ姿を見ていれば、
本当にこの人は釣りと人間が好きなんだ・・・
ちなみに、「お金の方がもっと好きなんだよ」と後で、そっと教えてくれた大将。
撮影のための場所探しに余念がないが、そのネットの重そうなこと・・・
撮影のための場所探しに余念がないが、そのネットの重そうなこと・・・
ということを改めて思い知る。後何回、ご一緒できるか判りませんが、先ずはこれからもよろしくお頼み申し上げる次第なのであります。
さてそれから後は二人でノンビリ、キャンプ場下の堰堤まで釣り上がる。この広河原、左手は深みのあるイワナ師の流れで、右側は瀬が続くアマゴ師の流れと、まさに一粒で二度おいしいこと限りない。
もちろん今日は左手のイワナの流れを大将に譲り、小生は瀬の流芯をアマゴ狙いでどんどん流していく。なんてことを格好良く言いつつも、最初の一尾の後、すっかりターボの掛かった大将の一人舞台を前になすすべなし。
「やったぁ、ヒット!」、「やったぁ、また釣れた!」
という声を何度か耳にした後、見れば5メートルほど下流で竿を満月に絞っている姿が目に入る。
大将「デカイよ!、これは29センチあるよ。」
ひげ:「だったら後1センチ、無理矢理伸ばして下さぁぁぁい!」
大将:「う~ん、だめだ、いくら引っ張っても、どうしても伸びなぁぁい!」
なんて二人合わせて百歳を超えるオヤジ同士で、こんなお馬鹿な会話に夢中になれる・・・というのが、この趣味のもう一つの楽しみなのですねぇ。
泣き尺イワナを掛けてバンブーロッドを満月にする大将。うーん、少し羨ましいか
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さて、12時を少し過ぎたところで、先ずは午前の釣りを終了。良型ばかり11尾と余裕の大将と、先ずは5尾釣ってほっと一息の小生は、ぱらつきだした雨に追われて、スキー場下の駐車場へと戻ることに。見ればそこにはあるはずの車の姿はなく、「あらら、お二人はまだ釣ってるの?」と思いきや、なんと坂の上にある「スキー場のロッジ」で雨宿りしているみかん公ならびにsinzan公、お二人の姿が見える。それじゃあと、大将共々車で移動し、先ずはランチタイムとなる次第。
「いやぁ、天気予報は晴れだったのに、降ってきちゃいましたね・・・(;_;)」
と小生が言うより早く、大将、みかん公お二人の視線はsinzan公に向けられる。なんとこのキャスト名人はまたの名を、
降水確率80%の男!
と呼ばれているのは、この業界ではものすごく有名なこと。(本人は『嵐を呼ぶ男』と自称するが、そんな上等なものであるはずはない!)
小生も何度かご一緒させていただいたが、4回中3回は必ず雨になっている。基本的に大将と小生が一緒になるときは間違いなく晴れるのだが、その幸運をも吹き飛ばすのが、まさにsinzan公の邪悪なパワー。これまでも、雲一つなく始まった釣りが、最後は土砂降り・・・ということになるのだから、まさにその能力は半端なものではない。
大将:「でもこうこなくちゃ、sinzanさんと一緒に来た気がしないよね・・・」
という慰めになるのかどうかも判らない大将の言葉に妙に納得しつつ、さてそれじゃ午後はどうしましょうか・・・と迷いに迷う小生なのでありました。
なんて言いつつ、先ずは小生はこの春用意した1番のショートロッドの性能が試してみたく、C&Rの上流部へと転出することを決意。先ずは大将の、「じゃ、4時集合ね。」という言葉を耳に残しつつ、峠道をするする登り、橋横の駐車場へと車を進める。見れば先行者とおぼしき車が一台。「あらら」と思いつつも、まま何とかなるかと自分を励まし、雨粒落ちる中、合羽羽織って流れに下りる。
水面に雨粒が文様を作るプール。これが全部ライズだったら最高なのに・・・
工事の影響を受けないこの上流部。水は格段に良く、本来の石徹白の流れを保っている。とはいえやはり先行されているせいであろう。いつもなら機嫌良くイワナが飛び出す流れやらプールでもまったく何の反応もない。
20分ほど釣り上がったところで、何とかチビイワナを一匹引きずり出して、先ずは納得。とはいえ、それから先もほとんどアタリらしいアタリもなく、気がつけば、流れが右左に分岐する所へ出る。
「えーっと、こんな所で流れが分岐しているんだっけ?」と疑問には思いつつも、水量豊かな左の流れはおそらく先行さんに攻められているはず。それじゃ・・・とスケベ心に踊りつつ、流れの細い右の流れに歩を進める。
水量少なく、ポイントらしいポイントもないが、それでもそれなりに深みのある場所でなら、淵の肩となる所で必ず反応があり、次々と愛くるしいイワナ達が釣れてくる。キャハハと5尾ばかり追加したところで、ふと気がついたことが一つ。
「さっきの左の流れといったい、いつ合流するんだ?」(?_?)
これが当日の上流部。ここから50メートルほど上ったところに大きな落とし穴が・・
というそんな疑問もあらばこそ、釣れてる分には機嫌も良くさらに進めば、今度は、次から次への
倒木の嵐・・・
可愛いサイズだが、数が出ればそれはそれで楽しい・・・
「ええ、峠川にこんなところがあったの?」とさらなる疑問に頭を悩ませつつも時計を見れば、もう3時をとっくに過ぎている。
「いかん、いかん、早く合流地点に出て、脱渓しないと」と気ばかり焦りつつ、遡行を続けるが、そんな合流地点はどこにも見あたらない。途中、左上の坂上を見れば、何か電柱らしいものが見える。
「そうか、あそこまで行けば林道があるのか・・」
などというのはまったくもっての早合点。急な斜面を50メートルほど、藪こぎしながら登りつめてみればそんな電柱などどこにもない・・・。という所まで来て、このバカはやっとのこと気がついた・・。
道に迷った・・(T_T)
時計を見ればすでに約束の4時は過ぎている。大将に連絡を、と思ったがこんな森の中で携帯がつながるはずもない、と思った結果、ようやく川通しで戻ることを決意。その時までにすでに足腰はものすごく悲鳴を上げていたが、このまま、こんな所でへたりこんいて、もちろん済むはずもなく、先ずは荒れた流れに足音を取られながらも、ヒィヒィハァハァ・・・。ここまで登ってきた流れをひたすら戻りに戻る。冷たい雨に体は冷えるはずだが、懸命に沢を下る小生はすでに汗みずく。手にしたロッドも途中何度も折りそうになりながら、大きな倒木をエイコラと跨いだ直後に、何と右胸のポケットから携帯の着信音が。
あらぁ~、こんなとこでも携帯はつながるんだ?(*_*)
と一時、沢下りを中断し、携帯を取り出し見れば、なんと大将からのショートメール。慌てて折り返しの電話を掛ければ、
大将:「オンジさん、今、いったい何してんの?」
ひげ:「ゼイゼイ、いや、それが、道に迷って、ハァハァ・・・来た渓を歩いてヒィヒィ戻ってるとこ。」
大将:「えーっ、ぜんぜん帰ってこないから、みんな心配して捜索隊に出たとこだよ。」
ひげ:「いやぁ・・ゼイゼイ・・申し訳ない。もうすぐ戻る・・ハァハァ・・から待ってて下さい。」
大将:「じゃ、気をつけて帰ってくるんだよ。ほんと、気をつけてね。」
とまぁ、何とか連絡も付いて一安心どころか、それから先もウントコウントコ重い足を引きずりつつの脱出行。なんとか流れが分岐する所まで戻ったときには、約束の時間を過ぎること40分あまりになっていた。
そこから一気に峠道に出、駐車場まで戻れば、そこには大将とsinzan公のあきれた顔が二つ。(ちなみにみかん公は、行方不明になった小生を捜し求めてさらに上流部へと車で移動していた)
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
ぐぉめぇんぬぁさぁぁい!<(_ _)>
ぐぉめぇんぬぁさぁぁい!<(_ _)>
とただただ平謝りする小生に、大将は一言、「いやぁ、無事で良かった。」との暖かいお言葉。居並ぶsinzan公も、すぐに連絡を受けて戻ってきたみかん公も、ただただ笑顔で小生を慰めて下さる。
なんて一つ間違えれば、とんでもない事故になる可能性のあった今回の事件。今まで多くの人が山で遭難して一命を落としていることを、まるで他人事のように思っていたが、今回、小生もその真実を我が身を持って身にしみた次第。ちなみに、まっとうな大人が山で遭難するケースとは、
①地図だけを見ているせいで、ふとした分岐に出会ったりすると、「こっちが近道か・・」なんて勝手に思いこみ、どんどんルートから外れてしまう。
②途中で「おかしいかな」と思いつつも、最初の「これで行けるはず」という思いこみから、なかなか判断ミスを修正できない。
③最後には「そうそう、あそこに見えるのが目標のポイントのはず」などと自分に都合の良いように錯覚を起こし、さらにルートから大きくそれる。
④そして道を間違えたことに気がつくのだが、その時にはすでに、そこまで歩いて来た険しい道を戻る体力と根気が失われている・・・
なんてことから、多くの登山者がその貴重な命を失っていったのかな・・と、この経験を踏まえて考える次第。
今回は待っている仲間がいるため、迷ったと確信した瞬間、きっちりと来た道を戻ることができたが、これが単独釣行ならどうなっていたことか・・・。(きっと、もっともっと奥まで行って、そのまま夕暮れ。進退窮まり完全遭難していたのでは・・と考えると、ほんとに、これは「ひげひげ危機一髪」)先ずはいついかなる時でも、自然を前に自分を過信することだけはないようにと、今一度、厳しく厳しく自戒する、このひげオンジなのでありました。
こちらは本家の「黒ひげ危機一髪」。子供の頃が懐かしい・・・
さて4人そろった所でイブニングの釣りなぞにトライするものの、すでに体力気力を使い果たしている小生に遊んでくれる魚なぞいるはずもなく、ライズこそあれ、結局はノーフィッシュのまま本日終了。今日一日で戻られるsinzan公と、深く深く別れを惜しんだ後は、今夜の宿となる「カルヴィラ石徹白」へと3人で移動。
食事の前に風呂に入り、ガタのきた両足やら腰やらを丹念にマッサージするものの、その後の食事の時間には、左、右、また左と交互に脚の内ももの辺りが激しく痙攣し、激痛に身もだえしつつ、「あっイタ、あっウマ、あっイタ、いやあっウマ、けど、アイタタタタ・・・」とまぁ、けたたましくも落ち着きのない、下品な食事タイムとなりました。
部屋に戻り、それぞれのベッドに身を横たえるや、昨夜車中泊にてお疲れのみかん公が真っ先に、
グォオ、グォォラララ、グワガラララギャア・・・
とまさに本場紀州の熊野古道に今も伝わるという修験道の一つ。「悪霊法外爆睡の術」をご披露いただくことに。その猛烈な騒音をBGMに、今しばらくはhajihadu大将と談笑するが、その大将も10時前には完全就寝。この爆音下でもすぐに眠りにつかれた所を見ると、大将もずいぶんと疲れておられたのであろう。
お二人が完全に眠り込んだのを確認したのが10時半過ぎ。その時間になって、ようやく小生もすごすごとベッドに潜り込む。なぜまたこんなめんどくさい段取りを取るかと言えば、実はこの小生こそが、まさに猛烈極まりない。「爆裂イビキおやじ」であるからだ。今まで、そのために同宿の仲間や家族達を、
発狂寸前!(@_@)
にまで追い込んできたという小生の傍若無人な悪行三昧を顧みれば、みかん公の高イビキなぞ、まさに、
春風にそよぐ小鳥の声・・・
程度のものでしかないことを読者諸兄のお耳に入れておくことにしよう。
****************************************
5月26日、午前5時30分。
昨夜一番遅くまで起きていたのに、起きるのは一番早いというのは・・・、これぞまさに
歳のせい!
ということに他ならない。厚く引かれたカーテンの隙間から覗けば、向かいの山並みにはしっかりガスが掛かっているものの、すでにうっすらと青空がかいま見え、あのsinzan公の去りし後は、
やっぱり晴れる・・・
ということを確信した次第。
さてまだまだぐっすりと寝入り込んでおられるお二人を横目に、朝一番のコーヒーの後、手洗い洗顔などをユルユルと終え、それからしばらくは、ベッドではなく、床に転がってしっかりとストレッチング。昨日の疲労から少しでも筋肉を解放してやろうと、「あーでもない、こーでもない」と怪しげに身をくねらせつつ、ゴロゴロゴロゴロ七転八倒していると、いきなり隣のベッドの方から、
大将:「オンジさん、どうしたの?ついに気でも狂ったの。」
という大将のお声が掛かる。「いやぁ、これはストレッチなるもので・・」と小生の返事も聞かず、「えっ、もう何時?あー、そっか、六時を過ぎてるのか」というお言葉と共にガサリとカーテンのを開ける大将。すると今度こそ本当に快晴の青空の下、石徹白の山並みがその新緑を神々しく光らせていた。
さて、朝食の予定時間は7時半。「俺は朝はほとんど食わないから・・」という大将を尻目にガツガツ大飯を食らうのが、小生とみかん公。そしてその朝食が終わるのと同時に、
初夏の陣2ndステージ!
これが当日の整列写真・・photo by みかん公
がオープニングとなる。精算を済ませ、車に飛び乗り、いつものスキー場下の駐車場に来てみれば、いるいるいるいる。今回も遠路を厭わず小生を含め7名の「好き者」たちが集まった。並んだ車のナンバープレートを眺めてみれば、
和歌山・三重・名古屋・松本・千葉・滋賀・・・さらには岩手(?)まで
なんて光景を事情の知らない人が見たら、思わず「????????」で頭の中が一杯になるはず。もちろん、現住所と一致しないことは言うまでもないものの、いやはやみんな本当にご苦労様です。
さてこれも恒例になった朝の記念写真を撮り終えた後、
「7人の侍」ならぬ「7人の釣り★鹿」
は三々五々と釣り場と散っていく。本当なら今日一日も皆さんとご一緒できれば法外な喜びと思いつつも、このひげオンジ。野暮用ゆえに、今日土曜日の午後には地元滋賀まで戻らねばならない。ということで、朝の2時間ほど竿を出し、10時過ぎには再び車上の人となる予定。それゆえ、一足先に皆様方とは、お別れの握手などをしつつ、また来年のお出会いを心からお願いする次第。
午前中短時間の釣りともなれば、それほど遠くには行けないと思いつつ、小生は今朝も昨日大将と並んで攻めた「広河原」に出撃。先行者のないことを確認した後、昨日同様、堰堤から順に釣り上がっていくが、さすがに前日、大将と二人で隅から隅まで攻めきった流れ。思うように魚は出てこない上に、出てもフッキングにまでは至らない、渋いアタリばかりで難渋する。「まま、こんなこともあっていいんだ・・」と余裕を持っていられるのは昨日、それなりの数を釣っているせいもあるし、
また、次、来るときの楽しみに取っておこう・・・
これが今回釣行、ラストの一尾。また大きくなってからも遊んでね!
という余裕のある気持ちになれる川だからであろう。今年は中流域右手の斜面が完全伐採され、その影響がどう出るか判らなず、不安もあるが(おそらく少しでも雨が降れば、すぐに濁ってしまうはず。それに流出するであろう土砂のことも少し心配・・)それでも間違いなくここへ来れば、大きな魚たちが悠々と小生を出迎えてくれるはず。まずは20センチそこそこのイワナを2尾、お別れ代わりにリリースすれば先ずは今年の、初夏の陣も
無事終了!(*^_^*)
ということに相成った。
帰り支度をと考えて車に戻ったのが10時15分。竿をたたみ、ウェーダーを脱いでさあ運転席に乗り込もうかとした所、なんとフロントガラスの上の所に、
デカイ熊ん蜂君!
がブーンーブンと大きな羽音のうなりをあげている。
「そうか、そうか、君も小生にお別れを言いに来てくれたのか」と少し感傷的な気持ちになるものの、このような相棒と二人では帰りの無事も確保できない。先ずはベストのランディングネットで、生まれてはじめて魚以外のものを収め、そっと車外に離してやる。「また来てね、待ってるよ」と言わんばかりに高く高く飛んでいくその蜂の姿を目で追えば、その向こうには、青い青い空が広がり、今日もまた、
ひげオンジのフライフィッシング日和
であったことには間違いなく・・・。
2012/05/27
2012年05月13日
マー君と一緒!
5月12日、午前6時35分。
天気予報では朝から曇りのはずが、まさに、
快晴!
極まりない、ここぎふ大和PAの喫煙所にて、一人紫煙をくゆらしているのが、なんとこのひげオンジ。「約束の時間は7時だけど、まぁ、もう少し掛かるかな・・・」などと一人呟きつつ、自販機で買った缶コーヒーなぞでグビリグビリと喉を鳴らしつつ、待つこと15分。朝日きらめく駐車場に、一台の
濃紺のHONDA・・・
が滑り込んできた。「あらまぁ、早いこと」と思いつつ、喫煙コーナーのボックスから身を乗り出し、出迎えに行けば、そこには我が愛する、
京奈滋コネクション!
の良友のお一人である。
のお姿があった。かつてはFF界の「嘉門達夫」の異名に欲しいままにした「ま。殿」だが、いまや大学生の息子を持つ御歳になられるともなれば、さすがに腰回りなどにも一段と貫禄が見え、まさに、
クラスにグレードアップされているのは、まさに慶賀の至り。なんて、いやはや、気がつけばみんな歳を取っているのです・・・。
などという感慨もあらばこそ、先ずは、ここしばらくのご無沙汰のご挨拶もそこそこに、先ずは二人そろって先ほどの喫煙ボックスに立てこもり、松鶴師匠、もといま。殿、ならびに、そのご長男であるつきちん師匠の近況などのお話を伺うことに。きけば、
ま。:「若狭に行った『つき』は、ソルトFFでシーバス釣りまくって、毎朝、弁当のおかずにしてますわぁ!」
とのこと。今は京都を離れ、一人日本海方面にて自由気ままな大学生活をエンジョイされているというつきちん師匠。
ひげ:「それじゃあ、今度、一度海の釣りに誘ってもらわないと・・・」
ま。:「けど、あいつ、バイト忙しくて、それどころじゃないみたい。他にもボートの免許取ったり、海に潜ったりと大変みたいだから・・・」
とまぁ、つきちん師匠。ほんとに大学生になったのか、それともあの山椒大夫にさらわれた「厨子王」同様に、漁師の家に養子にもらわれてしまったのか、その実体も不明なままに、先ずは
ま。:「んじゃ、オンジさん、行きまひょか!」
という元気極まりないお声に背中を押され、再度、車は北上を始めることに。途中、コンビニで買い物などを済ませた後、ウンサカホイサカ、山道を登って下れば、そこはもちろん、
の流れが待っている。そうそう、今年もやっと皐咲く5月。小生にとってはホームグラウンドと言って良い、この川でのシーズンが始まったのだ。
ということで年券購入を第一の目的にした今回の釣行。以前から「一度お誘いしなくては・・・」と思っていた京都の「ま。殿」にお声を掛ければ、なんとご都合も合い、「行きまっせ!」という快諾のご返事。平素は遠く日本海、「手取川」やら「荒川」で、ダブハンを手にスペイキャストの雨霰(あめあられ)。まさにこの釣りの究極と呼ぶべき
サーモンフィッシング!
に精魂傾けるという、まさに関西屈指の、
漢(おとこ)FF師・・・
の称号を両肩に背負う氏に、「日本で一番魚がいっぱいいる川」を見せたくて・・・という気持ちからの、久々ダンデム釣行!ということに相成った次第。
さていつものようにスキー場下の駐車場に車を滑り込ませたのは、8時半過ぎ。先客となる車は3台ばかり。「すでにシーズンインした休日の石徹白」と思えば、すでに多くの先行者がいるはずのものと覚悟していただけに、「あらら・・・」と少し拍子抜けすることに。とはいえ、先行者が少ないことはありがたいことに他ならず、先ずは二人そろってそそくさと入渓の準備をした後、民宿下のプールへと向かう。件のプールにはなんと先行者が二人。ありゃりゃここはダメか・・・と思ってご様子を見れば、お二人はプールを前に懸命のルースニング・・・に精を出されているご様子。
なら、今しばらくはこのプールでゆっくりなさるはず。と一早く判断し、その上手50メートルほどの所から入渓させてもらう。(もちろん、そのご両人が予想以上にすばやく釣り上がってこられるのなら「お先にどうぞ」と道を譲るつもり・・)護岸の縁をズリズリと滑り降りれば、今年の石徹白。例年の同時期と比べべれば水量も少なく、いつもなら深みの早瀬となるところがしっかりプールになっている。先ずは、この石徹白デビューとなる「ま。殿」に、「あの辺りから始めたらどうすか?」と勧めるまでもなくティペットの先にフライを結ぶ「ま。殿」の姿を見ておれば、やはりここにも一人、正真正銘の
の姿を確認する次第。さて、流れから離れ、遠巻きに「ま。殿」の釣り姿を拝見しておれば、すでに水中の魚影を確認されたのか、懸命に同じ流れにフライを打ち込まれている。そしてなかなか反応しない魚にイライラしつつ熱中する、いわゆるこれが、
石徹白症候群(学名"Itoshiro-syndrome")・・・
と悪疫の発生。この世でもっともスレ切った魚たちが群泳するこの流れで、多くの初心者が一度は罹患するこの病気に、さっそく「ま。殿」も感染したご様子。
「そんなのあきらめて次のポイントに行けばいいのに・・・」と独りごちつつ、今しばし見つめ続けておれば、殿は前方の魚影に夢中になったあまりか、後方のブッシュにフライをかすめ取られる始末。「いやはや、みんな最初はこうなるんだよね・・・」と苦笑混じりに思いつつも、特段、アドバイスも何もしないというのが、このひげオンジ。たまの休み。ノンビリしたくてやってきた釣りで、他人から、
と口挟まれることほど煩わしいことはない!と思うがゆえのことでありますが、さてさてこんな無責任で野放図極まりない男を「ガイド」にするというのも、「ま。殿」には、途方もない悲劇なのであったのでしょうね。
なんて言いつつも、気がつけば、「ま。殿」の竿がきれいにしなって先ずは、無事にこの石徹白での入魂完了!というご様子が見て取れる。「あー、良かった、良かった、おめでとうございます。」と下流に向かって拍手をした後、「ん、じゃあ」と納得しつつ、小生も釣り開始。殿がゆっくりと追いついてくるのを待ちながら、橋下の大石周りのプールめがけてキャストを開始。
一発大きなライズがあったが、それは空振り。殿がすぐ近くまで釣り上がってきたのを見てから、流れの右側に移動しようと思い、その手前の流芯脇のタルミにフライを落とせば、すぐさま反応があり、釣れてきたのは掌サイズのチビアマゴ。
今年の石徹白第1号の魚であれば、「写真を撮ろうか・・・」とも一瞬思ったが、「ふーん、こんなチビしか釣らないんだ・・」などと後ろの殿にも思われるのも少し悔しい。ということで、「ふふん」と鼻で笑った後、本命となる大石左手の流れを行くように「ま。殿」をご案内した後、小生は、右手の土手へといったん上がる。丹念にポイントを潰しつつ、コンクリート護岸の上を進んでこられる「ま。殿」が向かう、その先の流れには、なんと立派な黒い魚体が定位しているのが偏向グラス越しにしっかり見える。
と大きな声を掛けてみても、流れの音にかき消されて殿のお耳には届かない。さすれば、今度は小生、左手に持ったロッドを懸命に流れに向けて魚の居場所を指し示す。「むむっ・・・」とばかりに、こんどは殿にも小生の考えていることがしっかりと伝わったご様子。「ここすか?」と対岸でも竿先を流れに向けて、小生のアクションに応えてくれる。「そうそう」とうなずく小生の姿を見るやいなや、先ずは殿も渾身のキャスト開始。一投目、まだ遠い。二投目、まだ遠い。三投目、右にそれた。四投目、おっ、これはいい・・・。と思えば、流れていくフライに向かって、黒い魚体がフワリと浮かび上がってくる・・・。「むむむっ・・」と固唾を呑んで見守るが、それも結局はUターン。「惜しい、今、反応したよ!」と大きな声でお声を掛ければ、「そうかそうか」とうなずく殿。「よっしゃあ!」と気合い一閃、次のキャストに移ろうとされた瞬間、なんとフライは後方に張り出したブッシュの餌食に・・・。
「あちゃあ・・・・」とため息一つついてみるが、いやはや、生まれて初めての釣り場では、それもやむかたなし。しばらく「ま。殿」がフライ交換に時間を取られるとなれば、先ずはその間、小生がその魚をからかってやろうと、キャストするその二投目。
ってまぁ、いったいこの世のどこにいったい、
ゲストほったらかしといて、自分勝手に先に釣ってしまうガイド!(>_<)
なんてものが存在するのか?
まま、かくも恐ろしいものを目の当たりにしたいとお考えの、そこの貴方。ぜひぜひ、一度このひげオンジと釣りに行きましょうね。
さてそれから先もこの通称、
を二人で釣り上がっていく。可能な限り殿を先行させるため、こちらは殿が攻め逃すような、地味極まりないポイントを、ほぼ8ヶ月ぶりの、
ひげひげジックリ釣法
などで攻めていく。
ちなみに今年の石徹白。水量の少ないため、水温が上がるのも早いのか、あちこちで反応がある。特に大岩下のエグレを繰り返し繰り返しキャストし、十投目で出した25センチのおデブイワナなど、「やっぱ、イワナ釣りはこうだよね」と、これも8ヶ月の自画自賛となった次第。
さて、普段は大川での豪快な釣りに夢中になられる殿のご様子を伺えば、
ま。:「こんなチビコイ魚の釣り方は忘れましたわ・・・」
などと苦笑混じりのご挨拶。さらにはこのようなブッシュに囲まれた場所での釣りには馴れておられないせいもあって、結構苦戦されているご様子と見た。
ご本人はアマゴよりイワナを釣りたい思いでおられるようだが、小生の見る限り、「アマゴのポイント」ばかりフライを落としておられるのは、やはりあの、佐々里C&Rをホームグラウンドとなされてるせい・・・、と推察する。
さらにはこれは誰でもそうだろうが、「初めての川」というのは、いくら頑張ってみても、流れと釣りとの呼吸がしっかり合わないもの。「これは準備で、次が本命キャスト・・」と思っていても、その「準備キャスト」で魚が出たりするから始末が悪い。それゆえ、いくらヒットがあっても、「合わしきれない・・(;_;)」という結果に終わるのもやむを得ぬこと、というのがこれまで散々苦渋を呑んできたこのひげオンジの考え。先ずは苦戦続きの我等が「ま。殿」に何の落ち度があるわけではないことを、ここに釈明しておきましょう。
とまれ、いつものように、アマゴ園下のプールまで釣り上がり、先ずは小生はアマゴ2尾、イワナ5尾と、パスしたポイントが多かったにも関わらずの好釣果。いやぁ、やっぱ今年も石徹白は、
の様子であることを、読者諸兄とともに万歳三唱したいと思います。いやぁ、ほんと、良かった、良かった。
さて気がつけば時計はすでにお昼を過ぎている。アマゴ園直下の大プールでは、ほぼ完全に「インテリア」と化した渓魚たちに散々弄ばれた後、脱渓し駐車場まで戻って昼食休憩を取る。
ま。:「いやぁ、ほんま、イワナのポイントがぜんぜん判りませんわ・・・」
と嘆きの言葉を耳にしつつ、先ずは「川の中で、少しでも流れの緩い所にフライをしっかり留め置きましょうね。」などと自分でも金輪際できないことを平気でアドバイスする、平成の無責任ガイド・・・とは、まさにこのひげオンジのことなのであります。
さて、昼食休憩もとっとと終わり、午後の部をスタート。朝はほとんど見なかった駐車場の車も、今はすでに十数台を超え、やはりここは、「休日の石徹白」ということを実感させられる。まま、そんなことで悩んでいては、ここでの釣りはできない、と腹を括って先ずは午後の釣りのプランを検討。
思えば、午前中、けっこうブッシュに苦心されていたご様子の殿。となれば今度はできる限り開けた場所を・・と考えれば、当然行き着く先は、本流との合流点になるC&Rエリアの最下流部。
小生のチビ車に二人相乗り、流れに沿って広い河原へとご案内するが、なんと、そこにはすでに数名のFF師!(ご様子からすると、スクールをされていたご様子)の姿が見える。その慌ただしくも微笑ましい釣り姿を見ていると、とても割り込む気にはならず、一転、キャンプ場下流の「広河原」へと転身。
そこでもバンブーロッドを悠々と振るシニアなFF師と妙齢の美女という。怪しげなFFカップル(「禁断の恋・石徹白FF心中」なんて言葉が頭に思い浮かぶのは「赤目四十八瀧・・」がいまだ記憶の底にあるせいか)が入渓されておられる。「うーん、困りましたね」と思いつつも、まま横幅の広い釣り場だから、どこなと釣り残されたポイントはあるはずと、勝手に判断しつつ、その怪しいカップルの後ろを追うように入渓する。
なんてまぁ、先行者がいてその直後に入渓するなどというのは、まさに、
とご指摘いただくのが世の常というものであろうが、その常識を覆すのが、まさにこの石徹白C&R。時折吹き上げてくる強風を良いことに、釣り上がりのスピードを意図的に遅らしながら、丁寧にポイントを攻めつつ、できる限り、魚が逃げ隠れたと思われる岩盤の際や、ボサの下などをあきらめずにフライを流してく。すると、
とまぁ、ちゃんと結果が出てくれるから嬉しいこと限りなし。特に3時以降の日が翳り出してからは、あちこちで反応があり(とはいえ、やはり魚は渋く、結局取れたのは二発だけ。フライサイズとティペットを落としていれば、もう少し何とかなったか?)、楽しめる。大堰堤の下で、小生が釣り上がるのを待っていてくれた殿も、
ま。:「いやぁ、あの下のプールはおもろかったですねぇ。流したEHCにズバババ、ガバァンとでかイワナが飛び出して、いやぁドキドキでしたわ」
と至極ご満悦のご様子。いやはや、ほんとに、これこそが
C&Rの真実・・・
なのでしょう。本当に一日も早く日本中の川がこうなってくれることを願うばかりなのであります。
さて二人並んで大堰堤の上のプールに出れば、そこにも先行者のお姿が2名。なぜか小生達と入れ違いに脱渓されていくことを良いことに、プールでライズする、おそらくは
日本一シビアな魚たち・・・(*_*)
としばし戯れることにする。
ひげ:「ま。殿、ティペットは何号なんすか?」
ま。:「6Xだよ~ん♪」
ひげ:「やっぱ、こんなスレスレのプールじゃ、うーん、7Xか・・・、いやぁ、9Xじゃないとダメだと思うけど・・・。」
ま。「んんん?けど、何とかなるよ~ん♪」
なんてやりとりの後、ただただ「漢の釣り」に没頭し、渋いライズを攻め続ける「ま。殿」を横目に、姑息を極める小生はいそいそと9Xにティペット交換。プール最下流部に陣取る殿を横目に10メートルほど上流に位置し、キャストすること数投。バシャン!と大きな飛沫が上がり、流芯からきっちりアマゴが釣れてくる。
ひげ:「でしょ!やっぱ9Xでないと・・・」
ま。「フン!」(とシカト)
それから10分。何度かあるライズに合わせきれない小生を横目に、
という高らかな歓声。いやはや、先行者が先ほどいたばかりの、このシビアな流れをこのタックルで攻め通す釣り人も釣り人だが、それに応える魚も魚だ。いやはやどっちも小生の狭い了見などものともしない、大らかかで心豊かな存在そのものなのでありました。
さて、時計の方は午後4時半。まだまだ日射しの方は高いが、今日の釣りは本日終了!ということに。早上がりを決め込む小生にお付き合いいただいた訳でもなかろうが、「ま。殿」も今日の所はこれで十分と、ご納得のご様子。
ま。「いやぁ、こんな魚がいっぱいおる川があったんやね、ほんま、びっくりしましたわ・・・」
ひげ:「でしょ、でしょ。それじゃ、こんどは『つきちん』か『りょうちん』か、先ずはご子息といっしょに・・・、ねっ、またきっと。」
ま。「ほんまですわ、ここやったら十分に楽しめそうやね。また、いっぺん、ご一緒に!」
ということで先ずは無事終了と相成る今回のダンデム釣行。「ほんじゃ、お先に」と駐車場を走り出るHONDAの後を見送らせてもらう。さて、その後、車のナビにてあれこれ電話番号などを打ち込む小生。ちなみに今日の釣り。なぜにこれほどの早上がりをするのかと言えば、
長良川温泉!
へと夕刻6時までに行かねばならぬゆえ。何とそこには、
鬼より怖い奥方!
が待っておるのだ。ちなみに今回の釣行の数日前。
ひげ:「今度の土曜日、つきパパさん(「ま。殿」の別称)と釣りに行ってきますね。」
奥方:「えええええええええええええええええええええええええっ!このGW、あたしをどこにも連れて行ってくれなかったくせに!」\(`0´)/
ひげ:「いや、だから、その埋め合わせは、きっといつか・・・」
奥方:「だめぇぇぇぇえ!ずうぇぇぇぇったいダメ、今すぐどっかに連れってて。」
ひげ:「わ、わ、わ、判りました、判りましたから、ご、ご亭主の、くっ・・首を締め上げるその両手を離してく、く、く、くださぁぁぁぁぁぁい。」
ということで慌ててネットで検索し、必死のパッチで予約したのが、長良川温泉にある某旅館。先ずは釣りの後、夕刻にそこで待ち合わせる約束をすることで、何とかこの一命をとりとめるひげオンジ。というような命に関わる約束がある以上、釣り場に長居を決め込むことなど、ぜったいに許されることではないのだ。
さて、毎度の峠道を息せき切って上り下り、さらには東海北陸道を半泣きになりつつ南下、さらには岐阜市内の渋滞も、「おりゃりゃりゃ、何人たりともこのオンジの前を走らせねぇ!」と、阿鼻叫喚の雄叫びをあげつつ、すり抜けて行けば、なんとか時間通りに宿へと滑り込むことができた。
「もぉー、後30分早く着いたら、名物の『鵜飼』も見物ができたのに・・」などと息もたえだえの小生に毒づく奥方の姿を見ておれば、結局は毎度毎度、この奥方に手綱を握られ、良いようにあしらわれて日々を過ごすこのひげオンジの脳裏にはふと、こんな言葉が浮かんだりもする。
てなことは一切に口に出さぬまま、長良川の夜はそれはそれはおどろおどろしく・・・、ひそかにひそかに更けていくのでありました。
2012/05/013
天気予報では朝から曇りのはずが、まさに、
快晴!
極まりない、ここぎふ大和PAの喫煙所にて、一人紫煙をくゆらしているのが、なんとこのひげオンジ。「約束の時間は7時だけど、まぁ、もう少し掛かるかな・・・」などと一人呟きつつ、自販機で買った缶コーヒーなぞでグビリグビリと喉を鳴らしつつ、待つこと15分。朝日きらめく駐車場に、一台の
濃紺のHONDA・・・
が滑り込んできた。「あらまぁ、早いこと」と思いつつ、喫煙コーナーのボックスから身を乗り出し、出迎えに行けば、そこには我が愛する、
京奈滋コネクション!
の良友のお一人である。
ま。殿・・・
紫煙くゆらしつつ川面でほくそ笑む「ま。殿」
小生にはどうしてこんなに人相の悪いお仲間ばかり増えるのか?
小生にはどうしてこんなに人相の悪いお仲間ばかり増えるのか?
のお姿があった。かつてはFF界の「嘉門達夫」の異名に欲しいままにした「ま。殿」だが、いまや大学生の息子を持つ御歳になられるともなれば、さすがに腰回りなどにも一段と貫禄が見え、まさに、
FF界の六代目・笑福亭松鶴!
パワフルなキャスティングをご披露いただく「ま。殿」
・・・って、そんなに振っちゃ、ブッシュに掛かる!
・・・って、そんなに振っちゃ、ブッシュに掛かる!
クラスにグレードアップされているのは、まさに慶賀の至り。なんて、いやはや、気がつけばみんな歳を取っているのです・・・。
などという感慨もあらばこそ、先ずは、ここしばらくのご無沙汰のご挨拶もそこそこに、先ずは二人そろって先ほどの喫煙ボックスに立てこもり、松鶴師匠、もといま。殿、ならびに、そのご長男であるつきちん師匠の近況などのお話を伺うことに。きけば、
ま。:「若狭に行った『つき』は、ソルトFFでシーバス釣りまくって、毎朝、弁当のおかずにしてますわぁ!」
とのこと。今は京都を離れ、一人日本海方面にて自由気ままな大学生活をエンジョイされているというつきちん師匠。
ひげ:「それじゃあ、今度、一度海の釣りに誘ってもらわないと・・・」
ま。:「けど、あいつ、バイト忙しくて、それどころじゃないみたい。他にもボートの免許取ったり、海に潜ったりと大変みたいだから・・・」
とまぁ、つきちん師匠。ほんとに大学生になったのか、それともあの山椒大夫にさらわれた「厨子王」同様に、漁師の家に養子にもらわれてしまったのか、その実体も不明なままに、先ずは
ま。:「んじゃ、オンジさん、行きまひょか!」
という元気極まりないお声に背中を押され、再度、車は北上を始めることに。途中、コンビニで買い物などを済ませた後、ウンサカホイサカ、山道を登って下れば、そこはもちろん、
石徹白C&R・・・・
の流れが待っている。そうそう、今年もやっと皐咲く5月。小生にとってはホームグラウンドと言って良い、この川でのシーズンが始まったのだ。
ということで年券購入を第一の目的にした今回の釣行。以前から「一度お誘いしなくては・・・」と思っていた京都の「ま。殿」にお声を掛ければ、なんとご都合も合い、「行きまっせ!」という快諾のご返事。平素は遠く日本海、「手取川」やら「荒川」で、ダブハンを手にスペイキャストの雨霰(あめあられ)。まさにこの釣りの究極と呼ぶべき
サーモンフィッシング!
に精魂傾けるという、まさに関西屈指の、
漢(おとこ)FF師・・・
の称号を両肩に背負う氏に、「日本で一番魚がいっぱいいる川」を見せたくて・・・という気持ちからの、久々ダンデム釣行!ということに相成った次第。
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さていつものようにスキー場下の駐車場に車を滑り込ませたのは、8時半過ぎ。先客となる車は3台ばかり。「すでにシーズンインした休日の石徹白」と思えば、すでに多くの先行者がいるはずのものと覚悟していただけに、「あらら・・・」と少し拍子抜けすることに。とはいえ、先行者が少ないことはありがたいことに他ならず、先ずは二人そろってそそくさと入渓の準備をした後、民宿下のプールへと向かう。件のプールにはなんと先行者が二人。ありゃりゃここはダメか・・・と思ってご様子を見れば、お二人はプールを前に懸命のルースニング・・・に精を出されているご様子。
なら、今しばらくはこのプールでゆっくりなさるはず。と一早く判断し、その上手50メートルほどの所から入渓させてもらう。(もちろん、そのご両人が予想以上にすばやく釣り上がってこられるのなら「お先にどうぞ」と道を譲るつもり・・)護岸の縁をズリズリと滑り降りれば、今年の石徹白。例年の同時期と比べべれば水量も少なく、いつもなら深みの早瀬となるところがしっかりプールになっている。先ずは、この石徹白デビューとなる「ま。殿」に、「あの辺りから始めたらどうすか?」と勧めるまでもなくティペットの先にフライを結ぶ「ま。殿」の姿を見ておれば、やはりここにも一人、正真正銘の
釣り★鹿!
石徹白イワナと初のランデブーと相成った「ま。殿」
いやぁ、さてさて喜色満面!
いやぁ、さてさて喜色満面!
の姿を確認する次第。さて、流れから離れ、遠巻きに「ま。殿」の釣り姿を拝見しておれば、すでに水中の魚影を確認されたのか、懸命に同じ流れにフライを打ち込まれている。そしてなかなか反応しない魚にイライラしつつ熱中する、いわゆるこれが、
石徹白症候群(学名"Itoshiro-syndrome")・・・
と悪疫の発生。この世でもっともスレ切った魚たちが群泳するこの流れで、多くの初心者が一度は罹患するこの病気に、さっそく「ま。殿」も感染したご様子。
「そんなのあきらめて次のポイントに行けばいいのに・・・」と独りごちつつ、今しばし見つめ続けておれば、殿は前方の魚影に夢中になったあまりか、後方のブッシュにフライをかすめ取られる始末。「いやはや、みんな最初はこうなるんだよね・・・」と苦笑混じりに思いつつも、特段、アドバイスも何もしないというのが、このひげオンジ。たまの休み。ノンビリしたくてやってきた釣りで、他人から、
あーだ、こーだ・・・
アマゴ園下の大プールから下流の「ま。殿」
魚だらけの流れに悪戦苦闘しつつも、全身が笑っている!(^_^)v
魚だらけの流れに悪戦苦闘しつつも、全身が笑っている!(^_^)v
と口挟まれることほど煩わしいことはない!と思うがゆえのことでありますが、さてさてこんな無責任で野放図極まりない男を「ガイド」にするというのも、「ま。殿」には、途方もない悲劇なのであったのでしょうね。
なんて言いつつも、気がつけば、「ま。殿」の竿がきれいにしなって先ずは、無事にこの石徹白での入魂完了!というご様子が見て取れる。「あー、良かった、良かった、おめでとうございます。」と下流に向かって拍手をした後、「ん、じゃあ」と納得しつつ、小生も釣り開始。殿がゆっくりと追いついてくるのを待ちながら、橋下の大石周りのプールめがけてキャストを開始。
一発大きなライズがあったが、それは空振り。殿がすぐ近くまで釣り上がってきたのを見てから、流れの右側に移動しようと思い、その手前の流芯脇のタルミにフライを落とせば、すぐさま反応があり、釣れてきたのは掌サイズのチビアマゴ。
今年の石徹白第1号の魚であれば、「写真を撮ろうか・・・」とも一瞬思ったが、「ふーん、こんなチビしか釣らないんだ・・」などと後ろの殿にも思われるのも少し悔しい。ということで、「ふふん」と鼻で笑った後、本命となる大石左手の流れを行くように「ま。殿」をご案内した後、小生は、右手の土手へといったん上がる。丹念にポイントを潰しつつ、コンクリート護岸の上を進んでこられる「ま。殿」が向かう、その先の流れには、なんと立派な黒い魚体が定位しているのが偏向グラス越しにしっかり見える。
ひげ:「ま。殿、そこ、そこ、その先に良い魚がいますよ!」
護岸からしっかりと大物を狙う「ま。殿」
しかしこの後、裏切りと絶叫の渓と化すこの流れ・・・
しかしこの後、裏切りと絶叫の渓と化すこの流れ・・・
と大きな声を掛けてみても、流れの音にかき消されて殿のお耳には届かない。さすれば、今度は小生、左手に持ったロッドを懸命に流れに向けて魚の居場所を指し示す。「むむっ・・・」とばかりに、こんどは殿にも小生の考えていることがしっかりと伝わったご様子。「ここすか?」と対岸でも竿先を流れに向けて、小生のアクションに応えてくれる。「そうそう」とうなずく小生の姿を見るやいなや、先ずは殿も渾身のキャスト開始。一投目、まだ遠い。二投目、まだ遠い。三投目、右にそれた。四投目、おっ、これはいい・・・。と思えば、流れていくフライに向かって、黒い魚体がフワリと浮かび上がってくる・・・。「むむむっ・・」と固唾を呑んで見守るが、それも結局はUターン。「惜しい、今、反応したよ!」と大きな声でお声を掛ければ、「そうかそうか」とうなずく殿。「よっしゃあ!」と気合い一閃、次のキャストに移ろうとされた瞬間、なんとフライは後方に張り出したブッシュの餌食に・・・。
「あちゃあ・・・・」とため息一つついてみるが、いやはや、生まれて初めての釣り場では、それもやむかたなし。しばらく「ま。殿」がフライ交換に時間を取られるとなれば、先ずはその間、小生がその魚をからかってやろうと、キャストするその二投目。
釣れた・・・(^_^;)
いきなりの9寸イワナ!こんなのが2尾目に出るのだから、豊かな川です、本当に・・・
ってまぁ、いったいこの世のどこにいったい、
ゲストほったらかしといて、自分勝手に先に釣ってしまうガイド!(>_<)
なんてものが存在するのか?
まま、かくも恐ろしいものを目の当たりにしたいとお考えの、そこの貴方。ぜひぜひ、一度このひげオンジと釣りに行きましょうね。
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さてそれから先もこの通称、
石徹白銀座
瀬脇でしっかりと飛び出した昨年夏の脱走アマゴ!
とはいえ、一冬を越してずいぶんしっかりとした魚体になりました。
これもこの川の豊かさと生命力を教えてくれます。
とはいえ、一冬を越してずいぶんしっかりとした魚体になりました。
これもこの川の豊かさと生命力を教えてくれます。
を二人で釣り上がっていく。可能な限り殿を先行させるため、こちらは殿が攻め逃すような、地味極まりないポイントを、ほぼ8ヶ月ぶりの、
ひげひげジックリ釣法
などで攻めていく。
ちなみに今年の石徹白。水量の少ないため、水温が上がるのも早いのか、あちこちで反応がある。特に大岩下のエグレを繰り返し繰り返しキャストし、十投目で出した25センチのおデブイワナなど、「やっぱ、イワナ釣りはこうだよね」と、これも8ヶ月の自画自賛となった次第。
じっくり釣法、炸裂の一尾。精悍な面構えも頼もしの25センチ!
さて、普段は大川での豪快な釣りに夢中になられる殿のご様子を伺えば、
ま。:「こんなチビコイ魚の釣り方は忘れましたわ・・・」
などと苦笑混じりのご挨拶。さらにはこのようなブッシュに囲まれた場所での釣りには馴れておられないせいもあって、結構苦戦されているご様子と見た。
ご本人はアマゴよりイワナを釣りたい思いでおられるようだが、小生の見る限り、「アマゴのポイント」ばかりフライを落としておられるのは、やはりあの、佐々里C&Rをホームグラウンドとなされてるせい・・・、と推察する。
さらにはこれは誰でもそうだろうが、「初めての川」というのは、いくら頑張ってみても、流れと釣りとの呼吸がしっかり合わないもの。「これは準備で、次が本命キャスト・・」と思っていても、その「準備キャスト」で魚が出たりするから始末が悪い。それゆえ、いくらヒットがあっても、「合わしきれない・・(;_;)」という結果に終わるのもやむを得ぬこと、というのがこれまで散々苦渋を呑んできたこのひげオンジの考え。先ずは苦戦続きの我等が「ま。殿」に何の落ち度があるわけではないことを、ここに釈明しておきましょう。
とまれ、いつものように、アマゴ園下のプールまで釣り上がり、先ずは小生はアマゴ2尾、イワナ5尾と、パスしたポイントが多かったにも関わらずの好釣果。いやぁ、やっぱ今年も石徹白は、
絶好調!!(^^)!
の様子であることを、読者諸兄とともに万歳三唱したいと思います。いやぁ、ほんと、良かった、良かった。
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さて気がつけば時計はすでにお昼を過ぎている。アマゴ園直下の大プールでは、ほぼ完全に「インテリア」と化した渓魚たちに散々弄ばれた後、脱渓し駐車場まで戻って昼食休憩を取る。
ま。:「いやぁ、ほんま、イワナのポイントがぜんぜん判りませんわ・・・」
と嘆きの言葉を耳にしつつ、先ずは「川の中で、少しでも流れの緩い所にフライをしっかり留め置きましょうね。」などと自分でも金輪際できないことを平気でアドバイスする、平成の無責任ガイド・・・とは、まさにこのひげオンジのことなのであります。
さて、昼食休憩もとっとと終わり、午後の部をスタート。朝はほとんど見なかった駐車場の車も、今はすでに十数台を超え、やはりここは、「休日の石徹白」ということを実感させられる。まま、そんなことで悩んでいては、ここでの釣りはできない、と腹を括って先ずは午後の釣りのプランを検討。
思えば、午前中、けっこうブッシュに苦心されていたご様子の殿。となれば今度はできる限り開けた場所を・・と考えれば、当然行き着く先は、本流との合流点になるC&Rエリアの最下流部。
小生のチビ車に二人相乗り、流れに沿って広い河原へとご案内するが、なんと、そこにはすでに数名のFF師!(ご様子からすると、スクールをされていたご様子)の姿が見える。その慌ただしくも微笑ましい釣り姿を見ていると、とても割り込む気にはならず、一転、キャンプ場下流の「広河原」へと転身。
そこでもバンブーロッドを悠々と振るシニアなFF師と妙齢の美女という。怪しげなFFカップル(「禁断の恋・石徹白FF心中」なんて言葉が頭に思い浮かぶのは「赤目四十八瀧・・」がいまだ記憶の底にあるせいか)が入渓されておられる。「うーん、困りましたね」と思いつつも、まま横幅の広い釣り場だから、どこなと釣り残されたポイントはあるはずと、勝手に判断しつつ、その怪しいカップルの後ろを追うように入渓する。
なんてまぁ、先行者がいてその直後に入渓するなどというのは、まさに、
愚の骨頂!
広河原で引きずり出したイワナ24センチ。
体には幾つもの傷跡が見えるが、それでも元気一杯、流れの中を暴れまくった。
とまぁ、「C&Rしても魚は死ぬ!」という俗説を覆してくれる一尾なのです。
体には幾つもの傷跡が見えるが、それでも元気一杯、流れの中を暴れまくった。
とまぁ、「C&Rしても魚は死ぬ!」という俗説を覆してくれる一尾なのです。
とご指摘いただくのが世の常というものであろうが、その常識を覆すのが、まさにこの石徹白C&R。時折吹き上げてくる強風を良いことに、釣り上がりのスピードを意図的に遅らしながら、丁寧にポイントを攻めつつ、できる限り、魚が逃げ隠れたと思われる岩盤の際や、ボサの下などをあきらめずにフライを流してく。すると、
ほれ、このとおり!
これも昨夏の脱走アマゴの一尾。
とはいえしっかりと胸ビレもパーマークも復活。きれいな魚です。
とはいえしっかりと胸ビレもパーマークも復活。きれいな魚です。
とまぁ、ちゃんと結果が出てくれるから嬉しいこと限りなし。特に3時以降の日が翳り出してからは、あちこちで反応があり(とはいえ、やはり魚は渋く、結局取れたのは二発だけ。フライサイズとティペットを落としていれば、もう少し何とかなったか?)、楽しめる。大堰堤の下で、小生が釣り上がるのを待っていてくれた殿も、
ま。:「いやぁ、あの下のプールはおもろかったですねぇ。流したEHCにズバババ、ガバァンとでかイワナが飛び出して、いやぁドキドキでしたわ」
と至極ご満悦のご様子。いやはや、ほんとに、これこそが
C&Rの真実・・・
なのでしょう。本当に一日も早く日本中の川がこうなってくれることを願うばかりなのであります。
さて二人並んで大堰堤の上のプールに出れば、そこにも先行者のお姿が2名。なぜか小生達と入れ違いに脱渓されていくことを良いことに、プールでライズする、おそらくは
日本一シビアな魚たち・・・(*_*)
としばし戯れることにする。
ひげ:「ま。殿、ティペットは何号なんすか?」
ま。:「6Xだよ~ん♪」
ひげ:「やっぱ、こんなスレスレのプールじゃ、うーん、7Xか・・・、いやぁ、9Xじゃないとダメだと思うけど・・・。」
ま。「んんん?けど、何とかなるよ~ん♪」
なんてやりとりの後、ただただ「漢の釣り」に没頭し、渋いライズを攻め続ける「ま。殿」を横目に、姑息を極める小生はいそいそと9Xにティペット交換。プール最下流部に陣取る殿を横目に10メートルほど上流に位置し、キャストすること数投。バシャン!と大きな飛沫が上がり、流芯からきっちりアマゴが釣れてくる。
ひげ:「でしょ!やっぱ9Xでないと・・・」
ま。「フン!」(とシカト)
それから10分。何度かあるライズに合わせきれない小生を横目に、
ま。:「ヒットォォォオ!って、やっぱし、6Xなんだよ~ん♪♪」
渋いライズを粘りに粘ってイワナを釣り上げた「ま。殿」
やっぱ、ここでも漢(おとこ)の釣り!
やっぱ、ここでも漢(おとこ)の釣り!
という高らかな歓声。いやはや、先行者が先ほどいたばかりの、このシビアな流れをこのタックルで攻め通す釣り人も釣り人だが、それに応える魚も魚だ。いやはやどっちも小生の狭い了見などものともしない、大らかかで心豊かな存在そのものなのでありました。
さて、時計の方は午後4時半。まだまだ日射しの方は高いが、今日の釣りは本日終了!ということに。早上がりを決め込む小生にお付き合いいただいた訳でもなかろうが、「ま。殿」も今日の所はこれで十分と、ご納得のご様子。
ま。「いやぁ、こんな魚がいっぱいおる川があったんやね、ほんま、びっくりしましたわ・・・」
ひげ:「でしょ、でしょ。それじゃ、こんどは『つきちん』か『りょうちん』か、先ずはご子息といっしょに・・・、ねっ、またきっと。」
ま。「ほんまですわ、ここやったら十分に楽しめそうやね。また、いっぺん、ご一緒に!」
ということで先ずは無事終了と相成る今回のダンデム釣行。「ほんじゃ、お先に」と駐車場を走り出るHONDAの後を見送らせてもらう。さて、その後、車のナビにてあれこれ電話番号などを打ち込む小生。ちなみに今日の釣り。なぜにこれほどの早上がりをするのかと言えば、
長良川温泉!
へと夕刻6時までに行かねばならぬゆえ。何とそこには、
鬼より怖い奥方!
が待っておるのだ。ちなみに今回の釣行の数日前。
ひげ:「今度の土曜日、つきパパさん(「ま。殿」の別称)と釣りに行ってきますね。」
奥方:「えええええええええええええええええええええええええっ!このGW、あたしをどこにも連れて行ってくれなかったくせに!」\(`0´)/
ひげ:「いや、だから、その埋め合わせは、きっといつか・・・」
奥方:「だめぇぇぇぇえ!ずうぇぇぇぇったいダメ、今すぐどっかに連れってて。」
ひげ:「わ、わ、わ、判りました、判りましたから、ご、ご亭主の、くっ・・首を締め上げるその両手を離してく、く、く、くださぁぁぁぁぁぁい。」
ということで慌ててネットで検索し、必死のパッチで予約したのが、長良川温泉にある某旅館。先ずは釣りの後、夕刻にそこで待ち合わせる約束をすることで、何とかこの一命をとりとめるひげオンジ。というような命に関わる約束がある以上、釣り場に長居を決め込むことなど、ぜったいに許されることではないのだ。
食前・・・
食後・・・
ちなみにこれが当夜の夕飯の一コマ。常は魚を逃がしている小生だが、
食べるときは、ここまでしっかりご馳走になります。川の恵みに心より感謝。
ちなみにこれが当夜の夕飯の一コマ。常は魚を逃がしている小生だが、
食べるときは、ここまでしっかりご馳走になります。川の恵みに心より感謝。
さて、毎度の峠道を息せき切って上り下り、さらには東海北陸道を半泣きになりつつ南下、さらには岐阜市内の渋滞も、「おりゃりゃりゃ、何人たりともこのオンジの前を走らせねぇ!」と、阿鼻叫喚の雄叫びをあげつつ、すり抜けて行けば、なんとか時間通りに宿へと滑り込むことができた。
「もぉー、後30分早く着いたら、名物の『鵜飼』も見物ができたのに・・」などと息もたえだえの小生に毒づく奥方の姿を見ておれば、結局は毎度毎度、この奥方に手綱を握られ、良いようにあしらわれて日々を過ごすこのひげオンジの脳裏にはふと、こんな言葉が浮かんだりもする。
「いえいえ、奥方。『鵜飼』などというのは、
いつもの我が家のことではありませんか・・・」
いつもの我が家のことではありませんか・・・」
てなことは一切に口に出さぬまま、長良川の夜はそれはそれはおどろおどろしく・・・、ひそかにひそかに更けていくのでありました。
2012/05/013
2012年05月06日
赤目四十八瀧?
5月6日(日)午前0時35分
しっかりと寝ていたはずなのだが、激しい尿意に突き動かされるように目覚めるのが、このひげオンジ。
この連休中も昨日までが、勤務やら野暮用やらで封殺されていた疲れもあったのだろう。昨晩は、夕飯の晩酌で良い心持ちになるや否や、そのままコテンと寝入ってしまったのが、確か午後8時前。それから4時間あまりの睡眠時間となったはずだが、当然、それで十分な睡眠時間が確保できる訳もなく、トイレに行った後、再度布団にゴソガソゴソと潜り込んで寝ようとするが、これがもうまったくもって、
寝られない・・・(-_-;)
それならいっそ酒などあおって強引に酔っぱらうという荒技もあるが、翌朝には、「朝一から車に乗って釣りに出かけよう・・」なんて下心があるため、こんな時間に酒を飲んでは、
飲酒運転!
で即刻逮捕。ただでも危うい小生の社会的生命が完全に絶たれてしまうことになる。ということで輾転反側。布団の中でゴロリゴロリと寝返りを打ちつつ、懸命に寝ようとするが、それがもうまったくもって、
寝られない!(*_*)
時計を見れば、すでに2時半。「ええぃ、こうなったら、逆療法だ」とあらぬことを思い立っては、布団から飛び出し、ソファに腰掛け、サイドデスクのスタンドを点し、読みかけの文庫本などを取り出したりする。「本でも読めば、また眠たくなるに違いなく、それで後2時間寝られれば御の字だね」と心の中で独りごちつつ、先ず手にしたのは、
「車谷長吉/著 赤目四十八瀧心中未遂」
なる一冊。筆者渾身の「私小説!」ということらしいが、何一つちゃんとした説明のないその不可思議な世界に浸りつつ、ページを繰っていけば、なんとまぁこれが、
おもしろい!(^-^)
いやぁ、おもしろい、おもしろい、おもしろい・・・などと夢中になっているうちに、何と残っていた200ページばかりを、一気に読了。「うーんほんと、面白かったなぁ~♪」などと喜んでいるのも束の間。すっかり明るくなっていた窓の外に今になって気づくオバカがここに一人・・・という訳なのですね、皆さん。
さてさて、時計を見ればすでに午前4時40分。この連休期間、唯一の完全休暇である今日。この日を逃しては、「釣り」とは無縁のままにGWが終わってしまう。と思えば、今さら眠りにつくこともできず、慌てて濃いめのコーヒーを沸かし、半眼朦朧のまま、先ずは着替えやらタックルの準備に精を出す。時計が5時半を過ぎているのを確かめた後、「グースカーピーピ~♪」と軽快ないびきをかきつつ相も変わらず惰眠をむさぼる奥方に「じゃ、行ってきます」と形ばかりの挨拶をした後は、朝一番の空気を全て吸い込むばかりの大欠伸をかみ殺しつつ、先ずは車上の人となる。さてさて今日はどこへ参りましょうか・・・。
前日の予定では前回釣行で良い思いのできた、『佐々里C&R』へ出かけようかと考えていたが、今の小生の状態を考えれば、ひどい悪路にヒーコラ言いつつ、峠を三つ越えて行くのはさすがに睡眠不足で目を真っ赤にした小生には絶対無理と考える。万が一そのような暴挙に出ようものなら、おそらくは運転ミスで、車ごと谷底に転落。朝読んだばかりの「赤目四十八瀧心中未遂」ならぬ、
という悲惨極まりない結末を迎えることになろう。ということで、近場の釣り場はどこかにないか・・・と思案したあげくにたどり着いたのは、
という次第であります。
毎度お馴染みのこの釣り場なのだが、ここのルアーフライエリアにも、ここしばらくは全くといって通っていない。理由はといえば、この釣り場。まさに、その歩いた後は草一本生えぬという「近江商人」のDNAを限りなく色濃く受け継ぐ、
であるからだ。ルアーフライエリアの入漁料の高さ(土日祝は6時間で4200円。普通の管釣りのように10時間ばかり釣れば延長料金混みで6200円!ちなみにこれより高いのはあの「南郷水産センター」だけ)は以前からだが、さらには2年前から釣れないルアー師に対して、「よく釣るフライマン」を締め出すために、フライエリアの縮小にまで踏み出している。さらには家族連れ、初心者向けの「渓流釣り場」では、
●釣り具店のイクラ、味付けのイクラ、古いイクラは釣れません。 当店での釣りエサの購入、貸し竿のレンタルをお勧めします。(貸し切り釣り場も同じ)→当該WEB-SITEよりの引用
などという(まぁ、古いイクラは許すにしても)「こんなのぜったい嘘だろ!」というようなことを平気で言い出すは、さらに場内においても、
●バーベキュー食材(おにぎり含む)、炭、網、鉄板等の持ち込みは厳禁(万が一、持ち込みが発覚した場合には、罰金1万円に加えて、即退場・・だそう、嗚呼!)
ちなみに飲み物も持ち込んではいけないそうで、とにかく
という徹底した経営方針。これこそまさに、「グローバリズム」なる悪平等の下、「競争原理」のみを追求するこの国の貧しさを示すように思うのは、小生一人ではありますまい。
・・・などとひどいことばかりを書いていますが、少なくとも小生の知る限り、この関西でもっとも早く「ルアー・フライ専用釣り場」を開いてくれたこの釣り場。(今から20数年前、当時はフライのお稽古のために良く通ったものです)それなりの愛着があるからこそ、このような愚痴の一つも言いたくなったり・・・という小生の心情も少しばかりお察し下さいますように。
さて、せっかくの連休釣行。もちろん「ルアー・フライ釣り場」で時間を潰す気など、このひげオンジにはさらさらない。眠い目をこすりつつ、お目当てにしてきたのが、この渓流魚センター最奥部にある、
基本的には管理釣り場なのだが、まったく手の加わらない自然渓流であり、このセンターによる放流も定期的にあるため、イワナの魚影もそれなりに濃い。さらに言えば、朝7時という「営業開始時間」がしっかりと守られているため、それまでに受付前に並んでしまえば、
先行者・・・(-_-;)
の心配も全くないのだ。(万が一、同じ考えを持つ早出の釣り人がいれば、それはそれ、入渓場所をずらすという紳士協定も可能)ということで、朝6時半に駐車場へと車を滑り込ませた小生。さすがにこんなに早く来るバカは他にはおらず、先ずはユルユルとタックルの準備などすることに。
さて受付の管理事務所の前に到着したのは6時45分。すでに開場の準備をしているスタッフの若者からいきなり、「オラオラオラ、持ってる金を全部ここへ置いてけ!」などと凄まれるのかと思いきや、「おはようございます。もう少し、待っててくださいね・・」と、この上なく明るい健康な笑顔をもってご挨拶いただく。「いやぁ、やっぱりこんな爽やかな若者がいるのだから、この釣り場も捨てたもんじゃない・・・」などと、破顔一笑したのも束の間、開場時刻となるや、
青年:「自然渓流ですよね、だったら3000円いただきます!」
「えーっ、ここ2000円じゃなかったの?」などと過去の記憶を呼び起こすのも愚か。知らぬ間にきっちり1000円、値上げされていたのだ。うーん恐るべし近江商人。
さて、財布からお金を取り出しつつ、件の爽やかスタッフ青年と少しく談笑。
ひげ:「どうです、この連休中、この川もいっぱいお客さんがあったんでしょ?」
青年:「いやぁ、それがほとんど誰も入っていなくて・・・。だから今日はきっと釣れますよ。」
ひげ:「ええっ、ほんと?」
青年:「ほんとっす、ぜったいすよ!」
・・・とまぁ、それなりに人生の辛酸を舐めてきた小生ゆえに、少し眉にツバを付けつつ話を聞いておくことにしても、それでもこんな良い話を聞けば、心も浮き立つ。「そうかそうか、それなら、ムフフフ・・・」とスケベ心満載のまま、どんより曇る空の下、うっそうとした杉木立に囲まれた流れへと、歩を進める小生なのでありました。
さて、入渓直後、最初のポイントとなるのが橋を越えてすぐの所にある小堰堤上のプール。過去の記憶によれば、先ずはここで良型の「アブラハヤ」なるものを釣ってから、ここでの釣りはスタートするはず。ということで、手前の緩い流れから順々にバンク際の早い流れにフライを流して見たところ。
バシャン!
と小さな飛沫と共にフライが消える。「そうねそうね、やっぱりそうね」などとその小さな魚体を足下にまで寄せてみれば、なんとアブラ君ではなく、ちゃんとアブラ鰭を持った、
のご登場。「えーっ、この川、イワナしか放流してないはずだったのに?」などと過去の記憶を呼び起こすのも愚か。確かに標高の低いこの谷。夏場の高水温を思えばアマゴの方がちゃんと流れに残るはず(イワナを低水温求めて上流部へ遁走する)。それを思えば確かに正しい選択なのだろうけれど、今シーズン、『炭焼きの渓でアマゴ』、『佐々里でヤマメ』のお顔は十分に拝んでいる小生。「今シーズンの初岩魚ゲットだぜ!(・・って、ふ、古!)」という当初の目論見に少し暗澹たる影が差し込んだりする・・・。
というのも次に現れた落ち込み脇のポケットで無事に解消。久々の「ひげひげジックリ釣法」に、「しんぼ、たまらん!」という大慌てぶりで飛び出してくれたのが、この川で自家再生産されたおぼしき「準天然魚」。サイズはいまだし・・というものの、先ずは今シーズン最初の
ともなれば、先ずはオメデタイの一言に尽きる一尾と相成った。
そしてそれから後というもの、
と比良山中にまさに銅鑼のごとく響く小生の魂の叫びが反響する間もないほどに、良い釣りが続いていく。流芯に定位する魚影を見てのサイトの釣りでは、美形のアマゴ(残念ながら、こちらは自家再生産ではない放流魚)。そして落ち込みのエグレを狙うブラインドの釣りでは逞しいイワナが、そこここで飛び出してくれる。いやはやさてさてまったくもって、連休最終日の今日。おそらくどこの川に行っても、殊の外、苦戦を強いられるつもりでいたのが、まったくの杞憂に終わってしまう。なんとまぁ、朝7時過ぎの入渓、それからの4時間あまりで、
という余裕のツ抜け!を達成することとなりました。(ちなみにそこまで空振り3尾。バラシは4尾・・というのだから、本当に良い時にきました)なんてことになるのだから、うーん、ほんとに
人生何が起こるかわかりません。(?_?)
とまぁ、まいどまいどの感慨にふけるのも仕方のないこととご承知おき賜りたく。
などと快調極まりなく、万事が進むかと言えば、世の中はそんなに甘くない。この釣り場。先ず与えられてるローカルルールとして、
というのがある。後から入渓する釣り人のためということもあろうが、先ずはこのセンターの営業の核心部である「下流部にある初心者向け渓流釣り場」の水質保全のため、上流部で「濁り」を出されては困る・・、という間違いなく「釣り人なんか無視、あくまでも営業」という方針の結果だろう。それゆえこの川ではウェーダー着用などはもってのほか。本来なら川の中をジャブジャブと遡行すべき所でも、いったん林道へ出て迂回しなければ釣り上がれないことになる。
まま、これが元気いっぱいの青春諸君!なら問題はないのだろうが、小生のごとき
老体・・・
には結構きついものがあったりする。それに加えて、今日5月6日の天気予報といえば、
と前日にテレビで厳しく釘を刺されている。とまぁ、こんな喜ばしくない予報ほど間違いなくあたるものはなく、釣り開始1時間ほどで、空からは時折雨粒が落ちはじめ、9時を過ぎる辺りから、しばし本降りという悲しい空模様になった。ちなみにこの、小生のお馬鹿ブログにおいて、いまや確固たるレギュラーの座を占めつつあるのが、この小生と、退屈な職場にて前の机に鎮座まします、
爆裂暴言女史殿!
なのであるが、ちなみにこの4連休に入る直前、彼女と交わした会話は以下の通り・・・。
ひげ:「女史殿は、この連休、どう過ごされるんですかぁ~?」
女史:「前半は観光とショッピング。後半はエステに静養・・。連休明けにはきっとオンジ殿が驚くほどの美人に生まれ変わっているはずですわ。」
ひげ:「えーっ、それは"ブタに真珠"ってことですかぁ?」
女史:「これこれ、日本語は正しく使いましょうね。こういう場合は"真珠貝からヴィーナス・・"と言うのが正しいのです。」
ひげ:「ふーん、ところで、この小生は、休日出勤やらなにやかやで、最終の6日しか釣りに行けないんですよ。ったく、どう思います、これ!」
女史:「それはまさに、"貧乏暇なし"ということでしょうね。それとも、もしくは"因果応報"・・・って、オンジさんには、こんな言葉は少し難しいですわね。」
ひげ:「そんなことはどうでも良いですから、取りあえず、6日の日曜日だけは、"良い天気"になるよう、祈っておいてください。」
女史:「はいはい、わかりました。ではでは来る6日には、雨風雷雹(あられ)が吹き荒れるように、心を込めて祈っておくことにしますわね・・・。」
という彼女の予言のとおりになるのだから本当に恐ろしいこと。先ずは今日という一日が「雨風」だけで済み、「雷雹」までに襲われなかったこと。先ずは何よりの、
と思うべきなのでありましょう。
などとたわけたことをぬかしつつ、さらに釣り上がっていけば釣果の方も(雨天にも関わらず)ズンズンと伸びる。特に古人が『雨子(あまご)』・・・と呼んだごとく、本当に天女魚(アマゴ)の活性は良く、少し開けた流れの流芯脇を通してやれば、流れ過ぎようとする毛針を反転し追いかっては、そのド真ん中を正確無比に咥えてくれる。となれば空振りに臍(ほぞ)を噛むこともなく、確実に釣果は伸びる。後半、ドタバタと岩魚が出てくれたおかげで結局、正午を過ぎること30分。予定していた林道の終点まで釣り上がって、
という法外な結果に終われたこと、まさに天の神様に感謝してもしつくせないこととなる次第。皮肉なもので、小生が
と林道へと戻ったその直後、それまでの雨雲はいずこへか去り、鮮やかな5月の日差しが渓の隅々を照らし出すことと相成った。
朝とは違い、すっかり明るくなった林道をノコノコ戻り、再度、受付の事務所にて、入漁券変わりのリボンを返し、さらには持ち帰り魚数の確認(この川はキープの制限は5尾まで。たとえ魚籠などを持っていなくても、ちゃんと報告しないと叱られる)を済ませる。
朝とは別のスタッフの青年からは、「釣れましたか?」というまったくもて、ありきたりな質問に対し、「うん、とても良く釣れましたよ!」と少年のごとく明るくお返事してみるのだが、なぜか件のスタッフは、
「?????????」
という怪訝な様子。もしかすると「まったく、放流なんかしてないのに、なんで釣れたんだ。もしかするとこいつ、何か怪しいものでも『持ち込み』してるんじゃないだろうな?」などということを考えているのでは・・・と妙に不安になったりもするが、まま、こちらに後ろ暗いことがある訳でもなく、先ずは「ありがとやんしたぁ~♪」と元気よくご挨拶して釣り場を去ることに。
雨天にも関わらず、大勢の家族連れでにぎわうBBQコーナーを横目に、先ずは駐車場へと戻る。オホホホ・・・などとほくそ笑みつつ、ウェーディング・ブーツとソックスを脱ぎ、タックルを片づけ運転席に身を横たえて、先ずは缶コーヒーにて本日の好事に、自ら祝杯。グビリと喉を鳴らしたその直後、思い出したように後頭部に睡魔・・・がよみがえってくる。その重たい感覚を言葉にすれば、それはきっと、この小生が、悪口雑言の限り語り尽くした、この
『朽木渓流魚センターのスタッフ諸氏』やら、
いつもヘラヘラ、迷惑ばっかり掛ける小生に、日頃の恨みを晴らそうと、悪天候を願い続けた、
『爆裂暴言女史』やら、
はたまたこのGW期間中、どこにも連れて行かずに見捨て置いた、あの、
My奥方・・・
などなど各方面から、このひげオンジに送り届けられし『赤目四十八瀧』ならぬ、
だったような・・、そんな気がしたのは、たぶん気のせい?
2012/05/06
しっかりと寝ていたはずなのだが、激しい尿意に突き動かされるように目覚めるのが、このひげオンジ。
この連休中も昨日までが、勤務やら野暮用やらで封殺されていた疲れもあったのだろう。昨晩は、夕飯の晩酌で良い心持ちになるや否や、そのままコテンと寝入ってしまったのが、確か午後8時前。それから4時間あまりの睡眠時間となったはずだが、当然、それで十分な睡眠時間が確保できる訳もなく、トイレに行った後、再度布団にゴソガソゴソと潜り込んで寝ようとするが、これがもうまったくもって、
寝られない・・・(-_-;)
それならいっそ酒などあおって強引に酔っぱらうという荒技もあるが、翌朝には、「朝一から車に乗って釣りに出かけよう・・」なんて下心があるため、こんな時間に酒を飲んでは、
飲酒運転!
で即刻逮捕。ただでも危うい小生の社会的生命が完全に絶たれてしまうことになる。ということで輾転反側。布団の中でゴロリゴロリと寝返りを打ちつつ、懸命に寝ようとするが、それがもうまったくもって、
寝られない!(*_*)
時計を見れば、すでに2時半。「ええぃ、こうなったら、逆療法だ」とあらぬことを思い立っては、布団から飛び出し、ソファに腰掛け、サイドデスクのスタンドを点し、読みかけの文庫本などを取り出したりする。「本でも読めば、また眠たくなるに違いなく、それで後2時間寝られれば御の字だね」と心の中で独りごちつつ、先ず手にしたのは、
「車谷長吉/著 赤目四十八瀧心中未遂」
なる一冊。筆者渾身の「私小説!」ということらしいが、何一つちゃんとした説明のないその不可思議な世界に浸りつつ、ページを繰っていけば、なんとまぁこれが、
おもしろい!(^-^)
いやぁ、おもしろい、おもしろい、おもしろい・・・などと夢中になっているうちに、何と残っていた200ページばかりを、一気に読了。「うーんほんと、面白かったなぁ~♪」などと喜んでいるのも束の間。すっかり明るくなっていた窓の外に今になって気づくオバカがここに一人・・・という訳なのですね、皆さん。
****************************************
さてさて、時計を見ればすでに午前4時40分。この連休期間、唯一の完全休暇である今日。この日を逃しては、「釣り」とは無縁のままにGWが終わってしまう。と思えば、今さら眠りにつくこともできず、慌てて濃いめのコーヒーを沸かし、半眼朦朧のまま、先ずは着替えやらタックルの準備に精を出す。時計が5時半を過ぎているのを確かめた後、「グースカーピーピ~♪」と軽快ないびきをかきつつ相も変わらず惰眠をむさぼる奥方に「じゃ、行ってきます」と形ばかりの挨拶をした後は、朝一番の空気を全て吸い込むばかりの大欠伸をかみ殺しつつ、先ずは車上の人となる。さてさて今日はどこへ参りましょうか・・・。
前日の予定では前回釣行で良い思いのできた、『佐々里C&R』へ出かけようかと考えていたが、今の小生の状態を考えれば、ひどい悪路にヒーコラ言いつつ、峠を三つ越えて行くのはさすがに睡眠不足で目を真っ赤にした小生には絶対無理と考える。万が一そのような暴挙に出ようものなら、おそらくは運転ミスで、車ごと谷底に転落。朝読んだばかりの「赤目四十八瀧心中未遂」ならぬ、
赤目五十四歳自殺未遂・・・(T_T)
という悲惨極まりない結末を迎えることになろう。ということで、近場の釣り場はどこかにないか・・・と思案したあげくにたどり着いたのは、
朽木渓流魚センター!
ここが事務所前の入渓地点・・さてさてその先には何が?
という次第であります。
毎度お馴染みのこの釣り場なのだが、ここのルアーフライエリアにも、ここしばらくは全くといって通っていない。理由はといえば、この釣り場。まさに、その歩いた後は草一本生えぬという「近江商人」のDNAを限りなく色濃く受け継ぐ、
守銭奴管釣り・・・
「罰金いちまんえ~ん!」って、これじゃまるで吉本新喜劇・・・
であるからだ。ルアーフライエリアの入漁料の高さ(土日祝は6時間で4200円。普通の管釣りのように10時間ばかり釣れば延長料金混みで6200円!ちなみにこれより高いのはあの「南郷水産センター」だけ)は以前からだが、さらには2年前から釣れないルアー師に対して、「よく釣るフライマン」を締め出すために、フライエリアの縮小にまで踏み出している。さらには家族連れ、初心者向けの「渓流釣り場」では、
●釣り具店のイクラ、味付けのイクラ、古いイクラは釣れません。 当店での釣りエサの購入、貸し竿のレンタルをお勧めします。(貸し切り釣り場も同じ)→当該WEB-SITEよりの引用
などという(まぁ、古いイクラは許すにしても)「こんなのぜったい嘘だろ!」というようなことを平気で言い出すは、さらに場内においても、
●バーベキュー食材(おにぎり含む)、炭、網、鉄板等の持ち込みは厳禁(万が一、持ち込みが発覚した場合には、罰金1万円に加えて、即退場・・だそう、嗚呼!)
ちなみに飲み物も持ち込んではいけないそうで、とにかく
客の金をむしり取れるだけ、取る!(@_@)
なんて悪口はよそに、雨天の今日でも賑わう釣り場。
せめてお母さんの作ったおにぎりと、水筒ぐらいはOKにすべし!
せめてお母さんの作ったおにぎりと、水筒ぐらいはOKにすべし!
という徹底した経営方針。これこそまさに、「グローバリズム」なる悪平等の下、「競争原理」のみを追求するこの国の貧しさを示すように思うのは、小生一人ではありますまい。
・・・などとひどいことばかりを書いていますが、少なくとも小生の知る限り、この関西でもっとも早く「ルアー・フライ専用釣り場」を開いてくれたこの釣り場。(今から20数年前、当時はフライのお稽古のために良く通ったものです)それなりの愛着があるからこそ、このような愚痴の一つも言いたくなったり・・・という小生の心情も少しばかりお察し下さいますように。
さて、せっかくの連休釣行。もちろん「ルアー・フライ釣り場」で時間を潰す気など、このひげオンジにはさらさらない。眠い目をこすりつつ、お目当てにしてきたのが、この渓流魚センター最奥部にある、
FF戸谷川!
基本的には管理釣り場なのだが、まったく手の加わらない自然渓流であり、このセンターによる放流も定期的にあるため、イワナの魚影もそれなりに濃い。さらに言えば、朝7時という「営業開始時間」がしっかりと守られているため、それまでに受付前に並んでしまえば、
先行者・・・(-_-;)
の心配も全くないのだ。(万が一、同じ考えを持つ早出の釣り人がいれば、それはそれ、入渓場所をずらすという紳士協定も可能)ということで、朝6時半に駐車場へと車を滑り込ませた小生。さすがにこんなに早く来るバカは他にはおらず、先ずはユルユルとタックルの準備などすることに。
さて受付の管理事務所の前に到着したのは6時45分。すでに開場の準備をしているスタッフの若者からいきなり、「オラオラオラ、持ってる金を全部ここへ置いてけ!」などと凄まれるのかと思いきや、「おはようございます。もう少し、待っててくださいね・・」と、この上なく明るい健康な笑顔をもってご挨拶いただく。「いやぁ、やっぱりこんな爽やかな若者がいるのだから、この釣り場も捨てたもんじゃない・・・」などと、破顔一笑したのも束の間、開場時刻となるや、
青年:「自然渓流ですよね、だったら3000円いただきます!」
「えーっ、ここ2000円じゃなかったの?」などと過去の記憶を呼び起こすのも愚か。知らぬ間にきっちり1000円、値上げされていたのだ。うーん恐るべし近江商人。
さて、財布からお金を取り出しつつ、件の爽やかスタッフ青年と少しく談笑。
ひげ:「どうです、この連休中、この川もいっぱいお客さんがあったんでしょ?」
青年:「いやぁ、それがほとんど誰も入っていなくて・・・。だから今日はきっと釣れますよ。」
ひげ:「ええっ、ほんと?」
青年:「ほんとっす、ぜったいすよ!」
・・・とまぁ、それなりに人生の辛酸を舐めてきた小生ゆえに、少し眉にツバを付けつつ話を聞いておくことにしても、それでもこんな良い話を聞けば、心も浮き立つ。「そうかそうか、それなら、ムフフフ・・・」とスケベ心満載のまま、どんより曇る空の下、うっそうとした杉木立に囲まれた流れへと、歩を進める小生なのでありました。
****************************************
さて、入渓直後、最初のポイントとなるのが橋を越えてすぐの所にある小堰堤上のプール。過去の記憶によれば、先ずはここで良型の「アブラハヤ」なるものを釣ってから、ここでの釣りはスタートするはず。ということで、手前の緩い流れから順々にバンク際の早い流れにフライを流して見たところ。
バシャン!
と小さな飛沫と共にフライが消える。「そうねそうね、やっぱりそうね」などとその小さな魚体を足下にまで寄せてみれば、なんとアブラ君ではなく、ちゃんとアブラ鰭を持った、
おチビのアマゴ君!
のご登場。「えーっ、この川、イワナしか放流してないはずだったのに?」などと過去の記憶を呼び起こすのも愚か。確かに標高の低いこの谷。夏場の高水温を思えばアマゴの方がちゃんと流れに残るはず(イワナを低水温求めて上流部へ遁走する)。それを思えば確かに正しい選択なのだろうけれど、今シーズン、『炭焼きの渓でアマゴ』、『佐々里でヤマメ』のお顔は十分に拝んでいる小生。「今シーズンの初岩魚ゲットだぜ!(・・って、ふ、古!)」という当初の目論見に少し暗澹たる影が差し込んだりする・・・。
というのも次に現れた落ち込み脇のポケットで無事に解消。久々の「ひげひげジックリ釣法」に、「しんぼ、たまらん!」という大慌てぶりで飛び出してくれたのが、この川で自家再生産されたおぼしき「準天然魚」。サイズはいまだし・・というものの、先ずは今シーズン最初の
健気な岩魚君!
体側に白点の少ないのがここの天然育ち。放流ものとの差は一目瞭然!
ともなれば、先ずはオメデタイの一言に尽きる一尾と相成った。
そしてそれから後というもの、
「あの青年は正しかった!」
上が22センチの美麗放流アマゴ、下はもしかすると準天然の(?)イワナ
と比良山中にまさに銅鑼のごとく響く小生の魂の叫びが反響する間もないほどに、良い釣りが続いていく。流芯に定位する魚影を見てのサイトの釣りでは、美形のアマゴ(残念ながら、こちらは自家再生産ではない放流魚)。そして落ち込みのエグレを狙うブラインドの釣りでは逞しいイワナが、そこここで飛び出してくれる。いやはやさてさてまったくもって、連休最終日の今日。おそらくどこの川に行っても、殊の外、苦戦を強いられるつもりでいたのが、まったくの杞憂に終わってしまう。なんとまぁ、朝7時過ぎの入渓、それからの4時間あまりで、
アマゴ7尾にイワナ3尾・・・(^_^)v
これが本日最長寸のアマゴ24センチ。なかなかどうして・・の魚体であります。
という余裕のツ抜け!を達成することとなりました。(ちなみにそこまで空振り3尾。バラシは4尾・・というのだから、本当に良い時にきました)なんてことになるのだから、うーん、ほんとに
人生何が起こるかわかりません。(?_?)
とまぁ、まいどまいどの感慨にふけるのも仕方のないこととご承知おき賜りたく。
****************************************
などと快調極まりなく、万事が進むかと言えば、世の中はそんなに甘くない。この釣り場。先ず与えられてるローカルルールとして、
川への立ち込み禁止!
この日の小生の足元。膝下まで伸びるウェーディング・ソックスはグッド!
というのがある。後から入渓する釣り人のためということもあろうが、先ずはこのセンターの営業の核心部である「下流部にある初心者向け渓流釣り場」の水質保全のため、上流部で「濁り」を出されては困る・・、という間違いなく「釣り人なんか無視、あくまでも営業」という方針の結果だろう。それゆえこの川ではウェーダー着用などはもってのほか。本来なら川の中をジャブジャブと遡行すべき所でも、いったん林道へ出て迂回しなければ釣り上がれないことになる。
まま、これが元気いっぱいの青春諸君!なら問題はないのだろうが、小生のごとき
老体・・・
には結構きついものがあったりする。それに加えて、今日5月6日の天気予報といえば、
午前、曇り後雨。午後は晴れるも天候は不安定。
突然の雷雨、雷、突風に注意すべし・・
突然の雷雨、雷、突風に注意すべし・・
と前日にテレビで厳しく釘を刺されている。とまぁ、こんな喜ばしくない予報ほど間違いなくあたるものはなく、釣り開始1時間ほどで、空からは時折雨粒が落ちはじめ、9時を過ぎる辺りから、しばし本降りという悲しい空模様になった。ちなみにこの、小生のお馬鹿ブログにおいて、いまや確固たるレギュラーの座を占めつつあるのが、この小生と、退屈な職場にて前の机に鎮座まします、
爆裂暴言女史殿!
なのであるが、ちなみにこの4連休に入る直前、彼女と交わした会話は以下の通り・・・。
ひげ:「女史殿は、この連休、どう過ごされるんですかぁ~?」
女史:「前半は観光とショッピング。後半はエステに静養・・。連休明けにはきっとオンジ殿が驚くほどの美人に生まれ変わっているはずですわ。」
ひげ:「えーっ、それは"ブタに真珠"ってことですかぁ?」
女史:「これこれ、日本語は正しく使いましょうね。こういう場合は"真珠貝からヴィーナス・・"と言うのが正しいのです。」
ひげ:「ふーん、ところで、この小生は、休日出勤やらなにやかやで、最終の6日しか釣りに行けないんですよ。ったく、どう思います、これ!」
女史:「それはまさに、"貧乏暇なし"ということでしょうね。それとも、もしくは"因果応報"・・・って、オンジさんには、こんな言葉は少し難しいですわね。」
ひげ:「そんなことはどうでも良いですから、取りあえず、6日の日曜日だけは、"良い天気"になるよう、祈っておいてください。」
女史:「はいはい、わかりました。ではでは来る6日には、雨風雷雹(あられ)が吹き荒れるように、心を込めて祈っておくことにしますわね・・・。」
という彼女の予言のとおりになるのだから本当に恐ろしいこと。先ずは今日という一日が「雨風」だけで済み、「雷雹」までに襲われなかったこと。先ずは何よりの、
幸い・・・(-_-;)
少し濁りの入りかけた流れ。しかしこのポイントだけで2尾を追加!
と思うべきなのでありましょう。
などとたわけたことをぬかしつつ、さらに釣り上がっていけば釣果の方も(雨天にも関わらず)ズンズンと伸びる。特に古人が『雨子(あまご)』・・・と呼んだごとく、本当に天女魚(アマゴ)の活性は良く、少し開けた流れの流芯脇を通してやれば、流れ過ぎようとする毛針を反転し追いかっては、そのド真ん中を正確無比に咥えてくれる。となれば空振りに臍(ほぞ)を噛むこともなく、確実に釣果は伸びる。後半、ドタバタと岩魚が出てくれたおかげで結局、正午を過ぎること30分。予定していた林道の終点まで釣り上がって、
天女魚9尾+岩魚6尾
これが本日の最長寸、25センチの岩魚。ただし思いっきり放流魚!
という法外な結果に終われたこと、まさに天の神様に感謝してもしつくせないこととなる次第。皮肉なもので、小生が
「本日、終了~♪」
差し込む日差しの下、タックル全品、しばし虫干し・・・
と林道へと戻ったその直後、それまでの雨雲はいずこへか去り、鮮やかな5月の日差しが渓の隅々を照らし出すことと相成った。
****************************************
朝とは違い、すっかり明るくなった林道をノコノコ戻り、再度、受付の事務所にて、入漁券変わりのリボンを返し、さらには持ち帰り魚数の確認(この川はキープの制限は5尾まで。たとえ魚籠などを持っていなくても、ちゃんと報告しないと叱られる)を済ませる。
朝とは別のスタッフの青年からは、「釣れましたか?」というまったくもて、ありきたりな質問に対し、「うん、とても良く釣れましたよ!」と少年のごとく明るくお返事してみるのだが、なぜか件のスタッフは、
「?????????」
という怪訝な様子。もしかすると「まったく、放流なんかしてないのに、なんで釣れたんだ。もしかするとこいつ、何か怪しいものでも『持ち込み』してるんじゃないだろうな?」などということを考えているのでは・・・と妙に不安になったりもするが、まま、こちらに後ろ暗いことがある訳でもなく、先ずは「ありがとやんしたぁ~♪」と元気よくご挨拶して釣り場を去ることに。
雨天にも関わらず、大勢の家族連れでにぎわうBBQコーナーを横目に、先ずは駐車場へと戻る。オホホホ・・・などとほくそ笑みつつ、ウェーディング・ブーツとソックスを脱ぎ、タックルを片づけ運転席に身を横たえて、先ずは缶コーヒーにて本日の好事に、自ら祝杯。グビリと喉を鳴らしたその直後、思い出したように後頭部に睡魔・・・がよみがえってくる。その重たい感覚を言葉にすれば、それはきっと、この小生が、悪口雑言の限り語り尽くした、この
『朽木渓流魚センターのスタッフ諸氏』やら、
いつもヘラヘラ、迷惑ばっかり掛ける小生に、日頃の恨みを晴らそうと、悪天候を願い続けた、
『爆裂暴言女史』やら、
はたまたこのGW期間中、どこにも連れて行かずに見捨て置いた、あの、
My奥方・・・
などなど各方面から、このひげオンジに送り届けられし『赤目四十八瀧』ならぬ、
アッカンo< ̄ ̄┰ ̄ ̄>o ベーーー
四十八連発!
四十八連発!
だったような・・、そんな気がしたのは、たぶん気のせい?
2012/05/06
2012年04月20日
Déjà-vu!
4月18日、水曜日
明日は朝から出張だ!ということで、いつになくテキパキ仕事場で走り回る健気な50代といえば、これはもう間違いなく、このひげオンジに他ならず、いつもはまったくもってのダメダメ人間であっても、こんな時ぐらいは、
やる時はやる!
という雰囲気ぐらいは大切にしたいもの。もちろん、ジタバタと走り回っているだけで、仕事の方はまったく片づいていないということなど、このブログをご愛読いただく読者諸兄には先般ご承知のことであろうが・・・・。
って、どっかで書いたことないか、この文章。なんて言いつつ、ふと思い出すのは一年前。去年の今頃もこんな風に出張予定を翌日に控え、準備万端整えた後、突然のドタキャン!ということがあったが、なんとまぁ、今年もまったく同じことになってしまう。ということで先ずは前日の職場の様子をダイジェストにてご報告。
****************************************
ひげオンジ:「んじゃ、女史殿(目の前に座っている職場同僚)、明日は9時に現地集合で良いですな。」
暴言女史:「えっ、ひげオンジ殿も来るんですか?」
オンジ:「はぁあ?だって明日は上司殿と三人で、クライアントを現地案内する予定なんでしょう。」
女史:「いや、もうそれは上司殿とあたくし、二人で済ませるように決まっています。」
オンジ:「えーっ、そんなの聞いてないよ。」
女史:「何を言ってるんですか。上司殿からちゃんと話はあったはず。オンジは頭だけでなく、とうとう耳まで悪くなったんですか?」
オンジ:「けど、そのつもりで仕事の段取りはしてあるんだし・・・。」
女史:「いいじゃないですか。明日もし暇になるなら有給もらって釣りにでも行ってきたら。」
オンジ:「えっ、ほんと、良いのそれで?」
女史:「良いです、良いです。だいたい、オンジ殿さえいなけ・・・オホン、えー、そもそもオンジへの連絡を忘れたのは上司殿なんだし、気にする必要はないでしょう。」
オンジ:「ふ~ん、なんか、すっきりしないけど・・・。んじゃ、先ずはお言葉に甘えさせていただくことに・・・」
****************************************
ということで翌日の午前7時30分。我が愛車は昨年同様、京都府南丹市美山町佐々里川のほとりへと滑り込むことになった。晴天の四月。ゆったりと流れる川を見ていれば、これぞまさに
というものの存在を改めて痛感することと相成る次第。
ここを訪ねる釣り人に、きちんと入漁券を売ってくださる、まさに鄙にはまれな瀟洒なカフェテラスと呼ぶべき「スペースウッド」のドアをしずしずと開けつつ、「おはようございまぁす!」とまぁ、小学生もかくやと言わんばかりの元気な声でご挨拶すれば、この釣り場の管理人殿から、すかさず「おはようございます」とのお返事が返ってくる。
後はいつものように氏名、住所、電話番号等、必要事項を記入申請した後、大枚3000円を支払って一日入漁券を購入。まったく管釣り並の法外な値段だが、小生の住むこの関西で、ほとんど唯一と言って良いこのC&Rエリア。これまでの、そしてこれからのこの釣り場の存続を願う気持ちから、ほとんど
と思えば特段高いとも思わないから不思議。できればこの釣り場が成功することで、この先ちゃんとしたC&Rエリアがこの関西にも定着することを願うのは、小生一人では決してないでしょう。
さて管理人殿に現在の現在の状況を聞けば、
管理人殿:「うーん、今年は春が来るのがまるまる2週間ほど遅い感じですね。でも、魚の方は結構出てくるので楽しめるはずですよ」
とのお言葉。それさえ聞けば後はもう百人力。「よぉし、釣るぞ!」と息高く、先ずはカフェから下ること1km弱。今は使われなくなった建屋の前に車を停めて、いそいそと支度に掛かる。さてさて今年の佐々里はいかなるものぞ・・・。
ちなみにかっきり1年ぶりとなるこの流れ。我が自宅からは距離にして66km。冬期には閉鎖されるというきつい山道を二つ通らねばならぬゆえ、山坂道にさんざ苦しめられるとはいえ、さほど遠い釣り場ではない。となれば、ここをホームリバーにして通年楽しめば良いではないか、というご意見なども各方面から小生に寄せられることになろうが、それがどうにもこうにもそうは問屋の大根下ろし。この佐々里。何と言っても標高のさほど高くない里川であるだけに、
がやたらめったら毛針をつつく。少しでも流れの緩い所を流そうものなら、ポチャン、ポチャンと妙に貧相くさいライズでフライをどこかに持って行ってしまう。んじゃ、こいつらを避けるためにティペット太く、フライも大きくすれば、今度はC&R特有のスレきったヤマメ君にまったく相手をしてもらえないというジレンマに突入する。
というあちらを立てればこちらが立たない・・・とまさに「煩悶と葛藤の釣り場」・・・というのがここ佐々里C&Rの真実なのであります。それゆえ年券を買ってフルシーズン楽しもうという気持ちにならないというのが実のところ。とはいえ、小生の暮らす関西エリアは基本的に
アマゴ文化圏!
日帰りでヤマメのお顔を拝見できるのは唯一ここだけ、ということなれば、少なくとも年に一度は必ず通うべき必然性を持った流れなのであります。
さて入渓後一時間。予定通り(?)カワムツを4尾ほどリリースした後、小さな堰堤を一つ越えて広いチャラ瀬に出る。少し深みになったボサ下の流れにフライを流せば、すかさず
というしっかりしたライズ。よっしゃ!とロッドを立てれば、グングングンとそれまでとは打って変わった重たい動きが掌一面を喜ばせる。流れに乗って下流へと遁走を試みる魚をなだめつつ足下まで寄せてみれば、
デ、デカイ・・!(^^)!
これはもう間違いなく小生にとっての佐々里レコードとなる一尾と感激しつつ、ネットを取ろうと右手を背中に回してみれば、なんとネットのカールコードがこんがらかっており、いきなりネットは流れの中に水没。ありゃりゃと思い、ネットを拾おうと竿先から気持ちが切れた瞬間に、
フツッ・・・・
とばかりに手応えが消える。うーん・・・これぞまさしく、
とまれ、世に言う言葉に万が一の間違いはないなと改めて痛感する次第。いやはやさてさてまったくもってのスットコドッコイ・・・なのであります。
さて激しく落ち込んだのも束の間。次なるチャラ瀬に立てば何とパッシャというライズが見える。「そうかそうか、底に君はいるのか・・」と心の中で二度呟いた後、その上手50センチのほどの所にフライを浮かべ、すーっと流れに乗せてやれば、
バシャン!
という小さな飛沫と共に白銀の魚体が朝日と流れのにきらめいて見える。先ほどの失敗があるために、先ずはしっかりフッキングを確認した後、慌てず騒がずゆっくりしっかりネットを右手にそっと流れに差し込んでみれば、ようやくのこと
のご登場と相成った。サイズは20cmほどだが、稚魚放流なのか再生産なのか、そのいずれかは分からぬものの、白銀の魚体がまぶしく精悍な面構えの好もしい体高高い一尾。毎度のこととは言いながら、先ずはこのボ☆ズ逃れの一尾こそ、何より喜ばしい限りなのであります。
さてそれから先もそれなりに反応はあるのだが、どれも乗らず釣れずの悪循環に突入することに。さらに進んだ堰堤下では右上手でしっかりとしたライズを思い切り空振りした後、左上手に流す毛針が流れに飲まれ、ズンと水没するやいなや、ツンと光る魚影が見える。オレンジ色のウィングが視界から消えるやいなや、スンとロッドを立てれば、グングンとラインは堰堤真下へと走っていく。まま、それにも慌てることなくネットインしたのは、これがもう完璧にして混じりっけなしの
遊泳力の弱い今春の放流魚なのであろう。深みに潜んで先ずは体力回復に努めつつおったのが、不運にもこのひげオンジの罠に掛かったという次第。まま、上司にだまされ、一瞬途方に暮れていた小生のことを思えば、これで
おあいこ!
ということにきっとなるのであろう。
さてそれから先もノンノンズイズイと釣り上がっていくが、いくつもあるライズのうちフッキングできるのはカワムツ君ばかり・・・。時には白銀のボディを水面上の飛び散らかしてのスプラッシュライズまであるのだが、ことごとく乗らない。
「うーん、これだけ魚が勢いよく飛び出すっていうのは、川底ぎりぎりに定位する魚が、一気に水面まで飛び出してくるせいなのか?」
なんて一丁前の口を利くなど十年早いが、先ずは、やはり今日の佐々里。管理人さんのおっしゃったとおり、時期的に、まだ二週間早い・・・いうことなのでしょう。とはいえ、ニンフでトロ場を沈めるとなると、カワムツ君の急襲にてんてこ舞いするはず。いやはやまったくトホホホホ・・・という感じで午前の部を終了。5時間あまり遡行して結果は2尾!というまったくお粗末極まりない、というのもなぜか
既視感(déjà-vu)
なのであったりしますねぇ。
缶コーヒーとサンドイッチ、それにバームクーヘンというお馴染みの昼食を済ました後、さてさて午後はどうしましょうか?と頭を少しひねりつつも、ここでもやっぱり登場するのは、
既視感(déjà-vu)
去年も午後の釣りはここを地元とする京都の釣友「ま。殿」の言葉がふと思い出される。その言葉とは、
ま。殿:「ひげオヤジさん(当時)、ここ(佐々里C&R)では『☆@%♀▲♪?』が、ものごっつ、おもしろおまっせ!」
ということで今年も午後の釣りは『☆@%♀▲♪?』とすることに決定。先ずは1番のショートロッドにタックルを取り替え、昨年同様、「ええっ!まさか、こんなところで・・・」というシチュエーションに飛び込んでいく。
ここ佐々里、昨年と違う点を唯一言えば、「減水」ということになろうか。昨年ならためらわずにフライを流したポイントがことごとく浅く、しばらくは歩くだけのこととなってしまう。それでも10分後。少し深みになったバンクの際に毛針を落とせば、
という飛沫が上がって、グリグリグリというしっかりとした手応えが掌全体に響き渡る。
「いやぁ、やっぱ佐々里は『☆@%♀▲♪?』だよね!」
と独りごちつつ、それでもチビ助ばかりに遊んでもらった昨年とは違い、いきなりの20cm。それに気をよくして、あれこれ工夫しつつキャストを続ければ、
ということに。そのどれも体高高く、胸ビレをピンと張った美麗な魚。いやはや昨春、このひげオンジがリリースした子達が、みんな大人になって戻ってきたのかな・・・と思ったりする。いやはや、やっぱC&Rの威力たるや、まさにこの上ないものなのであったりすますね。
それから後は、ここというポイントでは必ず何らかの反応があり、そのうちの幾つかがロッドをキュンと曲げてくれる。時にバックの開けた箇所では、落ち込みから広がる緩い流れに堂々としたロングキャスト。そして悠々と流れるフライに大きなライズ。反射的にロッドをあおれば、すかさずラインが水面に突き刺さる・・・とまぁ。
という実感を心の底から味わったりする。いやはや、おマヌケ上司殿やら暴言女史やら、何人ものおかげで拾うことのできたこの休日。本当に悪いはずのことが法外な喜びに変わったりするという、まさに
ということを実感できる良い一日となりました。
さて、午後だけで結局は8尾を追加し、先ずは目標の「ツ抜け!」を達成した小生。帰りの悪路を思えば、それほど長居の許されぬというのが、この佐々里川。4時半に納竿し、再度、入漁券を購入したカフェへと戻り駐車券を返却する。「鄙にはまれな」という言葉がまさにうってつけな可愛らしい奥方殿に本日の釣果を報告した後、帰路へと着くことにした小生。「あっ、そうそう・・」と思い出すのは仕事のこと。痩せても枯れてもこの国の給与所得者の一人である以上、そのことを忘れていては明日からの生活が成り立たない。
先ずはポケットから携帯などを取り出し、苦手なメールなどを入力する。
ひげオンジ:「今日は勝手してごめんなさい。クライアントの方はどうだったでしょうか?直接の担当がいなくてクレームがついたのではと心配しています。」
などという文面を送信した後、すぐさま返ってきた返信といえば、
暴言女史:「仕事の方はいたって順調。『担当は、仕事を放り出して釣りに行った』と報告しました所、クライアントも、『そうか、それは良かった・・』とのお返事でした。『できれば激流に呑まれて明日からはその姿が消えてなくなれば良いのに・・』というのが上司殿、およびクライアントのご意見のようですが、その後始末をしなければならないわたくしのために、先ずは無事にお帰り下さいませ。では。」
などという心温まるメッセージ。そうかそうか、そんなに小生のことを大事に思って下さるのか・・・なんて誤解も六階もあらばこそ、先ずはこんなメールまでもが、この先、この小生にはきっと、
となるものだったりして・・・。うーん、それじゃ・・・、やっぱり・・・、今しばらくは死ねないねなどと、いつになく神妙に思う小生なのでありました。
明日は朝から出張だ!ということで、いつになくテキパキ仕事場で走り回る健気な50代といえば、これはもう間違いなく、このひげオンジに他ならず、いつもはまったくもってのダメダメ人間であっても、こんな時ぐらいは、
やる時はやる!
という雰囲気ぐらいは大切にしたいもの。もちろん、ジタバタと走り回っているだけで、仕事の方はまったく片づいていないということなど、このブログをご愛読いただく読者諸兄には先般ご承知のことであろうが・・・・。
って、どっかで書いたことないか、この文章。なんて言いつつ、ふと思い出すのは一年前。去年の今頃もこんな風に出張予定を翌日に控え、準備万端整えた後、突然のドタキャン!ということがあったが、なんとまぁ、今年もまったく同じことになってしまう。ということで先ずは前日の職場の様子をダイジェストにてご報告。
****************************************
ひげオンジ:「んじゃ、女史殿(目の前に座っている職場同僚)、明日は9時に現地集合で良いですな。」
暴言女史:「えっ、ひげオンジ殿も来るんですか?」
オンジ:「はぁあ?だって明日は上司殿と三人で、クライアントを現地案内する予定なんでしょう。」
女史:「いや、もうそれは上司殿とあたくし、二人で済ませるように決まっています。」
オンジ:「えーっ、そんなの聞いてないよ。」
女史:「何を言ってるんですか。上司殿からちゃんと話はあったはず。オンジは頭だけでなく、とうとう耳まで悪くなったんですか?」
オンジ:「けど、そのつもりで仕事の段取りはしてあるんだし・・・。」
女史:「いいじゃないですか。明日もし暇になるなら有給もらって釣りにでも行ってきたら。」
オンジ:「えっ、ほんと、良いのそれで?」
女史:「良いです、良いです。だいたい、オンジ殿さえいなけ・・・オホン、えー、そもそもオンジへの連絡を忘れたのは上司殿なんだし、気にする必要はないでしょう。」
オンジ:「ふ~ん、なんか、すっきりしないけど・・・。んじゃ、先ずはお言葉に甘えさせていただくことに・・・」
****************************************
ということで翌日の午前7時30分。我が愛車は昨年同様、京都府南丹市美山町佐々里川のほとりへと滑り込むことになった。晴天の四月。ゆったりと流れる川を見ていれば、これぞまさに
既視感(déjà-vu)
ここ佐々里の看板。下の数字はこの呪われた村でかつて起こったという、
「佐々里38人殺し」を記念するもの(っていうのは、まったくのウソですよ~ん♪)
「佐々里38人殺し」を記念するもの(っていうのは、まったくのウソですよ~ん♪)
というものの存在を改めて痛感することと相成る次第。
ここを訪ねる釣り人に、きちんと入漁券を売ってくださる、まさに鄙にはまれな瀟洒なカフェテラスと呼ぶべき「スペースウッド」のドアをしずしずと開けつつ、「おはようございまぁす!」とまぁ、小学生もかくやと言わんばかりの元気な声でご挨拶すれば、この釣り場の管理人殿から、すかさず「おはようございます」とのお返事が返ってくる。
後はいつものように氏名、住所、電話番号等、必要事項を記入申請した後、大枚3000円を支払って一日入漁券を購入。まったく管釣り並の法外な値段だが、小生の住むこの関西で、ほとんど唯一と言って良いこのC&Rエリア。これまでの、そしてこれからのこの釣り場の存続を願う気持ちから、ほとんど
寄付!
煙突からは煙。ここ佐々里ではまだまだストーブが必要だったり・・・
ここにもこんな看板が。がんばれ関西屈指のヤマメの川!
と思えば特段高いとも思わないから不思議。できればこの釣り場が成功することで、この先ちゃんとしたC&Rエリアがこの関西にも定着することを願うのは、小生一人では決してないでしょう。
さて管理人殿に現在の現在の状況を聞けば、
管理人殿:「うーん、今年は春が来るのがまるまる2週間ほど遅い感じですね。でも、魚の方は結構出てくるので楽しめるはずですよ」
とのお言葉。それさえ聞けば後はもう百人力。「よぉし、釣るぞ!」と息高く、先ずはカフェから下ること1km弱。今は使われなくなった建屋の前に車を停めて、いそいそと支度に掛かる。さてさて今年の佐々里はいかなるものぞ・・・。
小生の地元ではすでに見頃を過ぎた桜が、ここではこれから・・・
ちなみにかっきり1年ぶりとなるこの流れ。我が自宅からは距離にして66km。冬期には閉鎖されるというきつい山道を二つ通らねばならぬゆえ、山坂道にさんざ苦しめられるとはいえ、さほど遠い釣り場ではない。となれば、ここをホームリバーにして通年楽しめば良いではないか、というご意見なども各方面から小生に寄せられることになろうが、それがどうにもこうにもそうは問屋の大根下ろし。この佐々里。何と言っても標高のさほど高くない里川であるだけに、
こいつ!
これなら一日100尾でも釣れる(?)トボケた顔がまた憎らしい
がやたらめったら毛針をつつく。少しでも流れの緩い所を流そうものなら、ポチャン、ポチャンと妙に貧相くさいライズでフライをどこかに持って行ってしまう。んじゃ、こいつらを避けるためにティペット太く、フライも大きくすれば、今度はC&R特有のスレきったヤマメ君にまったく相手をしてもらえないというジレンマに突入する。
というあちらを立てればこちらが立たない・・・とまさに「煩悶と葛藤の釣り場」・・・というのがここ佐々里C&Rの真実なのであります。それゆえ年券を買ってフルシーズン楽しもうという気持ちにならないというのが実のところ。とはいえ、小生の暮らす関西エリアは基本的に
アマゴ文化圏!
日帰りでヤマメのお顔を拝見できるのは唯一ここだけ、ということなれば、少なくとも年に一度は必ず通うべき必然性を持った流れなのであります。
さて入渓後一時間。予定通り(?)カワムツを4尾ほどリリースした後、小さな堰堤を一つ越えて広いチャラ瀬に出る。少し深みになったボサ下の流れにフライを流せば、すかさず
バシャン!
さてさて、今日もひげオンジのFF日和ですねぇ~♪
というしっかりしたライズ。よっしゃ!とロッドを立てれば、グングングンとそれまでとは打って変わった重たい動きが掌一面を喜ばせる。流れに乗って下流へと遁走を試みる魚をなだめつつ足下まで寄せてみれば、
デ、デカイ・・!(^^)!
これはもう間違いなく小生にとっての佐々里レコードとなる一尾と感激しつつ、ネットを取ろうと右手を背中に回してみれば、なんとネットのカールコードがこんがらかっており、いきなりネットは流れの中に水没。ありゃりゃと思い、ネットを拾おうと竿先から気持ちが切れた瞬間に、
フツッ・・・・
とばかりに手応えが消える。うーん・・・これぞまさしく、
逃がした魚は大きい(T_T)
とまれ、世に言う言葉に万が一の間違いはないなと改めて痛感する次第。いやはやさてさてまったくもってのスットコドッコイ・・・なのであります。
さて激しく落ち込んだのも束の間。次なるチャラ瀬に立てば何とパッシャというライズが見える。「そうかそうか、底に君はいるのか・・」と心の中で二度呟いた後、その上手50センチのほどの所にフライを浮かべ、すーっと流れに乗せてやれば、
バシャン!
という小さな飛沫と共に白銀の魚体が朝日と流れのにきらめいて見える。先ほどの失敗があるために、先ずはしっかりフッキングを確認した後、慌てず騒がずゆっくりしっかりネットを右手にそっと流れに差し込んでみれば、ようやくのこと
佐々里ヤマメ!
のご登場と相成った。サイズは20cmほどだが、稚魚放流なのか再生産なのか、そのいずれかは分からぬものの、白銀の魚体がまぶしく精悍な面構えの好もしい体高高い一尾。毎度のこととは言いながら、先ずはこのボ☆ズ逃れの一尾こそ、何より喜ばしい限りなのであります。
さてそれから先もそれなりに反応はあるのだが、どれも乗らず釣れずの悪循環に突入することに。さらに進んだ堰堤下では右上手でしっかりとしたライズを思い切り空振りした後、左上手に流す毛針が流れに飲まれ、ズンと水没するやいなや、ツンと光る魚影が見える。オレンジ色のウィングが視界から消えるやいなや、スンとロッドを立てれば、グングンとラインは堰堤真下へと走っていく。まま、それにも慌てることなくネットインしたのは、これがもう完璧にして混じりっけなしの
放流ヤマメ・・(-_-;)
こいつはニジマスか!とまで一瞬思う、黒点の目立つ派手な魚体・・
遊泳力の弱い今春の放流魚なのであろう。深みに潜んで先ずは体力回復に努めつつおったのが、不運にもこのひげオンジの罠に掛かったという次第。まま、上司にだまされ、一瞬途方に暮れていた小生のことを思えば、これで
おあいこ!
ということにきっとなるのであろう。
さてそれから先もノンノンズイズイと釣り上がっていくが、いくつもあるライズのうちフッキングできるのはカワムツ君ばかり・・・。時には白銀のボディを水面上の飛び散らかしてのスプラッシュライズまであるのだが、ことごとく乗らない。
「うーん、これだけ魚が勢いよく飛び出すっていうのは、川底ぎりぎりに定位する魚が、一気に水面まで飛び出してくるせいなのか?」
なんて一丁前の口を利くなど十年早いが、先ずは、やはり今日の佐々里。管理人さんのおっしゃったとおり、時期的に、まだ二週間早い・・・いうことなのでしょう。とはいえ、ニンフでトロ場を沈めるとなると、カワムツ君の急襲にてんてこ舞いするはず。いやはやまったくトホホホホ・・・という感じで午前の部を終了。5時間あまり遡行して結果は2尾!というまったくお粗末極まりない、というのもなぜか
既視感(déjà-vu)
なのであったりしますねぇ。
****************************************
缶コーヒーとサンドイッチ、それにバームクーヘンというお馴染みの昼食を済ました後、さてさて午後はどうしましょうか?と頭を少しひねりつつも、ここでもやっぱり登場するのは、
既視感(déjà-vu)
去年も午後の釣りはここを地元とする京都の釣友「ま。殿」の言葉がふと思い出される。その言葉とは、
ま。殿:「ひげオヤジさん(当時)、ここ(佐々里C&R)では『☆@%♀▲♪?』が、ものごっつ、おもしろおまっせ!」
ということで今年も午後の釣りは『☆@%♀▲♪?』とすることに決定。先ずは1番のショートロッドにタックルを取り替え、昨年同様、「ええっ!まさか、こんなところで・・・」というシチュエーションに飛び込んでいく。
ここ佐々里、昨年と違う点を唯一言えば、「減水」ということになろうか。昨年ならためらわずにフライを流したポイントがことごとく浅く、しばらくは歩くだけのこととなってしまう。それでも10分後。少し深みになったバンクの際に毛針を落とせば、
パシャン!
という飛沫が上がって、グリグリグリというしっかりとした手応えが掌全体に響き渡る。
「いやぁ、やっぱ佐々里は『☆@%♀▲♪?』だよね!」
と独りごちつつ、それでもチビ助ばかりに遊んでもらった昨年とは違い、いきなりの20cm。それに気をよくして、あれこれ工夫しつつキャストを続ければ、
立て続けの4尾・・(^_^)v
どちらも小生のイメージ通りのヤマメ君!C&R万歳なのであります
ということに。そのどれも体高高く、胸ビレをピンと張った美麗な魚。いやはや昨春、このひげオンジがリリースした子達が、みんな大人になって戻ってきたのかな・・・と思ったりする。いやはや、やっぱC&Rの威力たるや、まさにこの上ないものなのであったりすますね。
それから後は、ここというポイントでは必ず何らかの反応があり、そのうちの幾つかがロッドをキュンと曲げてくれる。時にバックの開けた箇所では、落ち込みから広がる緩い流れに堂々としたロングキャスト。そして悠々と流れるフライに大きなライズ。反射的にロッドをあおれば、すかさずラインが水面に突き刺さる・・・とまぁ。
This is Fly-Fishing!
流れの中央から勢いよく飛び出してきたアマゴ君!ちょっとビックリ・・
という実感を心の底から味わったりする。いやはや、おマヌケ上司殿やら暴言女史やら、何人ものおかげで拾うことのできたこの休日。本当に悪いはずのことが法外な喜びに変わったりするという、まさに
人生万事塞翁が馬・・・
ヤマメとアマゴ・・これだけボディに差があれば、この小生でも見分けは付く!
ということを実感できる良い一日となりました。
****************************************
さて、午後だけで結局は8尾を追加し、先ずは目標の「ツ抜け!」を達成した小生。帰りの悪路を思えば、それほど長居の許されぬというのが、この佐々里川。4時半に納竿し、再度、入漁券を購入したカフェへと戻り駐車券を返却する。「鄙にはまれな」という言葉がまさにうってつけな可愛らしい奥方殿に本日の釣果を報告した後、帰路へと着くことにした小生。「あっ、そうそう・・」と思い出すのは仕事のこと。痩せても枯れてもこの国の給与所得者の一人である以上、そのことを忘れていては明日からの生活が成り立たない。
先ずはポケットから携帯などを取り出し、苦手なメールなどを入力する。
ひげオンジ:「今日は勝手してごめんなさい。クライアントの方はどうだったでしょうか?直接の担当がいなくてクレームがついたのではと心配しています。」
などという文面を送信した後、すぐさま返ってきた返信といえば、
暴言女史:「仕事の方はいたって順調。『担当は、仕事を放り出して釣りに行った』と報告しました所、クライアントも、『そうか、それは良かった・・』とのお返事でした。『できれば激流に呑まれて明日からはその姿が消えてなくなれば良いのに・・』というのが上司殿、およびクライアントのご意見のようですが、その後始末をしなければならないわたくしのために、先ずは無事にお帰り下さいませ。では。」
などという心温まるメッセージ。そうかそうか、そんなに小生のことを大事に思って下さるのか・・・なんて誤解も六階もあらばこそ、先ずはこんなメールまでもが、この先、この小生にはきっと、
既視感(déjà-vu)
となるものだったりして・・・。うーん、それじゃ・・・、やっぱり・・・、今しばらくは死ねないねなどと、いつになく神妙に思う小生なのでありました。
2012/04/19
2012年03月23日
早く、早く・・・
3月22日、木曜日、午前7時半
いつもなら職場に向かう車中にいるはずの、このひげオンジ。なぜか今日はまだ自宅。しかも本人がもっとも苦手とするところの携帯メールなぞを懸命に打ち込んでいる。
送信:おはよーごぜぇます。ひげオンジです。
昨夜来、まっとうな社会人として出勤すべきか、やさぐれた釣りバカとして森の中に行くか、迷っておったのですが、やっぱり、花粉だらけ!の森の中へ行くことにしました。
ということで、今日は一日休みをもらいますので、後のことはよろしく。 ちなみに鬼より怖い上司殿には、ひげオンジ突然の発熱!と嘘八百億円で、伝えておいてくださいね・・・。ではでは、(^_^)/~
などという文面の送信先は、実を申せば、同じ職場で机を向かい合わせる同僚女史。この2年間、同じ職責を全うしつつ過ごした気安さもあり、こんなくだけた文面でも許してもらえる(はず?)。
とはいえ、かの女史。仕事は小生の2倍も3倍もできる(ちなみに彼女曰く「私ができるんじゃなく、あなたができなさすぎるだけ」とのこと)才色兼備の一人なのだが、唯一欠点となるのが、その冷酷無比な人間批評。ちなみに彼女に与えられた職場でのニックネームは、
爆裂暴言女史!
その辛辣極める発言には(どれもが正確極まりないため)、上司ですらみな廊下を避けて通るというのだからまさに本物。メール送信後、フライベストの準備に精を出していた小生の横で鳴り出す携帯を手に、返信メールを見ればかくのごとし・・・
RE:おはようございます。今日はお休みとのこと了解しました。
ひげオンジ殿がお休みともなれば、いつもの倍のスピードで仕事が片づくはず。
朝のテレビの占いで「今日は少し良いことがある」と言っていたのは、まさにこのことだったのでしょう。できることなら今日一日のお休みなどと遠慮めいたことは言わず、いっそきっぱり、
仕事をやめる!!(^^)!
とおっしゃて下さったら、どれほど幸いなことか判りません。上司にもその旨報告しておきますが、彼もきっと私と同じ気持ちであろうと思います。では。<(_ _)>
というような実に心温まるメッセージが送り返されているのだから、まさに爆裂暴言の極みと言うべきだが、そんなことはどうでも良い。貯まりに貯まった代休の消化という名目あり、しかも今日は寒さもゆるむ一日ということなれば、
と気持ちはすでに河原に立っているのだから、不思議なものです。
8時過ぎに車中の人となり、釣り場に到着したのは10時少し前。こんなにのんびりでどうするのかと思いつつも、まだまだ春浅い今年の弥生三月。早朝から川面に立っても、水温は低く魚たちは動かないはず。平日釣行なればさほど先行者に気遣う必要はあるまいと、ここでも高をくくってのノンビリ釣行と相成った。車から降り、ほぼ5ヶ月ぶりのウェーダーに足を通し、ベストを羽織ってみれば、それはもう立派な釣りバカのご登場。目指した流れは、この五年、ずっとシーズン最初の場所としてきた、
の一つである。「炭焼きの渓」ということに相成る次第。この春はご家庭の事情もあって釣行できぬおいかわ大師匠ことを思えば、「勝手に抜け駆けして・・・」と少し罪の意識めいたものも感じるが、小生の知る限りもっとも
春の訪れの早い・・・
この流れをもってシーズン開幕戦とすることは、逆に大師匠の教えを守るという点で、その意にかなうことだと勝手に一人合点しているのだから、まぁ、馬鹿に付ける薬はない・・・ということでご容赦賜ることにする。
さて、車止めから林道へと向かい歩くこと数分。新芽も堅い木立に囲まれた川面の左手にひときわ大きな岩が見えてくる。ここが5年前の春。大師匠から教えられたこの渓の入渓点。あの時は大師匠にHajihadu大将、なみはや大公の4人連れであったこと思い出しつつ、枝打ちされた杉の小枝に埋まる斜面を滑らぬようにそろそろと下りれば、今年も背後から差し込む陽光を目一杯受けた、きらめく流れが小生を出迎えてくれることに。
リールをセットし、そろそろとガイドにラインを通すのもなぜか今日はぎこちないというのは、実は今日は
おニューなロッド!
の筆下ろしであるからにに他ならない。
昨秋、ひょうんなことで愛用していた国産の2番7ftのロッドを折ってしまい、その後、購入したのが今回のロッド。できれば7ft以下の2番ロッドを・・・と思いあれこれネット上を探してみたのだが、今や3番ロッド全盛期!ということ思い知らされるばかり。「うーん、これはどうしたものか・・・」と少し困っていたところ、目に飛び込んできたのが
なるロッド。「えー、1番っていくら何でも弱いんじゃない?」と思いつつも、実際、小生の行う渓流の釣りでの魚のサイズを思えば、別段問題はない。さらに藪沢用のショートロッドであるのなら、風の影響によるキャスティングの難しさもさほど気にならないはず。仕舞寸法も短く、値段も手頃ということになれば、後はいつものhermitにてポチするだけのこと。ついでに2番ライン(こちらはAirflo)も新調しつつ、今日はその二つのニューアイテムの記念すべきデビュー戦ともなるのだ。
さてリーダーは7x。その先30センチほどカットして、ティペットには8xのフロロを80センチほど。これもこの渓のアベレージサイズを思えば十分問題ないものと考える。後は黄色のクイルボディパラシュート16番を選んでおけばまったく問題はないはずと、自信をもって流れめがけてキャストすれば、いきなり後方にてラインをドゥンと押さえ込むイヤな感触・・・。
そう、今年も予想通り、小生に記念すべきファーストキャストは、流れに被さる木の枝に絡め取られることなるのでありました・・・。いやぁ、人間って、本当に進歩しないものなのですねぇ。
さて初めてのロッドに少しとまどいつつも、それでもサイドキャストで被さる枝をかわすことを少しずつ思い出しながら、流れにフライを浮かべていれば、
ポチャン!
と小さな飛沫とともにフライが消える。うむっと思ってロッドをあおるが飛び跳ねたラインが再び後方の枝に絡んでしまう。アチャーと思いつつも、「そうか、そうか、今年もこの流れには魚たちが遊んでいるんだ」ということを心に刻む。それから数頭後には、銀色のボディを見せてフライに飛びかかる魚影を見るがそれも空振り。「うーむ、相も変わらぬ電光石火・・・」と歯がみしつつも、それはそれ、この渓の魚たちがものすごく元気な証拠と考えれば腹も立たない。そしてそのすぐ後。瀬脇の少し緩い流れにフライを通せば、再び、
パシャン!
という小さな飛沫が流れに立つ。反射的にクッとロッドをあおれば、なにやら小さな影が小生の右脇を通り過ぎ、後方の流れの中にポトリと落ちる。「こりゃ、バレたかな・・?」と思いつつもラインを手繰れば、わずかながらもラインの先には重みが残る。そしてネットを出すまでもなく小生の手のひらの乗っかったのが、正真正銘の、
何が起こったのか判らない・・・とばかりに目をキョトンとさせるその横顔を見ていれば、どんなに小さくとも、新しい春を小生の元へと呼んでくれる、大切な大切な一尾なのであった。
さて、それ以降もここぞというポイントでは何らかの反応がある。とはいえ、周囲のブッシュを思えば、大アワセなどできるはずもなく(万が一空振りしたら十中八九、フライは失われ、ティペットは交換しなければならない)、空振りに次ぐ、空振りということに。それでも瀬に出る魚は流れるラインによる
などもあるため(ってか、正しい日本語なら「向こうアワセ」っていうんでしょうが・・)、その後は小振り(12~15センチ)ながらも3尾の魚をリリースできた。新しいロッドもその短躯ゆえに、このような狭い渓では取り回しもよい上に、キャスト後、穂先がぶれないおかげで、ほぼ7割5分の確率でねらったポイントにフライを落とすことができる。さらに胴の弱い1番ロッドであるがために、リーダーだけのキャスティングも殊の外、簡単。ウーン、やっぱり、お金は出してみるもんだなぁ・・・と改めて思う次第。いやぁ、良い買い物をしたもんだ、などと活性の高い川に感謝しつつも自画自賛することも、今日解禁の小生に免じて許してくださいね。
さて釣り上がること、2時間。目の前には大岩を分岐に左右両側から複雑な流れを作る落ち込みのポイントへ出る。「そうそう、去年はここで良い魚が出たんだ・・・」ということを思いだし少しニンマリする。
先ずは右側の流れに向けてキャストすれば、茶色い魚体が川底からスイと飛び出してきたか思うと、パクリとフライを咥えてくれる。「よっしゃ!」思いロッドをあおればグンと魚の重さが乗ったと思うやいなや、フッとラインは力を失う。「うーん、だめじゃん」と一人ごちるも後の祭り。「でもまぁ・・」と気を取り直して、今度は大岩真下の、反転流にフライを落とせば、バシャッという大きな飛沫。「それっ!」とロッドを握る左手首を返せば再度、グリグリグリと小気味よいビートが手に響く・・・と感じた途端にこれもバラシ。「おれは、ド阿呆か!」と今度は激しい自嘲の言葉を呟きつつ、それでも懲りずに今度は左側の流れにフライを乗せれば、水面下、いきなり反転してはフライを追うなり、咥えこむ黒い魚体が目に飛び込んでくる。いやぁ、この国には、
三度目の正直!
という言葉があるが、やはり先人の知恵に嘘偽りがあろうはずはない。柔らかいロッドをズンズンしならせ、流れの中央に出て遁走しようとする魚をなだめすかしつ、ようやくネットインしてみれば、今日初めての、
のご登場。いやはや、どれほど職場の同僚にあざ笑われようと、どれほど上司ににらまれようとも、この瞬間がある限り、
生きてて良かった!(;_;)
と心の底から思えるというのは、いかに単細胞のそしりを受けようとも、この釣りを愛する全てのお仲間なら、きっと判って下さるはずですよね。
さて、それからさらに1時間弱。空振りやらバラシを繰り返しつつも、先ずは2尾のアマゴをリリースし、先ずは午前の部だけで計8尾。「こりゃ、できすぎだなぁ」とニコニコしながら昼食のサンドイッチをほおばっていれば、これぞまさに、
と何ら変わりのないことに。少しくたびれたヒゲ面であることや、持ってる道具の高価なことを思えば、比較するのはもちろん無理とは思いつつも、そんな童心に帰っていることが、今の自分には何より大切なことなのかとも考えたりする。
さてさて、時計を見ればすでに午後1時を30分ほど過ぎている。今日は4時までの釣りと心に決めていることもあり、先ずはそそくさと午後の部に参戦。空を見れば朝の晴天はどこへやら。少し厚めの雲が空一面を覆いだしているのを見れば少し気持ちが焦ったりもする。が、しかし、そんな小生の不安はよそに、入渓時に比べ、しっかり水温も上がってくれたのであろう。午前中以上に、しかるべきポイントでは何らかの反応があり、そのうちの何度かをバラシながらも、先ずはこの川のアベレージサイズ(15~18センチ)を3尾リリースすることができる。
そして1時間後。右手前に大きく岩盤が張り出す下、少し深めの落ち込みからなだらかなプールへと続くポイントへ出る。ゆるいプールでチビアマゴのアタック(これはアワセない)と小型アマゴのアタック(これはアワセたが乗らず)を見送った後、岩盤脇の太い流れにフライを乗せる。
「予定では、水中沈む二つの大石の真ん中辺りをフライが流れる時に、魚が出る・・・」
なんてことを考えつつ、その大石の真上をフライが通り過ぎようとした瞬間。右側から茶色い影がスッと現れ、フライをパクッと飲み込んでいくのが、まるでスローモーションのように見える。
その瞬間、何も考えることもなくロッドを立て、水底へと潜ろうとする影のの動きをバットでしっかり受け止めながら、流真の太い流れから引き離すため、一度下流部へと魚を誘い、その後、瀬脇の緩い流れへと導いてから、ネットイン・・・
などという、何一つ間違いなく行えたことが、今となっては不思議な限り。この流れなら十分に
と呼んで良い23センチのアマゴの姿をじっと眺めつつ、さてさて、このヒゲおやじの胸に去来した思いといえば、
もしかすると俺の釣りは上手くなっている・・・?
という、まさに身の程知らずな思い上がり。管釣りならまだしも、少なくとも自然渓流での自分の釣りは、おおよそ「人様に見せられたものではない・・・」と思い続けてきたのだが、そんなコンプレックスも持たずに、これからは少しは、
でいられるのかと、そんなことすら考えさせてくれるほど、今日の「炭焼きの渓」は優しい優しい流れなのでありました。
というような感慨など、悲しいかな、ものの1時間も続かない。それから後も、出ては乗らず!、掛けてはバラシ!の繰り返しで、まっことおのれの不甲斐なさに呆れ果てるも通り越して、茫然自失・・・のていたらく。いやはや、まったくもって、釣りって難しいですよね、皆さん!
とまぁ、七転八倒しつつも、結局は午後もまた8尾のアマゴをリリースし、結局の所、午前10時から午後4時まで、6時間の釣りで、トータル16尾。って、これはもう、まったくもって、まちがいなく、
ではありませんか、ナハハハハハ・・・(^_^)v、と脳天気に高笑いしつつ、本日の納竿とする。林道に戻り、なだらかな下り坂を歩きつつ、頭の中では、前回の記事でも記したとおり、やはり小生のお仲間たちの健康のことが気になって仕方がない。先ずは自身の無事に感謝しつつも、今日、16回繰り返すことのできたリリースの度ごとに、小生の脳裏にあった言葉と言えば、
みんなみんな、早く早く、元気になって帰っておいで・・・
というそんな言葉に他ならず。
いつもなら職場に向かう車中にいるはずの、このひげオンジ。なぜか今日はまだ自宅。しかも本人がもっとも苦手とするところの携帯メールなぞを懸命に打ち込んでいる。
送信:おはよーごぜぇます。ひげオンジです。
昨夜来、まっとうな社会人として出勤すべきか、やさぐれた釣りバカとして森の中に行くか、迷っておったのですが、やっぱり、花粉だらけ!の森の中へ行くことにしました。
ということで、今日は一日休みをもらいますので、後のことはよろしく。 ちなみに鬼より怖い上司殿には、ひげオンジ突然の発熱!と嘘八百億円で、伝えておいてくださいね・・・。ではでは、(^_^)/~
などという文面の送信先は、実を申せば、同じ職場で机を向かい合わせる同僚女史。この2年間、同じ職責を全うしつつ過ごした気安さもあり、こんなくだけた文面でも許してもらえる(はず?)。
とはいえ、かの女史。仕事は小生の2倍も3倍もできる(ちなみに彼女曰く「私ができるんじゃなく、あなたができなさすぎるだけ」とのこと)才色兼備の一人なのだが、唯一欠点となるのが、その冷酷無比な人間批評。ちなみに彼女に与えられた職場でのニックネームは、
爆裂暴言女史!
その辛辣極める発言には(どれもが正確極まりないため)、上司ですらみな廊下を避けて通るというのだからまさに本物。メール送信後、フライベストの準備に精を出していた小生の横で鳴り出す携帯を手に、返信メールを見ればかくのごとし・・・
RE:おはようございます。今日はお休みとのこと了解しました。
ひげオンジ殿がお休みともなれば、いつもの倍のスピードで仕事が片づくはず。
朝のテレビの占いで「今日は少し良いことがある」と言っていたのは、まさにこのことだったのでしょう。できることなら今日一日のお休みなどと遠慮めいたことは言わず、いっそきっぱり、
仕事をやめる!!(^^)!
とおっしゃて下さったら、どれほど幸いなことか判りません。上司にもその旨報告しておきますが、彼もきっと私と同じ気持ちであろうと思います。では。<(_ _)>
というような実に心温まるメッセージが送り返されているのだから、まさに爆裂暴言の極みと言うべきだが、そんなことはどうでも良い。貯まりに貯まった代休の消化という名目あり、しかも今日は寒さもゆるむ一日ということなれば、
いざ、行かん!あの渓へ・・・
この道の先に、今シーズンのスタートラインがある・・・はず
と気持ちはすでに河原に立っているのだから、不思議なものです。
****************************************
8時過ぎに車中の人となり、釣り場に到着したのは10時少し前。こんなにのんびりでどうするのかと思いつつも、まだまだ春浅い今年の弥生三月。早朝から川面に立っても、水温は低く魚たちは動かないはず。平日釣行なればさほど先行者に気遣う必要はあるまいと、ここでも高をくくってのノンビリ釣行と相成った。車から降り、ほぼ5ヶ月ぶりのウェーダーに足を通し、ベストを羽織ってみれば、それはもう立派な釣りバカのご登場。目指した流れは、この五年、ずっとシーズン最初の場所としてきた、
おいかわ大師匠の渓!
の一つである。「炭焼きの渓」ということに相成る次第。この春はご家庭の事情もあって釣行できぬおいかわ大師匠ことを思えば、「勝手に抜け駆けして・・・」と少し罪の意識めいたものも感じるが、小生の知る限りもっとも
春の訪れの早い・・・
この流れをもってシーズン開幕戦とすることは、逆に大師匠の教えを守るという点で、その意にかなうことだと勝手に一人合点しているのだから、まぁ、馬鹿に付ける薬はない・・・ということでご容赦賜ることにする。
さて、車止めから林道へと向かい歩くこと数分。新芽も堅い木立に囲まれた川面の左手にひときわ大きな岩が見えてくる。ここが5年前の春。大師匠から教えられたこの渓の入渓点。あの時は大師匠にHajihadu大将、なみはや大公の4人連れであったこと思い出しつつ、枝打ちされた杉の小枝に埋まる斜面を滑らぬようにそろそろと下りれば、今年も背後から差し込む陽光を目一杯受けた、きらめく流れが小生を出迎えてくれることに。
リールをセットし、そろそろとガイドにラインを通すのもなぜか今日はぎこちないというのは、実は今日は
おニューなロッド!
の筆下ろしであるからにに他ならない。
昨秋、ひょうんなことで愛用していた国産の2番7ftのロッドを折ってしまい、その後、購入したのが今回のロッド。できれば7ft以下の2番ロッドを・・・と思いあれこれネット上を探してみたのだが、今や3番ロッド全盛期!ということ思い知らされるばかり。「うーん、これはどうしたものか・・・」と少し困っていたところ、目に飛び込んできたのが
Temple Fork Finesse 6'9" #1
きれいな流れにまっさらなロッド。このコルクグリップが汚れる度に思い出が増えていく・・・
なるロッド。「えー、1番っていくら何でも弱いんじゃない?」と思いつつも、実際、小生の行う渓流の釣りでの魚のサイズを思えば、別段問題はない。さらに藪沢用のショートロッドであるのなら、風の影響によるキャスティングの難しさもさほど気にならないはず。仕舞寸法も短く、値段も手頃ということになれば、後はいつものhermitにてポチするだけのこと。ついでに2番ライン(こちらはAirflo)も新調しつつ、今日はその二つのニューアイテムの記念すべきデビュー戦ともなるのだ。
さてリーダーは7x。その先30センチほどカットして、ティペットには8xのフロロを80センチほど。これもこの渓のアベレージサイズを思えば十分問題ないものと考える。後は黄色のクイルボディパラシュート16番を選んでおけばまったく問題はないはずと、自信をもって流れめがけてキャストすれば、いきなり後方にてラインをドゥンと押さえ込むイヤな感触・・・。
そう、今年も予想通り、小生に記念すべきファーストキャストは、流れに被さる木の枝に絡め取られることなるのでありました・・・。いやぁ、人間って、本当に進歩しないものなのですねぇ。
****************************************
さて初めてのロッドに少しとまどいつつも、それでもサイドキャストで被さる枝をかわすことを少しずつ思い出しながら、流れにフライを浮かべていれば、
ポチャン!
と小さな飛沫とともにフライが消える。うむっと思ってロッドをあおるが飛び跳ねたラインが再び後方の枝に絡んでしまう。アチャーと思いつつも、「そうか、そうか、今年もこの流れには魚たちが遊んでいるんだ」ということを心に刻む。それから数頭後には、銀色のボディを見せてフライに飛びかかる魚影を見るがそれも空振り。「うーむ、相も変わらぬ電光石火・・・」と歯がみしつつも、それはそれ、この渓の魚たちがものすごく元気な証拠と考えれば腹も立たない。そしてそのすぐ後。瀬脇の少し緩い流れにフライを通せば、再び、
パシャン!
という小さな飛沫が流れに立つ。反射的にクッとロッドをあおれば、なにやら小さな影が小生の右脇を通り過ぎ、後方の流れの中にポトリと落ちる。「こりゃ、バレたかな・・?」と思いつつもラインを手繰れば、わずかながらもラインの先には重みが残る。そしてネットを出すまでもなく小生の手のひらの乗っかったのが、正真正銘の、
オチビさん!
何が起こったのか判らない・・・とばかりに目をキョトンとさせるその横顔を見ていれば、どんなに小さくとも、新しい春を小生の元へと呼んでくれる、大切な大切な一尾なのであった。
さて、それ以降もここぞというポイントでは何らかの反応がある。とはいえ、周囲のブッシュを思えば、大アワセなどできるはずもなく(万が一空振りしたら十中八九、フライは失われ、ティペットは交換しなければならない)、空振りに次ぐ、空振りということに。それでも瀬に出る魚は流れるラインによる
オートマチック・アワセ!
いち早くサビの落ちた銀白のアマゴ・・・きれいですねぇ
などもあるため(ってか、正しい日本語なら「向こうアワセ」っていうんでしょうが・・)、その後は小振り(12~15センチ)ながらも3尾の魚をリリースできた。新しいロッドもその短躯ゆえに、このような狭い渓では取り回しもよい上に、キャスト後、穂先がぶれないおかげで、ほぼ7割5分の確率でねらったポイントにフライを落とすことができる。さらに胴の弱い1番ロッドであるがために、リーダーだけのキャスティングも殊の外、簡単。ウーン、やっぱり、お金は出してみるもんだなぁ・・・と改めて思う次第。いやぁ、良い買い物をしたもんだ、などと活性の高い川に感謝しつつも自画自賛することも、今日解禁の小生に免じて許してくださいね。
これが下記のポイント。ここだけで3尾の魚が!
さて釣り上がること、2時間。目の前には大岩を分岐に左右両側から複雑な流れを作る落ち込みのポイントへ出る。「そうそう、去年はここで良い魚が出たんだ・・・」ということを思いだし少しニンマリする。
先ずは右側の流れに向けてキャストすれば、茶色い魚体が川底からスイと飛び出してきたか思うと、パクリとフライを咥えてくれる。「よっしゃ!」思いロッドをあおればグンと魚の重さが乗ったと思うやいなや、フッとラインは力を失う。「うーん、だめじゃん」と一人ごちるも後の祭り。「でもまぁ・・」と気を取り直して、今度は大岩真下の、反転流にフライを落とせば、バシャッという大きな飛沫。「それっ!」とロッドを握る左手首を返せば再度、グリグリグリと小気味よいビートが手に響く・・・と感じた途端にこれもバラシ。「おれは、ド阿呆か!」と今度は激しい自嘲の言葉を呟きつつ、それでも懲りずに今度は左側の流れにフライを乗せれば、水面下、いきなり反転してはフライを追うなり、咥えこむ黒い魚体が目に飛び込んでくる。いやぁ、この国には、
三度目の正直!
という言葉があるが、やはり先人の知恵に嘘偽りがあろうはずはない。柔らかいロッドをズンズンしならせ、流れの中央に出て遁走しようとする魚をなだめすかしつ、ようやくネットインしてみれば、今日初めての、
大人のアマゴ
のご登場。いやはや、どれほど職場の同僚にあざ笑われようと、どれほど上司ににらまれようとも、この瞬間がある限り、
生きてて良かった!(;_;)
と心の底から思えるというのは、いかに単細胞のそしりを受けようとも、この釣りを愛する全てのお仲間なら、きっと判って下さるはずですよね。
****************************************
さて、それからさらに1時間弱。空振りやらバラシを繰り返しつつも、先ずは2尾のアマゴをリリースし、先ずは午前の部だけで計8尾。「こりゃ、できすぎだなぁ」とニコニコしながら昼食のサンドイッチをほおばっていれば、これぞまさに、
小学生の遠足!
これが午後の一尾目。サイズ以上にやんちゃな1尾でしたね
と何ら変わりのないことに。少しくたびれたヒゲ面であることや、持ってる道具の高価なことを思えば、比較するのはもちろん無理とは思いつつも、そんな童心に帰っていることが、今の自分には何より大切なことなのかとも考えたりする。
さてさて、時計を見ればすでに午後1時を30分ほど過ぎている。今日は4時までの釣りと心に決めていることもあり、先ずはそそくさと午後の部に参戦。空を見れば朝の晴天はどこへやら。少し厚めの雲が空一面を覆いだしているのを見れば少し気持ちが焦ったりもする。が、しかし、そんな小生の不安はよそに、入渓時に比べ、しっかり水温も上がってくれたのであろう。午前中以上に、しかるべきポイントでは何らかの反応があり、そのうちの何度かをバラシながらも、先ずはこの川のアベレージサイズ(15~18センチ)を3尾リリースすることができる。
そして1時間後。右手前に大きく岩盤が張り出す下、少し深めの落ち込みからなだらかなプールへと続くポイントへ出る。ゆるいプールでチビアマゴのアタック(これはアワセない)と小型アマゴのアタック(これはアワセたが乗らず)を見送った後、岩盤脇の太い流れにフライを乗せる。
「予定では、水中沈む二つの大石の真ん中辺りをフライが流れる時に、魚が出る・・・」
なんてことを考えつつ、その大石の真上をフライが通り過ぎようとした瞬間。右側から茶色い影がスッと現れ、フライをパクッと飲み込んでいくのが、まるでスローモーションのように見える。
これがくだんのポイント。文中の沈み石は画面中央
その瞬間、何も考えることもなくロッドを立て、水底へと潜ろうとする影のの動きをバットでしっかり受け止めながら、流真の太い流れから引き離すため、一度下流部へと魚を誘い、その後、瀬脇の緩い流れへと導いてから、ネットイン・・・
などという、何一つ間違いなく行えたことが、今となっては不思議な限り。この流れなら十分に
マンサイズ!
と呼んで良い23センチのアマゴの姿をじっと眺めつつ、さてさて、このヒゲおやじの胸に去来した思いといえば、
もしかすると俺の釣りは上手くなっている・・・?
という、まさに身の程知らずな思い上がり。管釣りならまだしも、少なくとも自然渓流での自分の釣りは、おおよそ「人様に見せられたものではない・・・」と思い続けてきたのだが、そんなコンプレックスも持たずに、これからは少しは、
自然体・・・
でいられるのかと、そんなことすら考えさせてくれるほど、今日の「炭焼きの渓」は優しい優しい流れなのでありました。
****************************************
というような感慨など、悲しいかな、ものの1時間も続かない。それから後も、出ては乗らず!、掛けてはバラシ!の繰り返しで、まっことおのれの不甲斐なさに呆れ果てるも通り越して、茫然自失・・・のていたらく。いやはや、まったくもって、釣りって難しいですよね、皆さん!
とまぁ、七転八倒しつつも、結局は午後もまた8尾のアマゴをリリースし、結局の所、午前10時から午後4時まで、6時間の釣りで、トータル16尾。って、これはもう、まったくもって、まちがいなく、
余裕のツ抜け!
ではありませんか、ナハハハハハ・・・(^_^)v、と脳天気に高笑いしつつ、本日の納竿とする。林道に戻り、なだらかな下り坂を歩きつつ、頭の中では、前回の記事でも記したとおり、やはり小生のお仲間たちの健康のことが気になって仕方がない。先ずは自身の無事に感謝しつつも、今日、16回繰り返すことのできたリリースの度ごとに、小生の脳裏にあった言葉と言えば、
みんなみんな、早く早く、元気になって帰っておいで・・・
というそんな言葉に他ならず。
2012/03/22
2012年03月14日
歳月は人を待たず・・・
3月14日、水曜日。世間ではホワイトデーなどとおバカなことを口走りつつ、義理ばかりのチョコの返礼に野郎どもが、東奔西走する日らしいが、このひげオンジには、
そんな悪習はなぁぁぁぁぁい!
などとここをせんどに叫んでみるが、それもこれも、一ヶ月前の14日、世界中の女性から一斉にシカトされた結果に他ならない。となれば、これぞまさに、
負け犬の遠吠え・・・(T_T)
以外の何物でもないことなど、この記事をお読みの読者諸兄であれば、すでによぉくご存知のはずといたみ入りつつ、気がつけばすでに我が身は、
の桟橋にあったりするから不思議なもの。これも毎年のことだが、2月は例の気鬱に加えて仕事の方が立て続けに混んで、釣りどころの騒ぎではなくなる小生。その間にも、生まれた孫は、
を迎えるわ、気ままな一人暮らしを決め込む実母(現在87歳)は腰痛で寝込むわ、他にもあっちこっちと病気入院の連絡は入るわで、まさに小生の方が目の回る思い・・・で過ごしつつ、気がつけばなんと弥生三月の半ばになっている。ちなみにここ「なごみの湖」の一枚看板である田中マネも、この2月、急の心臓病で入院されたとか。WEBによればすでに無事ご退院。すでに現場に復帰されているとのことだが、先ずはそのご様子も伺わねばなるまい。いかに渓流解禁!の報せがあちこちからいかにさんざめこうとも、この小生にとっては、
というのが何といっても大切な大切なマイルール。昨年よりほぼ2週間遅い訪問となったが、先ずは本湖の桟橋で竿を振り回すことができてやっと今年の春は訪れるはず・・・。てなことを思いつつ、今朝も信楽経由で、京都和束へ足を伸ばすことになった次第。
営業開始の7時半ちょうどに車から降り、タックルバッグを背に、「おはようございまぁす!」と毎度のごとくトボケた声をわめき散らして、事務所の扉を開けてみるが、なんと、そこは無人・・・。
「ええっ、田中マネが緊急入院で、完全フリーの管理釣り場になったのか?」と一瞬焦るが、さほど待つこともなくスタッフの伊東クンが、本湖からの坂道を下りてくるのが見える。聞けば天気こそ良いが、放射冷却の影響で(ちなみに、この日の信楽は最低気温マイナス5℃)恐ろしく冷え込んだ今朝。本湖が氷結していないか確認に出かけられていたとのこと。いやはや、たとえマネが休みでもこういう優秀なスタッフがおられるのだから、先ずはこの釣り場の平和は守られる。いやぁ、ヨカッタ、ヨカッタ・・・、などと心から喜びつつも、先ずはマネのご様子をお伺いしつつ釣り券を購入。聞けば、
「まだ無理はできないけれど、普通に仕事してはりますよ。」
とのこと。その言葉に少し安心しつつも、現在の釣況をも聞き逃さないというのがこのひげオンジ流。
「そうすね、魚はずいぶん上の方に出てきてますよ。うーん、タナは1.5から2ヒロぐらいかな。ただデカイのはすこし沈めないと・・・」
とまぁ聞けば、そうかそうかやっぱり冬が長い今年であっても、季節は確実に進んでいる。先ずは「ホー、ホケホケ・・・ケキョ」と少し調子外れなウグイスの声に耳を傾けつつ、本湖への坂道を毎度のようにエッチラオッチラと登りつつ、先ずは人っ子一人いない中央桟橋に釣り座を設ける。
さて毎度のように6番ロッドにラインを通し、マーカーをちゃんとタナ1.5ヒロにセットしてのルースニング。向かい風に少し苦労しながらキャストすれば、ツンという小さなアタリと共に、先ずは本日の一尾目となる30センチ弱のオチビ(おそらくはここでの自然繁殖児)が、「おはよーう、ごぜぇぇぇーまずだ・・」と恨みがましそうな目で釣れてくる。
んじゃ、よぉし、これから!と勢い込んで次のキャストに移ろうとしたが、なんとまぁフォルスキャストの度に、ゴリゴリ、ゴリゴリというイヤな感触が手に響いてくる。ムムム・・・(-_-;)と思いつつ、ロッドの方に目をやれば、それはもうまったくもって予想通り、
という状態。頬に突き刺すような寒風を思えば、当然の帰結。さらには日陰の中央桟橋。凍てつく風に身をさらし、寒い寒いと地単駄を踏みつつ1時間で5尾のマスをリリースするも、それが限界。少しでも暖かいところを、と前方を見れば、しっかりと陽の当たる固定桟橋が目に入る。バックがほとんどない上に、足場も高く、障害物の多いこの釣り座。これまで何度もなごみを訪れながらも、ほとんど釣った経験のないところだが、ここはもう背に腹は代えられない。先ずは陽当たりよく、風裏となる桟橋へと、荷物を持って移動してみれば、これがもう実になんと、まったくもって、
後方がすぐ土手となるため、、先ずはバックハンドのサイドキャストで桟橋手前3~5メートルほどにのカケアガリに向けてキャストすれば、すぐさまキュキュキュ~ンとインジケーターが消し込んで、ここでのアベレージとなる40センチ級のマスが竿を伸す。いつもなら余裕でラインを手繰り取り込む所だが、すぐ目の前には、枯れた立木やらスタンプやらが、バレロ・・バレロ・・と言わんばかりに邪魔をする。となれば、こちらもすかさずリールファイトで応戦。5Xのティペットも心強ければ、先ずは障害物を回避しつつ、やったとったとネットインすれば、頬をはんなり紅に染める愛らしい顔の魚がネットに収まる。
さてさて、それからがまさにここなごみでのプライムタイム!目前のバンクに魚が群れていたせいであろう。掛けるやいなや沖をめがけてのDash & Runでラインを全て引きずり出されるやら、いったい何を食ったらこんなにおデブになれるんだ・・とあきれるばかりのグラマラスボディを見せつけられるやら、圧倒的な、
を2尾交えつつ、9時から11時半までの2時間あまりで24尾のマスが釣れ盛る。いやはやこんなこともあるんだと、久々の釣り休暇。頭の中を真っ白にして堪能させてもらうことにする。
ちなみにこの固定桟橋でのフライの釣り。掛けた魚が一目散に立木に突っ込もうとするのが何より怖い。それゆえラインはキャストに必要な最小限度だけ出して、手尻はほとんど残さない。そして掛けるやいなや右手をフル回転させてラインを巻き取り、間断もおかずにリールファイトに突入することが肝要と思い知る。後はドラグ微調整しつつロッドのトルクを信じてやりとりすればほとんどバラシはなし。
「いやぁ、こんなに釣れるんなら、朝一番からここにすれば良かった・・・」と思うものの、この場所では、この釣りの大きな喜びの一つであるキャスティングがまったく楽しめないがため、小生にとって定番の釣り座になることは今後もないであろうというのが本日の見解。やっぱ、中央桟橋で目一杯ロッドを降り回し、障害物など気にすることなく、底へ底へと突っ込む魚とノビノビやったとったと遊ぶのがここなごみでの王道とこそ思い知る。でもでも、これだけ釣れれば何の文句もないのは当然至極なのでありました。
さて、少し早めの昼食を取った後は、少し遠のいたアタリをまったりと楽しみながら、まさに天晴れという好転の下、ひげオンジのフライフィッシング日和を堪能する。時計を見れば2時をようやく過ぎる頃。ふと気になって下流の方を目をやれば、大堰堤の傍らには、お馴染みの
が目に飛び込んでくる。「あっ、田中マネだ・・・」と思うもこれだけ距離が離れていれば、おそらく手を振っても気づかれるはずもない。先ずは「よくぞ、ご無事で・・」と心の中で呟きながら、小さくロッドティップを振ってご挨拶。「んじゃ・・・先ずはマネの目の前で良いところを見せましょか!」などと考え、釣りに集中し始めるが、なんとまぁ、おっとこどっこい、
なんとまぁ、田中マネの姿が見えるやいなや、それまで頻繁にあったアタリが急になくってしまうというのはいったいどういうことなのか・・・?などと考えるまでもなく答えは一つ。池の魚の全部が全部、
とその足下へ集まってしまっているからなのだろう。その証拠にマネのいる真下の1号桟橋では並んだルアー師がここをせんどのヒット、ヒット、ヒットの大連発のご様子。まさに貧乏くじを引くばかりの小生はあっても、先ずはここまでの釣果を思えば不満も何もあるはずはなく、ゆるゆると湖面に映る自分の影など眺め続けているのでありました。
・・・というような手持ちぶさたの1時間を過ごすものの、マネが再び事務所へ戻るやいなや、午後のプライムタイムが訪れる。バンクより少し沖目にキャストしたことも功を奏したか、それからも10分おきにアタリが出、今日3尾目ともなる50cmUPも無事ネットイン。夕刻5時まで一気のラストスパートで、さらに10尾あまりを追加して本日の釣りを終了する。
法外な釣果のあまり利き腕が殊の外、重く感じつつあるのが何よりの喜びと、桟橋を後に事務所に戻れば、そこでは聞き慣れた暖かくも優しいお声でのお出迎え。
「いやぁ、ひげオンジさん、お疲れさん・・」
その元気そうなお声にほっと安心しつつ。チケットを返した後は、マネから病前、病後のご様子などをお伺いすることに。
聞けば、今はずいぶん良くなったものの、まだ呼吸が乱れるような運動はできないとのこと。「うーん、まだしばらくは、本湖の方は無理かな・・・」と笑顔が少し力なげに見えるのが寂しいが、それでもずいぶんと血色の良いお顔を見ればこちらも先ずは一安心。「早く完璧に元気になって、また、キャスティングを教えてくださいね!」としっかりお約束した上で、くたびれた足を少し引きずりつつ事務所を後にすることにした。
思えばこの釣り場に通うようになって早7年。当たり前だが誰もが歳を取って、誰もが日々の憂さを背に積もらせつつ生きてきている。いついつまでも若く元気でありたいと心から願うものの、時間はそれを許してくれるはずもなく・・・。先ずは小生のお仲間一人一人の健やかなるを願いつつ、先ずはこの先の釣り。その
一瞬一瞬・・・
を、何より大切に大切にしていきたいものと、心から願う次第・・・・。
2012/03/14
そんな悪習はなぁぁぁぁぁい!
などとここをせんどに叫んでみるが、それもこれも、一ヶ月前の14日、世界中の女性から一斉にシカトされた結果に他ならない。となれば、これぞまさに、
負け犬の遠吠え・・・(T_T)
以外の何物でもないことなど、この記事をお読みの読者諸兄であれば、すでによぉくご存知のはずといたみ入りつつ、気がつけばすでに我が身は、
なごみの湖
の桟橋にあったりするから不思議なもの。これも毎年のことだが、2月は例の気鬱に加えて仕事の方が立て続けに混んで、釣りどころの騒ぎではなくなる小生。その間にも、生まれた孫は、
生誕100日!
を迎えるわ、気ままな一人暮らしを決め込む実母(現在87歳)は腰痛で寝込むわ、他にもあっちこっちと病気入院の連絡は入るわで、まさに小生の方が目の回る思い・・・で過ごしつつ、気がつけばなんと弥生三月の半ばになっている。ちなみにここ「なごみの湖」の一枚看板である田中マネも、この2月、急の心臓病で入院されたとか。WEBによればすでに無事ご退院。すでに現場に復帰されているとのことだが、先ずはそのご様子も伺わねばなるまい。いかに渓流解禁!の報せがあちこちからいかにさんざめこうとも、この小生にとっては、
春はなごみから・・・
白く見える朝の中央桟橋。もちろんこれは塗装などではなく、ただただ凍っているだけ・・・
というのが何といっても大切な大切なマイルール。昨年よりほぼ2週間遅い訪問となったが、先ずは本湖の桟橋で竿を振り回すことができてやっと今年の春は訪れるはず・・・。てなことを思いつつ、今朝も信楽経由で、京都和束へ足を伸ばすことになった次第。
営業開始の7時半ちょうどに車から降り、タックルバッグを背に、「おはようございまぁす!」と毎度のごとくトボケた声をわめき散らして、事務所の扉を開けてみるが、なんと、そこは無人・・・。
「ええっ、田中マネが緊急入院で、完全フリーの管理釣り場になったのか?」と一瞬焦るが、さほど待つこともなくスタッフの伊東クンが、本湖からの坂道を下りてくるのが見える。聞けば天気こそ良いが、放射冷却の影響で(ちなみに、この日の信楽は最低気温マイナス5℃)恐ろしく冷え込んだ今朝。本湖が氷結していないか確認に出かけられていたとのこと。いやはや、たとえマネが休みでもこういう優秀なスタッフがおられるのだから、先ずはこの釣り場の平和は守られる。いやぁ、ヨカッタ、ヨカッタ・・・、などと心から喜びつつも、先ずはマネのご様子をお伺いしつつ釣り券を購入。聞けば、
「まだ無理はできないけれど、普通に仕事してはりますよ。」
とのこと。その言葉に少し安心しつつも、現在の釣況をも聞き逃さないというのがこのひげオンジ流。
「そうすね、魚はずいぶん上の方に出てきてますよ。うーん、タナは1.5から2ヒロぐらいかな。ただデカイのはすこし沈めないと・・・」
とまぁ聞けば、そうかそうかやっぱり冬が長い今年であっても、季節は確実に進んでいる。先ずは「ホー、ホケホケ・・・ケキョ」と少し調子外れなウグイスの声に耳を傾けつつ、本湖への坂道を毎度のようにエッチラオッチラと登りつつ、先ずは人っ子一人いない中央桟橋に釣り座を設ける。
さて毎度のように6番ロッドにラインを通し、マーカーをちゃんとタナ1.5ヒロにセットしてのルースニング。向かい風に少し苦労しながらキャストすれば、ツンという小さなアタリと共に、先ずは本日の一尾目となる30センチ弱のオチビ(おそらくはここでの自然繁殖児)が、「おはよーう、ごぜぇぇぇーまずだ・・」と恨みがましそうな目で釣れてくる。
んじゃ、よぉし、これから!と勢い込んで次のキャストに移ろうとしたが、なんとまぁフォルスキャストの度に、ゴリゴリ、ゴリゴリというイヤな感触が手に響いてくる。ムムム・・・(-_-;)と思いつつ、ロッドの方に目をやれば、それはもうまったくもって予想通り、
スネークガイドは全て氷結!
少しリトリーブすれば、ほれこの通りも"氷の世界"
という状態。頬に突き刺すような寒風を思えば、当然の帰結。さらには日陰の中央桟橋。凍てつく風に身をさらし、寒い寒いと地単駄を踏みつつ1時間で5尾のマスをリリースするも、それが限界。少しでも暖かいところを、と前方を見れば、しっかりと陽の当たる固定桟橋が目に入る。バックがほとんどない上に、足場も高く、障害物の多いこの釣り座。これまで何度もなごみを訪れながらも、ほとんど釣った経験のないところだが、ここはもう背に腹は代えられない。先ずは陽当たりよく、風裏となる桟橋へと、荷物を持って移動してみれば、これがもう実になんと、まったくもって、
大正解!(^_^)v
いかに風は冷たくとも、魚の頬にはすでに春・・・
後方がすぐ土手となるため、、先ずはバックハンドのサイドキャストで桟橋手前3~5メートルほどにのカケアガリに向けてキャストすれば、すぐさまキュキュキュ~ンとインジケーターが消し込んで、ここでのアベレージとなる40センチ級のマスが竿を伸す。いつもなら余裕でラインを手繰り取り込む所だが、すぐ目の前には、枯れた立木やらスタンプやらが、バレロ・・バレロ・・と言わんばかりに邪魔をする。となれば、こちらもすかさずリールファイトで応戦。5Xのティペットも心強ければ、先ずは障害物を回避しつつ、やったとったとネットインすれば、頬をはんなり紅に染める愛らしい顔の魚がネットに収まる。
これが固定桟橋。狭いがゆえに普段はルアー師お得意の釣り場となっている
さてさて、それからがまさにここなごみでのプライムタイム!目前のバンクに魚が群れていたせいであろう。掛けるやいなや沖をめがけてのDash & Runでラインを全て引きずり出されるやら、いったい何を食ったらこんなにおデブになれるんだ・・とあきれるばかりのグラマラスボディを見せつけられるやら、圧倒的な、
50センチオーバー!!(^^)!
どちらもプリプリのパワーファイター!ああっ、腕がだるい~♪
を2尾交えつつ、9時から11時半までの2時間あまりで24尾のマスが釣れ盛る。いやはやこんなこともあるんだと、久々の釣り休暇。頭の中を真っ白にして堪能させてもらうことにする。
ちなみにこの固定桟橋でのフライの釣り。掛けた魚が一目散に立木に突っ込もうとするのが何より怖い。それゆえラインはキャストに必要な最小限度だけ出して、手尻はほとんど残さない。そして掛けるやいなや右手をフル回転させてラインを巻き取り、間断もおかずにリールファイトに突入することが肝要と思い知る。後はドラグ微調整しつつロッドのトルクを信じてやりとりすればほとんどバラシはなし。
「いやぁ、こんなに釣れるんなら、朝一番からここにすれば良かった・・・」と思うものの、この場所では、この釣りの大きな喜びの一つであるキャスティングがまったく楽しめないがため、小生にとって定番の釣り座になることは今後もないであろうというのが本日の見解。やっぱ、中央桟橋で目一杯ロッドを降り回し、障害物など気にすることなく、底へ底へと突っ込む魚とノビノビやったとったと遊ぶのがここなごみでの王道とこそ思い知る。でもでも、これだけ釣れれば何の文句もないのは当然至極なのでありました。
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さて、少し早めの昼食を取った後は、少し遠のいたアタリをまったりと楽しみながら、まさに天晴れという好転の下、ひげオンジのフライフィッシング日和を堪能する。時計を見れば2時をようやく過ぎる頃。ふと気になって下流の方を目をやれば、大堰堤の傍らには、お馴染みの
黒いジムニー・・・
まだ万全ではない田中マネのエリア巡視。無理せぬように先ずは車の中で。
とはいえ毎度のごとく真下の釣り人に丁寧なアドバイス、って、どこまで仕事熱心な人!
とはいえ毎度のごとく真下の釣り人に丁寧なアドバイス、って、どこまで仕事熱心な人!
が目に飛び込んでくる。「あっ、田中マネだ・・・」と思うもこれだけ距離が離れていれば、おそらく手を振っても気づかれるはずもない。先ずは「よくぞ、ご無事で・・」と心の中で呟きながら、小さくロッドティップを振ってご挨拶。「んじゃ・・・先ずはマネの目の前で良いところを見せましょか!」などと考え、釣りに集中し始めるが、なんとまぁ、おっとこどっこい、
魚がどっかへ行ってしまう?(@_@)
かろうじてマネの目前で釣り上げた小生の図。ホント、釣れてヨカッタ!
なんとまぁ、田中マネの姿が見えるやいなや、それまで頻繁にあったアタリが急になくってしまうというのはいったいどういうことなのか・・・?などと考えるまでもなく答えは一つ。池の魚の全部が全部、
「マネさん、お元気なのですかぁ~♪」
マネがいなくなればほれこの通り・・・。美麗な好ファイターが次々と釣れる。
とその足下へ集まってしまっているからなのだろう。その証拠にマネのいる真下の1号桟橋では並んだルアー師がここをせんどのヒット、ヒット、ヒットの大連発のご様子。まさに貧乏くじを引くばかりの小生はあっても、先ずはここまでの釣果を思えば不満も何もあるはずはなく、ゆるゆると湖面に映る自分の影など眺め続けているのでありました。
・・・というような手持ちぶさたの1時間を過ごすものの、マネが再び事務所へ戻るやいなや、午後のプライムタイムが訪れる。バンクより少し沖目にキャストしたことも功を奏したか、それからも10分おきにアタリが出、今日3尾目ともなる50cmUPも無事ネットイン。夕刻5時まで一気のラストスパートで、さらに10尾あまりを追加して本日の釣りを終了する。
法外な釣果のあまり利き腕が殊の外、重く感じつつあるのが何よりの喜びと、桟橋を後に事務所に戻れば、そこでは聞き慣れた暖かくも優しいお声でのお出迎え。
「いやぁ、ひげオンジさん、お疲れさん・・」
その元気そうなお声にほっと安心しつつ。チケットを返した後は、マネから病前、病後のご様子などをお伺いすることに。
聞けば、今はずいぶん良くなったものの、まだ呼吸が乱れるような運動はできないとのこと。「うーん、まだしばらくは、本湖の方は無理かな・・・」と笑顔が少し力なげに見えるのが寂しいが、それでもずいぶんと血色の良いお顔を見ればこちらも先ずは一安心。「早く完璧に元気になって、また、キャスティングを教えてくださいね!」としっかりお約束した上で、くたびれた足を少し引きずりつつ事務所を後にすることにした。
思えばこの釣り場に通うようになって早7年。当たり前だが誰もが歳を取って、誰もが日々の憂さを背に積もらせつつ生きてきている。いついつまでも若く元気でありたいと心から願うものの、時間はそれを許してくれるはずもなく・・・。先ずは小生のお仲間一人一人の健やかなるを願いつつ、先ずはこの先の釣り。その
一瞬一瞬・・・
を、何より大切に大切にしていきたいものと、心から願う次第・・・・。
2012/03/14